ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode14

『届かない名前』

― 伝えたい想いはある。でも、その名前だけはまだ書けない。 ―

Day:Sunday(共同生活14日目)



Scene4

『自由時間(1時間)』

Sunday|03:00 PM



レクリエーションを終えた11人が芝生に集まる。

スタッフが次の案内を始めた。



「ここから1時間は自由行動です。」

「誰と過ごすか、どこへ行くかは自由。」

「午後4時までに、この場所へ集合してください。」



「やったー!」

「自由時間!」



思い思いの声が上がる。



「じゃあ、行ってきます!」



メンバーは自然といくつかのグループに分かれていった。



チアキ × ソヨン



「ソヨンさん、少し歩きませんか?」



「いいですね。」



二人は漢江沿いの小さなカフェへ入る。

窓際の席からは、川の流れがゆっくりと見えた。



「今日は本当に天気がいいですね。」



チアキがアイスラテを手に微笑む。



「うん。」



ソヨンも穏やかに頷く。



「チアキとこうして二人で話すの、意外と初めてかもしれない。」



「そうですね。」



少し照れながら笑うチアキ。



「韓国での生活は慣れた?」



「皆さんのおかげで。」



「最初は毎日緊張していました。」



「でも今は、404 HOUSEに帰ると安心します。」



ソヨンは優しく微笑んだ。



「私も。」



「帰る場所って思えるようになった。」



短い言葉だったが、

チアキは嬉しそうに笑った。



ミンギュ × スニョン



「競争しません?」



「何を?」



「レンタサイクル。」



「望むところ!」



二人は自転車を借り、

漢江沿いのサイクリングロードへ。



「負けた方、アイス奢り!」



「えっ、本気?」



「もちろん!」



勢いよく走り出す二人。



「スニョンさん!」



「待って!」



笑い声が風に乗って広がっていく。



勝負の結果は、

わずかな差でミンギュの勝利。



「やった!」



「くやしい!」



二人は息を切らしながら笑い合った。



ウォヌ



「少し一人で歩いてきます。」



ウォヌはスタッフにそう伝え、

カメラを片手に静かに歩き始めた。



風に揺れる草花。



川面に映る雲。



橋の下を通る遊覧船。



一枚ずつ、

ゆっくりとシャッターを切っていく。



途中、

ベンチで休む親子を見つける。



その穏やかな風景に、

自然とレンズを向けた。



「今日の空気も撮れたらいいのに。」



小さく呟く。



スングァン × ジョンハン



「暑い!」



「アイス食べましょう。」



「賛成!」



二人は近くのコンビニへ。



「ジョンハンさん、何味ですか?」



「抹茶。」



「やっぱり。」



「スングァンさんは?」



「チョコ!」



「予想通り。」



二人は笑いながら店を出る。



帰り道、

川沿いのベンチへ座った。



「ジョンハンさん。」



「うん?」



「最初は話しかけづらかったです。」



「そう?」



「でも今は、一番話を聞いてくれる人かもしれない。」



ジョンハンは少し照れたように笑った。



「ありがとう。」



「俺もスングァンさんと話してると楽だよ。」



その言葉に、

スングァンは少しだけ照れくさそうに笑った。



スンチョル × ジウォン



「少し歩こうか。」



「はい。」



二人は川沿いをゆっくり歩く。



「仕事の話ばかりしてしまう癖があります。」



ジウォンが苦笑する。



「俺も。」



スンチョルも笑う。



「休みの日くらい忘れたいのに。」



「結局考えてしまいますよね。」



しばらく歩いたあと、

ジウォンがふと口を開いた。



「でも404 HOUSEでは、不思議と仕事を忘れられます。」



「分かる。」



「みんなのおかげだな。」



二人は穏やかに笑い合った。



ユナ



少し離れた場所で、

ユナは仕事の電話を終えていた。



「はい、来週中には資料を送ります。」



電話を切ると、

大きく息を吐く。



「休日でも仕事か。」



独り言をこぼす。



その時、

スタッフが声をかけた。



「自由時間、まだ少しありますよ。」



ユナは笑顔で頷く。



「じゃあ少しだけ。」



スマートフォンをバッグへしまい、

ゆっくりと漢江を歩き始めた。



遠くでは、

笑い合うメンバーたちの姿が見える。



その光景を眺めながら、

ユナも自然と笑顔になっていた。



04:00 PM



「集合でーす!」



スタッフの声が響く。



それぞれが笑顔で戻ってくる。



「楽しかった!」



「一時間短すぎる!」



「もっと遊びたかった!」



誰一人、

「一人だった」と感じる人はいなかった。



自由に選んだ一時間。



だからこそ、

それぞれが自然に選んだ相手との時間は、

何よりもその人らしかった。



【STAFF NOTE】

自由行動には、

「一緒にいてください」という指示はない。



だからこそ、

誰と時間を過ごすかには、

その人の”今”が表れる。



笑い合う人。

静かに景色を見る人。

ゆっくり話をする人。

一人で過ごす時間を選ぶ人。



そして、

誰かを探して動く人はいなかった。



互いを信頼しているからこそ、

「また集合すれば会える」

という安心感が、

少しずつ404 HOUSEの空気になっていた。



次回 Scene5

Sunday|05:00 PM

『夕暮れの漢江』

夕日に染まる帰り道。

11人は並んで歩きながら、

休日の終わりを惜しむ。

その何気ない時間に、

カメラだけが気づいた小さな変化があった。




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