RE:MEMORY
Episode3
「初めての休日」
Day3 : Wednesday
Afternoon
Scene5
「韓国語の壁」
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【BGM】
明洞の街の音。
人の声。
笑い声。
先ほどまでの明るい雰囲気を残しながら、少し落ち着いたメロディへ変わる。
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【ナレーション】
初めての外出。
知らなかった相手の一面を知りながら、
10人の距離は少しずつ近づいていた。
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でも。
楽しい時間の中にも、
それぞれが抱える小さな壁がある。
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【字幕】
「笑顔の奥にあるもの」
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明洞・街歩き
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10人はショップを見ながら、明洞の通りを歩いている。
人の流れは多く、店先の音楽や呼び込みの声が重なっている。
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スニョン:
「この店、気になります。」
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ディノ:
「さっきから全部気になってません?」
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スニョン:
「休日だからいいんです。」
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笑い声。
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スングァン:
「でも本当に見るところ多いですね。」
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ミンギュ:
「一日じゃ足りないかもしれません。」
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自然な韓国語の会話。
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テンポの速い会話。
冗談。
言葉の重なり。
誰かが話し終える前に、次の誰かが笑いながら言葉をかぶせる。
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その輪の中心で、
チアキも隣を歩きながら笑っている。
けれど、その笑顔は少しだけ周囲より遅れている。
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チアキ
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チアキは会話を聞いている。
単語は分かる。
表情も分かる。
誰かが冗談を言っていることも分かる。
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でも。
言葉が続くたびに、
意味がひとつ、またひとつと指の間からこぼれていく。
笑い声だけが先に届いて、
肝心の内容は、途中で霧の中に消えてしまう。
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会話の流れが速くなると、
チアキの視線は自然と話している人の口元へ向く。
誰が今話しているのか。
どこで話題が変わったのか。
追いかけようとしても、
一歩遅れてしまう感覚がある。
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【カメラ】
チアキの表情。
笑っているはずなのに、
目だけが少し不安そうに揺れる。
一瞬だけ、
考えるような間。
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周囲の声が少し遠くなる。
チアキの耳には、断片だけが残る。
「……これ」
「……そう?」
「……ほんとに?」
意味のつながらない言葉が、波のように通り過ぎていく。
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しかし。
すぐに笑顔になる。
置いていかれたことを悟られないように、
口角を上げる。
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スングァン:
「そうですよね?」
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急に話を振られる。
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チアキは一瞬だけ固まる。
誰の話なのか。
何に対しての「そう」なのか。
頭の中で必死に前後をつなげようとするが、間に合わない。
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チアキ:
「……はい。」
少し遅れて笑う。
「楽しそうですね。」
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その言葉は正しい。
けれど、少しだけ薄い。
本当は、楽しさの輪の外側に立っているような気持ちを隠している。
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【字幕】
「雰囲気は分かる」
「でも、全部は届かない」
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ミンギュ
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隣を歩いていたミンギュが、
その様子を見る。
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最初は、
普通に楽しんでいると思っていた。
笑っているし、反応もしている。
だから、気づかなかった。
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でも。
何度か同じ瞬間がある。
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みんなが笑った後。
少し遅れて笑う。
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誰かが話しかけた時。
一瞬だけ表情を探す。
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会話の輪に入っているようで、
ほんの少しだけ、そこから半歩外れている。
ミンギュは小さな違和感を覚える。
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ミンギュ Interview
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スタッフ:
「今日、チアキさんの様子を見ていましたね。」
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ミンギュ:
「はい。」
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「最初は普通に楽しんでいると思いました。」
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少し考える。
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「でも、少し違う瞬間があって。」
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「みんなが笑った後に、一緒に笑う時が少し遅かったんです。」
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「たぶん……会話の中で、置いていかれている瞬間があったのかなって思いました。」
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「楽しそうに見えても、全部が分かっているわけじゃないんだなって。」
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【字幕】
「初めて気づいた小さな違和感」
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カフェ前・休憩時間
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少し歩き疲れた10人は、
カフェの前で休憩する。
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それぞれ飲み物を持ちながら、
今日見たものについて話す。
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ソヨン:
「ここ、写真撮りたいです。」
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ミナ:
「街の雰囲気が綺麗ですね。」
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テヨン:
「建物も面白いです。」
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それぞれが、
自分の視点で街を楽しんでいる。
声は途切れず、笑いも自然に続く。
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チアキは少し離れた場所で、
スマートフォンを見る。
人の輪から半歩外れたその場所は、
ちょうど日陰になっている。
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韓国語のメモ。
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「もう一度聞いてもいいですか」
「どういう意味ですか」
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指で確認する。
画面を見つめる時間だけが、少し長い。
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周囲では誰かが笑っている。
でも、その笑い声はチアキのところまで届く前に、街の音に溶けてしまう。
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ミナ
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その様子をミナが見る。
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ミナ:
「勉強しているんですか?」
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チアキはスマートフォンから顔を上げる。
一瞬、呼ばれたことに気づくのが遅れる。
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チアキ:
「あ……はい。」
笑う。
「まだ分からないことも多いので。」
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ミナ:
「大変じゃないですか?」
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チアキ:
「大丈夫です。」
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いつもの答え。
けれど、その「大丈夫」は、少しだけ早く口にした言葉だった。
本当は、分からないまま笑っている時間が、少しだけ苦しい。
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ミナは少し黙る。
チアキの手元のメモと、少しだけ無理をした笑顔を見る。
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ミナ Interview
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スタッフ:
「チアキさんについてどう感じましたか?」
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ミナ:
「優しい人だと思います。」
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「でも……。」
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少し考える。
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「大丈夫って言う人ほど、本当に大丈夫なのかなって思いました。」
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【字幕】
「見ている人」
「MINA」
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明洞の街
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再び歩き出す10人。
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スングァン:
「次はどこ行きますか?」
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スニョン:
「まだまだ見たいです。」
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笑い声。
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チアキも笑っている。
けれど、その笑顔はさっきより少しだけ静かだ。
会話の輪の中にいるのに、
言葉の意味だけが、まだ追いついてこない。
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でも。
ミンギュはもう一度、
静かに彼女を見る。
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「楽しいですか?」
と聞くには、
まだ少し早い。
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ただ。
気づいた。
彼女が笑っていても、
その笑顔の奥に、
言葉を探して立ち止まる瞬間があることを。
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それだけ。
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【ナレーション】
誰かを知るということは。
楽しい姿だけを見ることではない。
隠している小さな部分に、
気づくことから始まる。
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【字幕】
「少しずつ見えてくる、本当の姿」
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Scene5 END
次回――
Scene6
「初めての外でのグループ写真」
一日の終わりに残す、
10人最初の記憶。
そして、
RE:MEMORY HOUSEの外で初めて見る全員の笑顔。
→
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