RE:MEMORY Phase1

Episode6

「最初の質問」

Day6 : Saturday

Scene4

「ミンギュが気づいた違和感」

――――――――――

【BGM】

夕方の静かな空気を感じさせるピアノ。



RE:MEMORY HOUSE。

買い物ミッションを終えた10人が帰宅する。



玄関には、

それぞれが買ってきた袋。



スングァン:

「思ったより買いましたね。」

(笑)



ソヨン:

「必要なものを選ぶのって意外と難しいですね。」



スニョン:

「僕、途中でお菓子ばかり見てました。」



ディノ:

「知ってます(笑)」



【字幕】

「少しずつ増える。」

「共同生活の会話。」



以前なら、

全員で話す時は誰かが話題を作らなければならなかった。



でも6日目の今。

自然に笑い声が起こる。



その中で、

チアキは会話の輪の少し外側を通って、キッチンへ向かう。



ミンギュはその背中を、何気なく目で追う。



キッチン

買ってきた食材を整理するチアキ。



袋から一つずつ取り出し、

冷蔵庫へ入れていく。



賞味期限を確認。

置き場所を整える。



その動きは無駄がない。

迷いもない。



ミンギュはリビングからそれを見て、

ふと、胸の奥に小さな引っかかりを覚える。



【字幕】

「手が止まらない。」

「気づけば、もう整っている。」



ミンギュは少し首をかしげる。



ただ早い、というだけではない。

誰かに頼まれたから動くのではなく、

最初から「自分がやるべきこと」として身体が先に動いているように見えた。



ミンギュ Interview

「チアキさんは、いつも先に動いています。」



「袋を置く前に中身を分けて、冷蔵庫に入れる順番まで決めているみたいで。」



「見ていると、ああ、この人はこういうふうに場を整えるんだなって思います。」



少し間を置く。



「……でも、整え方が自然すぎて、逆に気になる時があります。」



「止まっているところを、あまり見たことがないので。」





キッチン

ミンギュが近づく。



ミンギュ:

「手伝います。」



チアキ:

「あ、大丈夫です。」



すぐに返事をするチアキ。



その声は明るい。

けれど、返事の速さが少しだけ早すぎる気がして、

ミンギュは足を止める。



ミンギュ:

「……。」



少し笑う。



ミンギュ:

「今、何て言いました?」



チアキ:

「え?」



ミンギュ:

「大丈夫です、って。」

(笑)



チアキは少し困ったように笑う。



チアキ:

「つい、言っちゃいます。」



ミンギュはその「つい」という言葉に、わずかに目を細める。



ミンギュ:

「つい?」



チアキ:

「はい。」



「頼むより、自分でやった方が早いので。」



ミンギュは静かに聞く。



その言い方は、軽いようでいて、

どこかで何度も繰り返してきた言葉のようにも聞こえた。



チアキ:

「……でも、本当に大丈夫です。」



ミンギュ:

「……。」



【字幕】

「その言葉は。」

「やわらかく、でも少し急いでいた。」



ミンギュは、チアキの手元を見る。

袋の口をきれいに折り、

食材の向きをそろえ、

冷蔵庫の棚にぴたりと収めていく。



手際がいい。

なのに、どこかで「これ以上見られたくない」と言っているようにも見える。



ミンギュはその感覚の正体が分からないまま、

胸の奥に残る違和感だけを静かに受け取る。



ミンギュ Interview

「本当に大丈夫な時もあると思います。」



「でも、チアキさんの『大丈夫』は、少しだけ早く出てくる気がして。」



「考える前に言っているというより、先にそう言う癖があるみたいで。」



少し視線を落とす。



「……それが、なんとなく気になりました。」



「気になると、もう一回見てしまうんです。」





リビング

夜。

10人がそれぞれ自由時間を過ごしている。



スングァンとスニョンはゲーム。

ソヨンとディノはお菓子を食べながら会話。



チアキは少し離れた場所で、

買ったもののメモを整理している。



ミンギュはソファの端に座ったまま、

何度か視線を上げては、また下ろす。



メモを取る手。

ページをめくる指先。

考え込む時に少しだけ止まる呼吸。



ミンギュは声をかけるタイミングを探しながら、

チアキの横顔を見ていた。



ミンギュ:

「今日、楽しかったですか?」



チアキ:

「はい。」



「ジョシュアさんと話せて、楽しかったです。」



ミンギュはその答えを聞いて、

一瞬だけ、言葉の奥を探る。



ミンギュ:

「英語だと話しやすそうでしたね。」



チアキ:

「そうですね。」



少し笑う。



「韓国語だと、少し考えてしまいます。」



ミンギュはその笑顔を見ながら、

「考えてしまう」という言葉が、ただの語学の話ではないように感じる。



ミンギュ:

「でも、最近は前より話してますよ。」



チアキ:

「本当ですか?」



ミンギュ:

「はい。」



「最初は、もう少し肩に力が入ってる感じでした。」



チアキは少し驚く。



自分では気づかなかった変化。

その驚き方が、少しだけ素直で、

ミンギュはそこで初めて、チアキが本当に無防備になる瞬間を見た気がした。



ミンギュ:

「だから、無理しなくても大丈夫です。」



「分からない時は、そのまま聞けばいいです。」



チアキ:

「……ありがとうございます。」



少し間。



チアキ:

「ミンギュさんは、よく見てますね。」



ミンギュは少しだけ笑う。



ミンギュ:

「そうですか?」



「たぶん、見てるだけです。」



【字幕】

「気づく人。」

「気づかれる人。」



ミンギュは笑いながらも、

心の中では別のことを考えていた。



見ているだけ、のはずなのに。

チアキの言葉はいつも、少しだけ急いでいる。

笑う時も、返事をする時も、

どこかで自分の輪郭を整えながら話しているように見える。



それが気のせいなのか、

それとも本当に何かを隠しているのか。



ミンギュにはまだ分からない。

ただ、分からないからこそ、

目が離せなくなっていた。



チアキ Interview

「ミンギュさんは、自然に声をかけてくれる人です。」



「話していると、少し肩の力が抜けます。」



少し考える。



「……みんな優しいので。」



「まだ、誰か一人というより、ここにいる時間が少しずつ馴染んでいく感じです。」



その言葉を言い終えたあと、

チアキはほんの少しだけ視線を外した。



【字幕】

「まだ恋ではない。」

「でも、安心できる場所が増えていく。」





キッチン。

ミンギュが一人で水を飲んでいる。



窓の外は暗く、

家の中の明かりだけが静かに反射している。



ミンギュはコップを持ったまま、

さっきの会話を思い返す。



「大丈夫です。」

「つい、言っちゃいます。」

「頼むより、自分でやった方が早いので。」



どれも間違ってはいない。

けれど、言葉の並び方が少し気になる。



誰かに頼ることを、最初から選択肢に入れていないような。

あるいは、頼る前に自分で閉じてしまうような。



ミンギュ Interview

「チアキさんは不思議です。」



「明るいし、ちゃんと笑うのに。」



「話している時も、ちゃんとそこにいる感じはあるんですけど。」



「でも、ふとした瞬間に、少しだけ遠くにいるようにも見えて。」



少し笑う。



「最初は、ただ丁寧な人なのかなと思っていました。」



「でも、見ているうちに、丁寧さだけじゃない気がしてきて。」



「何を考えているのか、もう少し知りたいな、と思いました。」



少しだけ間を置く。



「……気になると、次に会った時も見てしまうので。」





【ナレーション】

「興味は、いつも大きな出来事から始まるわけではない。」



「小さな違和感。」

「小さな気づき。」



「その積み重ねが、人との距離を変えていく。」



【字幕】

「最初の質問。」

「答えは、まだ見つからない。」



Scene5予告

【BGM】

温かなアコースティック音。



夜のリビング。

10人が質問カードを囲む。



【字幕】

「初めて知る。」

「相手の価値観。」



次回。

『初めての価値観トーク』




ノベルに戻る I Addict