RE:MEMORY Phase1

Episode7

「近づく距離、見えない壁」

Scene3

「初めての失敗」



Afternoon

「料理中の小さなミス」

RE:MEMORY HOUSE。

FIRST COOKING MISSION開始から約1時間。

キッチンには10人分の夕食の材料が並び、鍋の湯気とフライパンの音がリビングまで届いていた。



字幕:

「初めての共同料理。」

「順調に進んでいるように見えた。」



キッチンチーム。

ミンギュ。

チアキ。

スングァン。

3人は役割を分担し、手際よく作業を進めていた。



スングァン:

「チアキさん、これ終わったらお願いします。」



チアキ:

「はい。」



笑顔で答えるチアキ。

その笑顔は柔らかいが、どこか慎重で、相手の反応を確かめるように一拍だけ間があった。

会話も少しずつ自然になり、さっきまであった緊張は薄れていた。



だがカメラは、何度もレシピを見返し、調味料の量を確かめるチアキの手元を追う。

指先は迷いなく動いているようでいて、確認するたびにほんの少しだけ止まる。

間違えないように。

そう自分に言い聞かせるような、細かな慎重さがそこにあった。



ミンギュInterview

「チアキさんは、失敗しないように何度も確認するタイプだと思いました。」



「料理だけじゃなく、何事にもそうなのかなって。」



小さな間違い

仕上げに入る頃。

チアキが次の作業に移ろうとした、その瞬間。



レシピカード。

調味料。

鍋。



確認しながら伸ばした手が、ふと止まる。

視線がレシピと鍋の間を行き来し、ほんの一瞬だけ、眉が寄る。



「あ。」



字幕:

「気づいた、小さな違和感。」



手に取っていたのは、入れるはずだったものとは別の調味料だった。

量は少ない。致命的ではない。

それでも、チアキの表情はすぐに曇る。

口元がわずかに固まり、さっきまであった落ち着きが、目の奥からすっと引いていく。



チアキ:

「……すみません。」



すぐに謝罪がこぼれる。

声は小さいが、反射のように早かった。



スングァン:

「え?」



チアキ:

「確認したつもりだったんですけど……間違えました。」



鍋の中を見つめる。

視線は動かないのに、気持ちだけが先に沈んでいくようだった。



チアキ:

「どうしましょう。」



声が少し小さくなる。

最後の語尾は、言葉というより息に近かった。



字幕:

「問題は、料理のミスではなく。」

「彼女がすぐに自分を責めてしまったこと。」



チアキの反応

周りのメンバーは、まだ状況を整理しているだけだった。

けれどチアキだけは、もう次のことを考えていた。

失敗した事実よりも先に、頭の中に浮かぶのは「迷惑をかけた」という感覚だった。



「みんなの料理なのに。」

「私のせいで止めてしまった。」

「ちゃんと見ていれば、防げたはずなのに。」



その思いが先に立つ。

胸の奥がきゅっと縮むようで、顔から少しずつ血の気が引いていく。



チアキ:

「私がもう一回準備します。」

「すみません。」



言いながら、視線を上げられない。

謝るたびに、自分の失敗を何度もなぞってしまうようだった。



その時、ミンギュが声をかけた。



ミンギュ:

「チアキさん。」



振り向くチアキ。

その目は少し揺れていて、すぐにでも「大丈夫です」と言いそうな、けれど言えないまま立ち止まっているように見えた。



ミンギュ:

「一回、大丈夫です。」



チアキ:

「でも……。」



言いかけて、言葉が途切れる。

自分のせいで止めてしまった、という思いが、喉の奥に引っかかっているようだった。



ミンギュ:

「まだ直せます。」



落ち着いた声だった。

責める気配はない。

むしろ、焦っているのは自分だけではないと伝えるような、静かな温度があった。



スングァンも鍋をのぞき込む。



スングァン:

「本当に少しですよ。」

「僕だったらもっと大きい失敗してます(笑)」



チアキ:

「そんなことないですよ。」



スングァン:

「あります。」

(笑)



少しだけ、空気が和らぐ。

チアキの表情にも、ほんのわずかに力が戻る。

それでもまだ、完全にはほどけていない。



ミンギュが見たもの

ミンギュが見ていたのは料理ではなく、チアキの表情だった。

失敗したことより。

謝ったことより。



一瞬で曇った目。

言い訳をする前に、自分を責めるように伏せられたまつげ。

大丈夫だと伝えられても、まだ「自分が悪い」と思い込んでいる、その硬さ。



ミンギュは、その顔から目を離せなかった。



ミンギュInterview

「正直、料理のことは大きな問題じゃなかったです。」



「でも、チアキさんがすぐに『すみません』って言ったことの方が気になりました。」



「誰でも間違えるのに、自分だけの責任みたいに感じているように見えました。」



チアキInterview

「失敗したら、迷惑をかけると思ってしまって。」



「10人分の料理だったので……。」



少し考えてから、続ける。



「ちゃんとしなきゃって思いました。」



言葉を選ぶたびに、チアキの表情には小さなためらいが浮かぶ。

本当はもっと言いたいことがあるのに、それをうまく言葉にできないまま、静かに飲み込んでいるようだった。



字幕:

「完璧でいたい人ほど。」

「失敗した時に、自分を責める。」



キッチン

ミンギュが材料を確認する。



ミンギュ:

「じゃあ、どう直すか考えましょう。」



チアキ:

「……一緒にですか?」



ミンギュ:

「はい。」



少し意外そうな顔をするチアキ。

目をわずかに見開き、それからすぐに視線を落とす。

いつもなら「大丈夫です」「私がやります」と言っていたはずだった。

自分で抱え込む方が、きっと楽だと思っていたのかもしれない。



でも今日は違った。



チアキ:

「……お願いします。」



小さな声だった。

それでも、初めて誰かに頼った瞬間だった。

言い終えたあと、少しだけ肩の力が抜ける。

その変化はほんのわずかだったが、確かにそこにあった。



字幕:

「助けてもらうことも。」

「共同生活の一部。」



ミンギュInterview

「チアキさんは、できない人じゃなくて。」



「できるからこそ、自分で全部やろうとする人なのかなと思いました。」



「でも、一緒に住むなら、一人で頑張らなくてもいいと思います。」



次Sceneへの予告

キッチン。

ミンギュとチアキが修正作業を始める。



ミンギュ:

「大丈夫です。」

「誰でも間違えます。」



チアキ:

「でも、みんなの料理だから……。」



次回、

Scene4

「頼るということ」

予告:

* ミンギュが料理を修正
* チアキが初めて素直に助けを求める
* 「一緒に作る」という意味を知る

字幕:

「一人で頑張るより。」

「誰かと作る方が、温かい。」




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