RE:MEMORY Phase1

Episode11

「初めての変化」

Day11: Thursday

共同生活11日目



Scene4

「失敗しても笑える」



Evening

RE:MEMORY HOUSE。

夕方。

買い出しから戻った食材を使い、10人で夕食準備を始める。



以前なら、料理担当になるとチアキはまずレシピを何度も見返し、包丁を持つ前に周りの様子をうかがっていた。

失敗しないように。

迷惑をかけないように。

そう思うほど、肩に力が入り、表情も少しこわばっていた。



しかし今日は。



チアキ:

「これ、私が切りますね。」



まな板の前に立つ。

言い切った声は、少しだけ前よりもまっすぐだった。

包丁を持つ手にも、以前ほどのためらいはない。



スングァン:

「チアキちゃん、最近本当に慣れましたね。」



チアキ:

「そうですか?」



自分でも少し意外そうに目を丸くする。

けれどすぐに、ふっと頬をゆるめた。



スングァン:

「はい。」

「最初は何をするにも確認してた気がします。」



チアキ:

「……確かに。」

(笑)



その笑い方には、昔のような緊張はなかった。

思い返して、少し照れたように目を細める。



ミンギュ:

「今は自分から動いてますよね。」



チアキは少し照れたように笑う。

その笑顔は、褒められた嬉しさと、少しの自信が混ざっていた。



字幕:

「気づけば、手の動きが少し変わっていた。」



料理中

今日のメニューは、みんなで食べる夕食。

チアキは野菜の下準備を担当している。

包丁を動かすたび、最初の頃のような慎重さは残っている。

けれど今は、慎重さの中に「やってみよう」という気持ちが見えていた。



ミナ:

「チアキ、これって先に入れますか?」



チアキ:

「えっと……。」



一瞬だけ視線を落とし、レシピを確認する。

以前なら、この短い間にも「間違っていたらどうしよう」という不安が顔に出ていた。

でも今日は、確認したあとにすぐ顔を上げた。



チアキ:

「あ、少し待った方がいいかもしれません。」



その時。

調味料を入れる場面。



チアキ:

「これですね。」



確認しながら入れる。

声は落ち着いていたが、内心では「合っているはず」と何度も確かめていた。

それでも、少しだけ急いだ手つきになっていた。



しかし。



数秒後。



チアキ:

「あ……。」



手が止まる。

視線が鍋の中と手元を何度も行き来する。

その瞬間、顔からすっと血の気が引いたように見えた。



チアキ:

「……これ、違う調味料でした。」



一瞬、静かになるキッチン。

自分の声が思ったより小さく聞こえて、チアキはさらに不安になる。

胸の奥がきゅっと縮む。

またやってしまった。

そう思った瞬間、反射的に頭を下げそうになる。



口を開きかける。



チアキ:

「すみませ……。」



しかし。

途中で止まる。

謝る言葉を口にしようとして、ふと気づく。

今、必要なのは謝り続けることじゃない。

止まってしまった手を、もう一度動かすことだ。



周りを見る。



スングァンは困った顔ではなく、笑っている。

その笑顔を見た瞬間、チアキの肩から少しだけ力が抜ける。



スングァン:

「大丈夫ですよ。」

「まだ途中です。」



ミンギュも調味料を見る。



ミンギュ:

「少し調整すれば大丈夫そうです。」



チアキ:

「……。」



一度、深く息を吐く。

さっきまで固まっていた表情が、少しずつほどけていく。

口元をゆるめると、困ったような、でもどこか吹っ切れたような笑みになった。



チアキ:

「また失敗しました。」

(笑)



自分から笑う。

その笑いには、恥ずかしさもある。

でもそれ以上に、「大丈夫」と自分に言い聞かせるような強さがあった。



その瞬間。

周りのメンバーも笑う。

空気が一気にやわらかくなる。

チアキはその空気に触れて、ようやく本当に安心したように目を細めた。



スングァン:

「今、謝る前に笑いましたね。」



チアキ:

「……確かに。」

(笑)



自分でも気づいていなかった変化に、少し驚いたように笑う。

その笑顔は、失敗を隠すためのものではなかった。

失敗した自分を受け入れて、次へ進むための笑顔だった。



ミンギュ:

「すごい変化です。」



チアキ:

「そんなにですか?」



ミンギュ:

「はい。」

「前だったら、たぶん10回くらい謝ってました。」



チアキ:

「10回は言いすぎです。」

(笑)



ミンギュ:

「でも、5回くらい。」



チアキ:

「……。」

(笑)



少し呆れたように笑いながらも、チアキの表情は明るい。

失敗した直後の硬さはもうない。

代わりに残っているのは、笑って受け止める余裕だった。



字幕

「失敗のあと、次の手がすぐに出る。」



ミンギュの視点

ミンギュは、料理を修正しながらチアキを見る。



最初の頃。

チアキはいつも周りを見ていた。

誰か困っていないか。

迷惑をかけていないか。

何か間違えたらどうしよう。

そんな不安が、表情にも手元にも出ていた。



でも。



今は。

失敗しても、すぐに手を止めず次の作業へ戻っている。

一瞬落ち込んでも、そこで終わらない。

自分で気持ちを切り替えて、また前を向いている。



ミンギュ Interview

「チアキさんは、最初から優しい人でした。」



「でも、何かあるたびに、先に謝るより先に手が止まる感じがありました。」



「今日、失敗した時に笑ったのを見て。」



少し笑う。



「そのあと、すぐに次の作業に戻っていて。」



「顔も、さっきまで少し固かったのに、すぐやわらかくなっていました。」



「前より、手が止まる時間が短くなっていました。」



字幕:

「見えていたのは、失敗ではなく。」

「失敗のあとに戻る手つき。」



夕食準備

料理が完成する。



スングァン:

「結局、問題なかったですね。」



チアキ:

「皆さんが直してくれたからです。」



ミンギュ:

「違います。」



チアキ:

「?」



ミンギュ:

「一緒に作ったからです。」



少し前。

同じような状況なら、

口を開く前に頭が下がっていた。

失敗したことを必要以上に気にして、最後まで自分を責めていたはずだった。



でも今日は。



チアキ:

「……ありがとうございます。」



それだけを言って笑う。

その笑顔は、申し訳なさよりも、感謝と安心が勝っていた。

失敗しても、ここにいていい。

そう思えたからこそ出た表情だった。



チアキ Interview

「前は、失敗するとすぐ頭を下げていました。」



「でも、皆さんは、手が止まったあとにどう動くかを見てくれている気がします。」



「失敗した瞬間は、やっぱり少し焦ります。」



「でも、そこでずっと落ち込むより、笑って『次は気をつけます』って言えた方が、気持ちが楽になるってわかってきました。」



「少しずつですが……。」



「次は、もう少し早く『手伝ってください』って言えそうです。」



Scene Ending

完成した夕食をリビングへ運ぶ。



スングァン:

「今日の料理担当、チアキちゃん頑張りました。」



チアキ:

「失敗しましたけど。」



言いながらも、もう声は沈んでいない。

少し照れたように笑って、でもその笑顔は前向きだった。



スングァン:

「そこも含めてです。」



全員が笑う。



その笑顔を見ながら。

ミンギュは、チアキの隣に皿を並べる。



同じ鍋を囲む位置が、少しずつ近づいていた。



字幕:

「皿が並ぶたび、席の間が少しずつ埋まっていく。」



BGM

優しいピアノBGM。



次回予告

Episode11 Scene5

「友情の輪」

予告:

* 夜のゲーム時間
* 自然に増えるタメ口
* 10人が笑い合う時間
* 「共同生活メンバー」から「友達」へ変わる瞬間

字幕:

「気づけば、隣の席が当たり前になっていた。」




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