【act.09 SC】

おかしい…。
絶対におかしい。
明らかにおかしい!!!

MH「なんかウォヌヒョンテンション高くない?」
DK「鼻歌歌ってるよ、珍しい。」

歌詞を書くために宇宙工場に行って、早めに帰って来てたウォヌの様子がおかしい。

いや、いつも1人で寒いギャグを言って笑ってたりするときはあるけど、鼻歌を歌ってるウォヌなんて見たことがない。

弟たちもウォヌの異変に気付いたようで、ウォヌを見てコソコソと話してる。

DK「ヒョン、何があったか聞いてみて。」
SC「は?俺!?嫌だよ!」

その後リビングに来たホシがうぉぬを見るや否や、「ウォヌヤ、お前今日テンション高いな、どうした?鼻歌なんて歌って。」って普通に聞いてたけど、ウォヌは「別に。」と微笑んで自室に戻って行った。

何だったんだマジで。
絶対何かあったに決まってるのに。

結局ウォヌに何があったかは不明なまま、夜の10時過ぎにジフニが作業室から戻って来た。

VN「ヒョンおかえり。」
WZ「ただいま。」
MG「今日は早いね?ご飯食べる?」

キッチンからミンギュが顔を覗かせる。
その姿はまるで、よく出来た嫁だ。

WZ「いや、なまえと食ってきたからいいよ。」
MG「え!?ヌナとご飯行ったの!?2人で!?」
HS「は!?なまえと2人きりで!?」

しまったと言うふうに口に手を当てるジフニ。
いや、もう遅いよ。

ミンギュとホシがジフニに詰め寄る。

MG「なまえヌナが居るのに何で俺を呼んでくれないのさ!」
HS「そうだぞ!なまえと言えば俺だろ!」
MG「は?俺だよ!」

…いや、なんだそれ。
それより2人きりは今のなまえの状況じゃまずいんじゃないのか?

もし目撃情報なんて上がったら、もっとなまえがバッシングされるんじゃ…。

HS「ジフナから誘ったの!?」
WZ「は?いや、ちげーよ。台本読みに宇宙工場来たんだよ。だから送るついでに飯行ったの。」

なるほど。
もう少しで撮影始まるんだもんな…。

俺たちのなまえが恋愛ドラマか…。

MG「言ってくれれば俺がヌナのお迎え行ったのに!ヒョンまだ作業あったんでしょ!?」
HS「そうだそうだ!」
WZ「今日はいいんだよ。」

面倒くさそうにミンギュとホシを追っ払い、風呂に行ったジフニ。

なまえも宇宙工場に居たんだ。
…あれ?ウォヌも居たんだよな?

ウォヌが機嫌良かったのってなまえと何かあったからか?

でもウォヌはそもそもなまえのこと、そう言う対象には見てないよな?
なまえ、なまえ言うわけでもなく、くっつきに行くわけでも無く、たまーに2人で猫の動画見たり楽しそうにゲームしたりしてるだけで……。

何となく、変な胸騒ぎがしてウォヌの部屋に行けば、いつもと同じようにゲームをしてた。

SC「なぁ、ウォヌ、ちょっといいか?」
WN「うん?なに?」
SC「お前今日なまえと会った?」

ゲーム画面から目を離さないまま「何で?」と聞いてくるウォヌ。

SC「なまえも宇宙工場に居たみたいなんだけど、会ったのかなって。帰ってきてから機嫌いいし、なまえとゲームやる約束でもしたのかなって思って。」

そう言えば、ようやくゲーム画面から目を離して俺を見上げる。

WN「それ聞いてどうするの?説教する?」

説教?俺が?

SC「ゲームくらいでするつもりはないけど。…え、何、説教されるような事したの?」

ウォヌは場合によっては?って首を傾げる。
何だ?場合によって俺が説教することってなんだ?

SC「何したんだよ。」
WN「…キスした。」
SC「ふーん…は?キス!?誰と?え!?もしかして…」
WN「そうだよ、なまえと。」

…え?は?何で?
何でウォヌとなまえがキスしたんだ?

確かにうちのメンバーはsanctuaryと仲がいいし、その中でもなまえは特に仲がいいと言うか、メンバーが懐いてる。

日本人特有の礼儀正しさに加え、小柄な体型と童顔ってこともあってマンネよりマンネに見えるし、韓国語が上手だとは言え、まだ苦手な単語とかもあって、それが妙に可愛いなって思うこともある。

俺から見ればなまえは守ってやりたい大事な妹って存在だけど、1部のメンバーは本気でなまえに恋してるのは知ってた。

誰も口には出さないけど、なまえへの恋心は見てれば安易に伝わって来てた。
口に出さないのはある意味暗黙の了解になってた。

でも、ウォヌは俺と同じようになまえを妹か、または仲のいい親友みたいな感じだと思ってた。

だから、なまえとキスしたと聞いて驚きを隠せない。

SC「お前それ、本当か?」
WN「ヒョンに嘘ついてどうすんのさ。本当だよ。まあ、正確に言えばキス未遂なんだけど。」

…未遂ってなんだよ!!!

SC「詳しく頼む。」

そう言って腰を下ろせば、ウォヌはゲームを置いて今日宇宙工場であった事を話してくれた。
しかも凄く幸せそうに。

SC「なるほど…。要はファーストキスがドラマだと嫌だって言うなまえが可哀想だから、しようとしたけどやめたってことか。

いや、でもいくらなまえのタメだからってだからってポッポならまだしも…。」
WN「ヒョンさ、何か勘違いしてる。俺なまえのこと好きだよ。女として。」
SC「…そ、そうか……。」

知らなかった。
ウォヌもなまえをそんな風に見てたとは…。

WN「ヒョン、俺もう隠すのやめたよ。」

真っ直ぐな目でそんな事を宣言されて、ダメだなんて言えるほど、俺は強くない。
ただ、なまえにもメンバーにも傷付いて欲しくない。

SC「このことは誰にも言うなよ?。」
WN「うん、勿論。言ったらうるさそうだし。」

ウォヌはまたゲーム画面に視線を戻した。

うるさいってより、命の保障は無いぞ…。
なまえとウォヌがキス未遂した事実は、一生隠し通さないとな…。

はぁ…、先が思いやられる…。




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