【act.11 DK】
ウォヌヒョンがなまえにキスをしたと立ち聞きしてしまった。
まさかウォヌヒョンもなまえを好きだなんて思ってなかった…。
もう誰がなまえに好意を持ってるか分かんないよ。
それよりも、まさかミンギュがなまえの行動に気付いていないことに驚いた。
なまえの行動に気付いているから、自信があるからあんなに積極的になまえにくっついていってると思ってた。
MG「ごめん、俺に分かるように説明して。お願いします。」
手を合わせるミンギュに、僕とディノは顔を見合わせた。あ、本当に分かってないんだなって。
教えてやる義理なんてないけど、もし今なまえが苦しんでるとしたら、それを癒してあげれるのはウジヒョンかミンギュしかいないと思うんだ。
でもウジヒョンとなまえの関係は僕から見ると、どちらかと言えば双子の兄妹みたいに見える。
なんか、凄く仲のいい兄妹って感じ。
だからミンギュとの方が適役かなって思う。
2人の方がカップルに見える時があるし。
何だかんだいっつもくっついてたり、戯れあってたりするし、お菓子も食べさせあったり普通にしてる。
見てるこっちが恥ずかしいと思うくらい、そんなことを普通にしてる2人は、僕から見ればカップルにしか見えない時がある。
まあ、調子に乗るから言ったことはないけど。
DK「自分で考えても分かんないの?」
MG「分かんないよ!俺正直なまえヌナは俺の物にならないんだろうなって思ってるもん…。」
意外だった。
まさかそんな風に思ってたなんて。
それなのによくもまあ、あんなに積極的にいけるもんだ。
凄いよ、ミンギュヤ。
DN「ヒョンすごいね、そう思ってるのに会えばいっつもくっ付いてってるじゃん。」
ディノも同じように思ったのか、目を見開いて呟いてる。
MG「好きなんだから仕方ないじゃん。誰かの物になる前に、今のうちにくっ付いておきたいんだよ…。」
そう言って微笑むミンギュは少し苦しそうで、いつも無邪気になまえを追いかけてるのは、この不安を隠す為なのかなって思った。
DK「なまえってさ、絶対甘えないし、頼らないし、弱音も全然吐かないじゃん?」
DN「だね、大丈夫?って聞いても平気だよ!って満面の笑みで言うもんね。」
ミンギュもコクリと頷く。
少しくらい頼ってよって俺らみんなが言えば、頼ってるよって言うくせに、いつも1人で抱え込んでる。
DK「そんななまえが本当にどうしようもなくなった時に側に寄ってくのって、ウジヒョンかミンギュなんだよ。」
MG「え、いや…それは俺がいつも近くにいるからじゃ…。」
信じられないとでも言うように目を見開くミンギュ。
確かになまえの近くにはいつもミンギュが居るイメージではあるけど、実際はホシもいたり、ジョンハニヒョンや他のメンバーともいるから、ずっとミンギュと居るわけじゃ無い。
DN「ドギョムヒョン、もういいよ。気付かない鈍感なヒョンなんて放っておこう。」
DK「そうだね。」
MG「いや、待ってお願い!!!俺の人生に左右するから教えてよ!」
人生に左右するって、大袈裟だなって思ったけど、実際大袈裟でも何でもないか。
それだけミンギュはなまえのことが本気で好きなんだな…きっと。
MG「俺いつかなまえを諦めなきゃいけない日が来るかもしれないってずっと思ってたんだよ。それが今日かもってさっきまで思ってた。」
…え?ウォヌヒョンがなまえにキスしたから?
てか今なまえって…呼び捨てにした?いや、聞き間違いだろうか。
ミンギュがなまえを呼び捨てにしたことなんて一回もないもんな…。
MG「でももし、少しでも希望があるなら俺はやっぱりなまえを諦めたく無いんだよ。」
そう言ってどこかを真っ直ぐに見つめるミンギュの目線の先を追う。
あ、去年のなまえの誕生日とクリスマスの写真…。
ミンギュの部屋に飾ってあった嬉しそうに微笑むなまえの写真。
これ確かミョンホが撮ったんだよね。
すごく可愛くて綺麗で、ミョンホに頼み込んでグループチャットに送ってもらった写真。
現像してたの知らなかったな。
MG「ドギョマ…。」
DK「去年sanctuaryの日本コンサート行ったでしょ?公演終わった後のこと覚えてないの?」
MG「…あ。」
やっと思い出したのかみるみる顔が赤くなっていくミンギュ。
MG「いや、でもあの時はウジヒョン居なかったからたまたま…」
DN「ヌナ、ヒョンと居る時幸せそうに笑うし、疲れた時いつもヒョンの肩で寝てるよ。それにデビューしてアンチが多かった時も、辛いってヒョンにだけ言ってたじゃん。僕らにはたまたま聞こえちゃったけど…。」
他にもコラボステージ前にアンチが酷すぎてステージにまで罵声が聞こえて来た時があった。
そのせいで過呼吸になりかけた時だって、なまえはミンギュに助けを求めた。
ミンギュに抱き付いて、ウジヒョンに言われた通りゆっくり息を吸ってた。
あの時の悔しさは覚えてる。
僕達13人も居るのに、なまえの目にはいつもウジヒョンかミンギュしか映ってないんじゃないかって思うくらい、なまえが助けを求めるのは決まってこの2人だ。
アタフタしながらも、なまえを包み込むミンギュと、冷静にしっかりなまえをサポートするのはいつもウジヒョン。
いち早くなまえの異変に気付くのもミンギュだとウジヒョンだ。
側にいない時ですら、助けを求めるのはいつもその2人だけなんだよ…。
どうしたの?って聞いても何でも無いよって、それしかなまえは僕たちに言ってくれないんだよ。
DK「なまえの事好きな人なんていっぱいいるんだよ?実際ウォヌヒョンだってその1人だったし。
今なまえはウォヌヒョンでいっぱいだと思うよ。なまえは真っ直ぐな人だから。何でキスしたんだろうとか色々考えてると思う。
このままミンギュが何もしなかったらいつか誰かになまえ盗られてもしらないよ。」
そう言って唖然としてるミンギュを残して部屋を出た。
なまえが幸せなら僕は相手が誰でもいいと思う。
本当は僕を選んで欲しいけど、でもそんなのはもうとっくの昔に無理だって知ってるから。
だからもう未練もない。
ただ、ミンギュはまだ希望がある。
だから諦めてほしく無い。
DN「ヒョン…かっこよかったよ。」
部屋を出た後、ディノが僕の肩をポンっと叩きながら眉を下げるから、ちょっとだけ目頭が熱くなった。
DK「ディノは、平気?」
DN「うん。僕は、どっちかって言うと憧れのお姉さんって感じだから、恋愛感情じゃないよ。」
DK「そっか。」
それが1番幸せだと思う。
世の中にはたくさんの女性がいるのに、なんでよりによって大事な家族同士で1人の女性を好きになってしまったんだろう。
神様は意地悪だ…。
→
ノベルに戻る I
Addict