【act.23 MH】

なまえのドラマが始まった。
さっきまでうるさかったのに、今リビングはシーンと静まり返ってる。

唯一なまえだけ気まずそうにお酒をチビチビ飲んだり、ピザを食べたりしてる。
なまえのドラマの内容も気になるけど、俺としてはテレビよりもドラマを見てるメンバーの方が気になってしまう。

なまえは口をポカンと開けたままドラマに見入ってるホシヒョンの口にポテトフライを突っ込む。
いや、詰め過ぎでしょ。

HS「んっ!なまえヤ!」
「食べさせてあげたのに…。」
HS「う…。」

落ち込んだフリしてるなまえにホシヒョンが慌ててて面白い。

「すにょん、チキン食べる?」
HS「うん。」
「あーん。」
HS「んー、ありがと。」

口は開けてるけど、目はテレビに向けたままのホシヒョンに飽きたのか、今度はなまえをバックハグしたままぴったりくっ付いてるハニヒョンにターゲットを変えたらしい。

「オッパ、飲んでる?」
JH「んー、飲んでるよ。やー、なまえは本当可愛いなぁ。」
「本物はこっちですよー。」

ハニヒョンもテレビに視線を向けたまま。
なんなら俺以外みんなテレビに釘付けだ。

AY『なまえ、諦めなさい。』
「うー。」

アヨンヌナに一喝され仕方なく大人しくなったなまえと、目が合った。
なまえは嬉しそうに手を振って来たから俺も振り返すと、さらに嬉しそうに微笑んで激しく手を振る。

そんな俺らに気付いたジフニヒョンが呆れたように笑うから、ちょっと恥ずかしくなった。

「ミョンホ!」
MH「ん?」
「(そっち行ってもいい?)」

口パクで言ってくるなまえにコクリと頷くと、なまえはそーっとハニヒョンの間から抜け、逃げるように俺の元に走って来た。
その姿はまるでコソ泥みたいだ。

JH「ヤーなまえ!」
「オッパは本物よりテレビのイブがいいみたいだからね!」

何か言いたそうにしてたけど、ドラマが気になるのか後でお仕置きだ!なんて言って再びテレビに視線を移したハニヒョン。

「ミョンホは見なくていいの?」
MH「んー、見たいけどドラマは後で見れるし、今は久し振りになまえと会ったからね、それにこっち見てる方が面白い。」

テレビに釘付けのみんな、キスシーンの時の反応撮りたいな…。

MH「キスシーンっていつ?」
「ん?えっと、あ、もう少しだよ。でもフリだよ?」
MH「うん、知ってるけど絶対皆んなすごい反応すると思うからさ。」

テーブルの上のスマホを手に取って録画ボタンを押す。

「ふふ。」
MH「シー!」
「…あ、次だよ。」

スマホ画面を皆んなに向けたままチラッとテレビを見ればなまえがテヒョンさんとキスしてる場面が映ってる。

いくらキスしてる振りって分かってても、撮る角度のせいか本当にキスをしてるように見える。

スマホの中では皆んなが顎が外れそうなくらい口を開けてるし、何人かは本当に悔しそうな、怒ったような顔をしてる。

みんな分かりやす過ぎ…。

「あー、後で怒られそう…。」
MH「本当にしてるみたいだもんね。」
「…え、やだなぁ、怒られる前に飲んじゃおうか?」
MH「そっちの方が怒られるよ?」

知らなーいっていたずらに微笑んで、ちょうど目の前にあったジュニヒョンが飲んでた度数の強いお酒を一口飲む。

「…わ、無理だ。」
MH「はは、なまえはこっちね。」

なまえも飲めるお酒を渡せば一口飲んで、やっぱりこっちが美味しいなってふにゃりと笑う。

なまえのこと、好きにならない方が無理だなって思う。
だから、こんなに甘やかしたくなるんだよ。

「ハオちゃんも飲んでる?」
MH「うん、飲んでるよ。」
「へへ、そっか。」

ふわっと笑ったなまえの頬を撫でると、猫みたいにすりすりしてくるなまえは本当に可愛い。

WZ「なまえ。」
「んー?」

ウジヒョンがなまえの名前を呼んだかと思うと、少し腕を広げた。きっとここに来いと言う合図だろう。

なまえは俺の手から離ると、ウジヒョンの元に行って腕の中にすっぽりと収まる。

ウジヒョンはテレビを見つめたまま、腕の中に収まったなまえの腰に腕を回す。
その一連の流れはあまりにもスムーズで、悔しいとさえも思えなかった。

ミンギュのベッドでなまえが寝てた時は驚いたけど、こう見るとやっぱり2人が1番お似合いじゃないかと思う。

言葉も必要ない関係と言うか…、本当に昔から知ってるようなそんな関係だと思う。

いや、それにしてもsanctuaryのみんな飲むペース早過ぎない?
これ、後で大変そうだな…。




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