【act.24 JS】

スンチョルから相談があると呼び出されたのが数ヶ月前。

ウォヌがなまえにキス未遂をしたと告げられた。
まあ、なまえに恋愛感情を抱いてるメンバーがいるのは知ってたから、いつかこういう日が来るんじゃないかと思ってたけど、それがまさかウォヌだとはちょっと意外だった。

ウォヌ、ジュン、ボノニ、ミンハオはなまえに対しての感情があまり読めないから。

SC「俺はどうするべきだ?」
JS「どうするもこうするも、なまえから相談とか受けてないんならこのままそっとしておくべきでしょ。」

きっとスンチョルはメンバー同士がギクシャクするのを懸念してるんだと思う。
その心配はもちろん俺もある。

だけど、俺らが勝手に口出しするものじゃない。

SC「皆んなが幸せになる方法はないのか?」
JS「恋愛だと、難しいんじゃないかな。」

振られる方も、振る方も、恋愛はどっちも傷付く。
だからこそ、結ばれた2人は幸せにならないといけないんだと思う。

JS「取り敢えずこの事は誰にも言わないでおこう。そして様子見だね。」
SC「分かった…。」

そんな会話をスンチョルとしてから、飲み会があったけど、その後は偶然なのかなまえとは全く会わなかった。
宿舎は階が違うだけで同じだから、エレベーターで会ったりすることもよくあるのに、なぜか今回だけは避けられているかのように会わなかった。

その間いつものようになまえ溺愛チームはなまえに会いたいと騒いでたけど、ウォヌはその中に混ざる事はなかった。

そして今日、なまえのドラマの放送日に俺たちの宿舎で皆んなでドラマの鑑賞会をしてる。

ハニから逃れたなまえはミョンホと何やら楽しそうに話してる。
他のメンバーはドラマに夢中で、俺もその中の1人だけど。

問題のキスシーンはしてる振りではあったものの、本当にしてるんじゃないかと思うくらい顔は近かった。

これ、絶対怒るやつ出て来るだろうな…。

ドラマが終わった頃には、全員のグラスが空になってた。
静かにお酒を注ぐメンバー達に、ちょっと怯えながらジフニの腕の中にいるなまえ。

顔が真っ赤なところを見るとどうやら酔ってるらしい。

JH「…なまえ。」
「…はい。」
JH「こっち来なさい。」
「ヤダ!」
JH「何で!」
「オッパ怒ってるもん!」

なまえは酔うとさらに子供っぽくなるし、もともと滑舌も良い方ではないから、さらに赤ちゃんみたいになる。

こうなると、なまえ溺愛チーム以外もデレデレになるのはいつものこと。自分も含め。
そんな俺らを止めるのはアヨンとイリムなんだけど、どうやら今日は珍しくこの酒豪2人も酔ってるみたい。

AY『なまえにキスしやがって!!!振りにみえねぇーんだよ!BTSだかABSだか知らんけど許さん!』
IM『そうだそうだ!うちのイブ様にあんなに顔近づけんじゃねー!』

2人が怒ると迫力がすごい。

DK「2人とも落ち着いて!」
IM『あんなの見せられて落ち着いてられるか!!!』
SG「あ、アヨンヌナも落ち着いて!」
AY『あ?スングァナ、あんたなまえヌナが他の男に取られてもいいってのか!?』

……カオス。

HS「なまえヤー!オッパともチューしよー!」
「おっぱじゃないし、チューしてないもん!」
SC「ホシ、やめろー!」
HS「じゃあヒョンチュー!」
SC「ヤー!何で俺なんだよ!」

…カオス。

JH「なまえ!早くおいで!」
「怒ってるからやだ!」

ジョンハニだけじゃなく、ジフニとウォヌも若干イラついてる気がする。

逆にいつもなら絶対怒ると言うか、キャンキャン言うミンギュが大人しい。
何かあったんだろうか。

MG「じゃあ俺のとこ来る?」

なまえはミンギュの顔を見つめて怒ってないか確認してる。

MG「俺は怒ってないよ?おいで?」
JH「ヤー!何でオッパのとこ来ないんだよー!」
「ずっと居たし、怒ってるから!」

手を広げたミンギュに抱きついてくなまえを軽々と受け止めるミンギュと、なまえが来てくれなくて拗ねてるジョンハン。

スヨンも酔っ払ってディノとクプスにうちのなまえがってぶつぶつ言ってる。
まあ明日なまえ以外はオフで、俺らも午後からだからいいけど…。

MG「ヌナ、どこ行くの?」
「トイレ行くの。」

フラッと立ち上がったなまえの体が大きく左右に揺れてる。

MG「危なっ!」

倒れそうになったなまえをミンギュが片腕で軽々と支えた。

「えへへ!」
WZ「えへへじゃない!飲み過ぎだ。ミンギュ、悪いけどこいつに水用意してやって。」
MG「うん、分かった。」
WZ「ほら、行くぞ。」

なまえを支えながらトイレに連れて行くジフニ。
ジフニは小柄だけど、なまえはもっと小さいからジフニが大きく見える。

WZ「やだよ。」
「何でー!おんぶして!」
WZ「わっ!危ないって!ったく!」

廊下からなまえとジフニの声がしたあと、すぐになまえをおぶったジフニがリビングに戻って来た。

MG「ヌナ、水あるよ。」
「んー、ありがとう!」
WZ「下ろすぞ。」
「うわぁ!あはは!」
WZ「ばっ、腕離せ!」

なまえをソファーに下ろそうとして、一緒に倒れたジフニの顔は飲んでもないのに真っ赤だ。
本当に分かりやすい。

2人のやり取りを邪魔したのは、ジョンハンだった。
ジョンハンは無理矢理ソファーに座るとなまえの腕を引く。

JH「こら!なまえ!俺のエギはどうしてそんなに悪い子なの?」
「悪い子じゃないもん!」
JH「チューしたのに?」
「…ドラマだもん!しかもしてる振りだもん!ドギョマなんて本当にしてるじゃん!」

急に名前を出されたドギョマが驚いたように顔を上げる。

DK「え、俺?」
「ドギョマは本当にチューしてるもんね?」
DK「う、うん。アーサーって役だからね!」
「なまえもナナって役だもん!しかも本当にはしてないもん!」

ぷくっと膨れるなまえを、それはもう愛おしそうに見つめるハニの目は、完全に恋してる目だと思う。

「…まだ怒ってる?」

眉を下げて聞くなまえにハニが耳元で何かを呟いてる。
もちろん俺たちには聞こえないけど、なまえの顔がさらに赤くなってるのを見れば、なんかとんでもないことを言ってるんじゃないかと思う。

「…オッパのばか。」
JH「約束ねー!」

何を言ったのか、後でこっそり聞き出してみよ…。




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