【act.26 なまえ】

@sanctuary_ive
セブチからカフェカーの差し入れ
“ 우리들의 귀여운 이브 ”
“ 끝까지 파이팅! 나나! ”


『イブさん、ブイさん、共にクランクアップです!お疲れ様でした!』

スタッフさんから大きな花束を貰う。
今日で撮影が終わった。

撮影の間、メンバーとセブチからカフェカーの差し入れやおやつカーの差し入れがあった。
その度にインスタに載せれば、嬉しそうにセブチから返事が来た。

もちろんシカトしたけど。
あんまり公共の場で仲良くしたくないのが本音だ。

最初は酷かった私への誹謗中傷も、放送回数が増えるごとに減っていった。
完全に消えたわけじゃないけど、少しは認めてもらえたなら嬉しい。

TH(テヒョン)『なまえお疲れ!』
「テヒョンさん、お疲れ様でした。ありがとうございました。」
TH『ねー、いつまでそんな他人行儀なのー!敬語もやめてオッパって呼んでよー!』

撮影の間、なるべく距離をつめないように心がけていた。テヒョンさんは4次元だから大変だったけど。

「…テヒョナオッパ?」
TH『そうそう!それ!キスした仲なのにー!』
「ただの振りです。」

いたずらに笑ってるテヒョンさんは本当に怖い。
私の命はいくつあれば足りますか?

TH『なまえ!カトク教えて!約束したでしょ?』
「…え?」
TH『酷い!俺クランクアップまでずっと我慢してたのに!俺達キスした仲なー…』
「もう分かったからそれやめて下さい!」

心臓に悪いよこの人。
仕方なくカトクを交換して衣装から私服に着替える。

本当は打ち上げの話もあったらしいけど、テヒョンさんも私もアイドルだし、次のスケジュールもあるってことで無くなったみたい。

私としては無くなって良かったけど。

TH『今度ご飯行こう!誘うから!』
「じゃあハニオッパ達も空いてる時に…」
TH『え、2人きりじゃないの?』
「…そんな事したらファンに殺されます。」

そんな事ないよーって笑ってるテヒョンさんが私は心底怖いです。
ファンの恐ろしさを分かってないんだから。
きっとエゴサとかしないんだろうな…。

TH『俺本気だよ?2人で行くまで誘い続けるからね!』
「テヒョンさんがおじいちゃんになったら行きましょう。」
TH『俺のこと嫌いなの?俺はなまえのこと好きなのに!』

…反応に困るな……。
嫌いとかではないけど、極力トラブルは避けたいと言うか…。

早く車来ないかな…。

TH『困ってる顔も可愛いね!本当にキスしちゃいたい。』
「…え?あ、あの…」

「俺のなまえ口説くのやめてくださーい。」
「ヒョンのじゃないから。ヌナー!」

聞き慣れた声に顔を上げれば、私の乗るバンの前にハニオッパとミンギュが居た。

大きく手を振るミンギュとハニオッパに駆け寄る。

「え?何で居るの?」
TH『そうだそうだー!何で居るんだよ!』
JH「ヤー!一言目がそれかよ!もっと喜んでよ!そしてテヒョナは黙ってて!」

勿論嬉しいに決まってる。
撮影が大詰めを迎えてから、なかなかみんなと会えなかったんだもん。

MG「なまえヌナに会いたくて迎えに来た!」
「んふふ!2人ともありがとう!」

嬉しくて2人に抱き着けば、ハニオッパもようやく機嫌を直してくれたみたいだ。

TH『今度なまえ借りるからねー!』
JH「だめです!」
TH『ハニより俺となまえの方が親密だからね?チューした仲だし!』

ねえ、この人本当に何回言うのよ!
そんなこと言ったら2人とも絶対うるさいじゃん!

JH「所詮ドラマでしょ!しかも振りじゃん!プライベートのキスは俺がもらうから!」
「…え?オッパ何言ってんの?」

ヤーって怒ってるオッパをよしよしとなだめる。

MG「……行こ、みんな待ってる。」

…ミンギュ?
いつもならミンギュもヤイヤイ言うはずなのに。
体調でも悪いのかな?

「…ミンギュ?大丈夫?体調悪い?」

ぐっと手を伸ばしてミンギュのおでこに手を当てる。
熱はなさそう。

MG「大丈夫だよ、ヒョン!行くよ!」
JH「うん!じゃあな!」
TH『またねー!なまえもまた今度ね!連絡するー!』
「はい!お疲れ様でした。」

手を振って車に乗り込んだら、今度はありませんってハニオッパに怒られた。
オッパ、大丈夫だよ、私そんなに命知らずじゃないから。

MN『なまえ、これ食べてね。』
「オンニごめん、あんまりお腹空いてない…。」
MN『ミンギュが作ってくれたのに?』

マネオンニから渡された少し形の歪なおにぎり。
大きいと思ったら、ミンギュが握ってくれたらしい。

MG「なまえ最近食べないってヌナが言うから、おにぎりなら食べるかなって作ってみた。中身はなまえが前好きって言ってたすじこだよ。形悪いけど食べて?」
「うん!食べる!いただきます!」

確かに最近食欲が無かった。
ドラマの撮影に、ドラマに関連した取材や、コンテンツの撮影、sanctuaryの撮影とか色々忙しくて食べるより寝たいと思ってたから。

MG「美味しい?」
「うん!おいひい!」
MG「ふふ、ご飯粒ついてる!」

私の口についたご飯粒を手に取りそのまま食べるミンギュが、なんだかとてもカッコよくて、思わず見惚れてしまった。

JH「食べてる時のなまえはより子供に見えるね。」
「そんなこと言うオッパにはおにぎりあげないからね!」
JH「えー、一口!」
「子供じゃないからね?」

分かってるよ!と言って笑ってるオッパに、なるべく私が口を付けてない部分を差し出す。

「美味しいでしょ?」
JH「うん!おいひい!今度俺らにも作って!」
MG「うん。でも三角に握るコツはヌナが教えてね?」
「うん!」

ミンギュが作ってくれた大きなおにぎりを、結局3人で食べた。

「ミンギュ!」
MG「ん?」
「ごちそうさまでした!」
MG「喜んでもらえて良かった!」

お腹も満たされて眠くなって来た…。
重たくなる瞼を必死に開ける。

JH「着くまで寝なー。」
「いや、寝な……い…」
MG「…うん、もう寝てるし。」
JH「本能のままだな。それが可愛いけど。」

気付けばオッパの膝枕で寝てしまった。




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