【act.17 なまえ】

歌謡祭当日。
楽屋に行けばスタイリストオンニが私目掛けて一目散に駆け寄って来た。

「オンニ、おはようございます!」
『おはよ!それよりなまえ!最高になまえらしいマレットドレス見つけちゃったよ!だからそれ着て!いい?』
「うん!オンニに任せる!」

どんなドレスなんだろってドキドキワクワクしながらヘアメイクを終える。
ヘアは高めの位置でポニーテールにされた。

先に着替えたスヨンオンニとアヨンオンニが出て来る。
2人ともマジで綺麗。

「アヨンオンニかっこいい!スヨンオンニは綺麗過ぎる!」
AY『うちの姫達を守らないと行けないからね。』
「リアル宝塚だよ、オンニ。」

やっぱり身長が高いっていいな。
イリムもジェウンも皆んな綺麗。

何で私だけこんなにちんちくりんで童顔なんだろ、嫌んなるわ。

『じゃあ最後、なまえ!行くよ!』
「うぃ〜!」

メンバー達に手を振り初めて衣装を見る。
ブラックのマレットドレス、後ろはヒラヒラと羽根みたいで、胸元にはスタッズがついてる。

いつもドレスの時はハイヒールが多いけど、今日は14cmの高さのあるミドルブーツ。
チョーカーにレザーブレスレット、ガーターベルトはまさに、私好み。

だからメイクもスモーキーなんだと納得した。

『待って、やばい。なまえやばい。写メ撮ろ。』
「オンニが興奮してる!」

でもその気持ちも、分かる。マジでやばいこれ。
めっちゃ好き!

散々写メを撮られた後、オンニに隠されながらみんなの元に戻る。

『なまえやばいよってあんた達もいたの?』

オンニの言葉にヤーヤー文句を言ってる声が聞こえる。
どうやらセブチがいるようだ。

だから途中からうるさかったのか、納得。

IM『写メの準備オッケーです!』
MG「こっちも!」

いや、そこまでせんでも…。

『なまえいいわよ!』
「いや、そこまでしなくても大袈裟すぎー…いや連写!」

連写音と共に聞こえて来たのは溜め息にも似た声。

AY『オンニ天才だわ!』
『でしょ!?』
DN「うわぁ…!」
SG「ヌナやばい!」
JS「なまえは凄く似合ってるけど、このドレス提案したミョンホも天才だね。」
MH「ここまでいいとは、思わなかったよ。」
JN「いつも可愛いけど、今日は格別だね。」

それは似合ってるでおっけ?

「似合ってる?個人的にはめちゃくちゃタイプなんだけど…。」
VN「なまえヌナのための服ってくらい似合ってる!」
DK「うんうん!本当オーダーメイドみたい!」
HS「おま、まじヤバい!好き!」
「おい、急にノリで告白してくんなよ!」

よく分かんないけど、似合ってるみたいで良かった。

「今日はジフナより身長高いよ!」
WZ「喧嘩売ってんの?」
「売ってません。」
WZ「嘘だよ、似合ってる。」
「ふふ、ありがとう。」

ブーツのおかけでいつもより身長が高い。
みんな普段こんな景色なのか。

JH「綺麗過ぎて見間違えたわ。」
「へへ、今日は大人っぽいでしょ?」
JH「そうだな。うん。めちゃくちゃ綺麗だよ。」

いつもならわーって来るのに今日はどうしたんだろ…。
そうか大人な私に照れてんだな。

SC「孫にも衣装だな。」
「チェスンチョル。」
SC「ヤー!オッパに向かってなんだよ!」
「うるさい、チェスンチョル。」

うちのマネオンニとセブチのマネオッパがエスコート役を決めてる。

私たちが2組とも歌謡祭や、授賞式に出る時はいつもセブチがエスコートすることになってる。
何でかは知らないけど。

いつもはジフナかチャナかスングァニ、ハニオッパ。
だけど今日は揉めてるから違うっぽい。

WN「お前、誘ってんの?」
「そんなにセクシーかい?」
WN「目のやり場に困るわ。」
「ふふ、余裕なくせに。」

キスしても、なんか普通に話してる自分達がちょっと怖い。ウォヌが何にも変わらないから私も普通に話せるんだけど…。

WN「でもめっちゃ似合てるよ。独り占めしたい。」
「…急にそう言うこと言うのやめてよ。」
WN「ふは!可愛い。」

これは前とは違う。前はこんなこと言わなかった。
何なんだウォヌよ…。

MN『待ちに待った今日のエスコート役を発表するぞ。』

セブチのマネオッパがそう言えば皆んな姿勢を正す。その姿が面白くて思わず吹き出す。

MN『まずスヨンのエスコート役は、スンチョル。アヨンのエスコート役はジュン。』

リダズと宝塚コンビはいつも通り。
アヨンオンニとジュンが並ぶとこの世の美を全て詰め合わせた感じになるんだよね。

MN『ここからはいつもと違うぞ。』

マネオッパの言葉にざわつくセブチが面白い。
そんなみんなを見ながらチュッパチャップスを舐める。

MN『まずイリムのエスコート役は、ウォヌ。』
IM『ちゃんとエスコートしてねオッパ。』
WN「はいはい。」

イリムはもとの身長が高いからそこまで高いヒールは履かない。それでも180近くなるから、いつもミンギュがパートナーなのに。

でもイリムもウォヌもシュッとしてるからかっこいい。

MN『ジェウンのエスコート役はジョンハン。』

これもお似合いだよね。ふわふわしてるジェウンと、見た目だけ天使のハニオッパが2人並ぶと天使と天使の戯れなんだよね。

MN『はい、じゃあ最後なまえのパートナーな。って祈るなよ!』

まだ名前が呼ばれてないメンバーが祈り出して、思わず笑いがおこる。
ジフニとスングァニとチャニはもう諦めムードだけど。

MN『なまえの今日のパートナーはミンギュにする。』
MG「え!?俺!?ヒョン!マジで俺!?」
MH「興奮し過ぎでしょ。」

どうした!?ってくらいアタフタしてるミンギュを飴を食べながら呑気に見てたら隣にスニョンが座った。

HS「ミンギュめっちゃ喜んでる!俺もなまえエスコートしたかったー!」
「ただレカペ歩くだけじゃん?」
HS「お前、分かってないな。」

はあと大袈裟に溜め息を吐くスニョン。
そんなに重大なことなのかな?
まあ、いいや。

「TWICEに会ってくるけど行くー?」
MG「だめ。」

後ろから抱きつかれていつもより近くからミンギュの声が聞こえた。
顔を向ければ、私の身長が高くなっていつもよりミンギュの顔が近い。

立ってる時はいつも頭1個以上違うから気にしてなかったけど、今日はちょっと照れるな。

「何がダメなの?」
MG「今日は楽屋から出ちゃダメ。」
「何でさ。」
MG「俺のだから。」
「…俺の?ってあー!私の飴!」

私の舐めてたチュッパチャップスを奪ったミンギュから奪い返そうと手を伸ばした。
それでも届かないってやっぱり大きいんだな。

MG「この身長差いい。」
「…ごめんね、小さくて。」

もう脱走してやる!
何度か脱走を試みたけど、成功することはなかった。




ノベルに戻る I Addict