【act.19 SC】
「…やだ、ミンギュと一緒に居るの…。」
MG「…じゃあ一生…、死ぬまで俺のそばに居てよ。」
「うん…いる。」
甘い雰囲気がミンギュとなまえを包んでる。
この2人はたまにすごくカップルみたいな雰囲気を放つ時がある。
今がまさにその時だ。
もしなまえに好意があるのがミンギュだけだったら、さっさと告って付き合っちまえ!って思うくらいモヤモヤする2人。
腕の中で寝てしまったなまえをとても大事そうに抱き締めてるミンギュは、本当に幸せそうだ。
だけど、なまえに好意を持ってるのは少なからずウォヌは確定な訳だから、そう無責任なことは言えない。
今の一部始終をウォヌが見てなくて良かったと心から思った。
もちろん皆んな幸せになって欲しい。
メンバーもsanctuaryのみんなにも。
でもなまえは1人しか居なくて、そんななまえが選ぶの1人だけ。
俺らの中の誰かかもしれないし、それ以外かもしれない。
世知辛い世の中だな…。
AY『何でそんな辛気臭い顔してんの?老けるぞ。』
SC「は?まだピチピチだわ!」
ガハハと豪快に笑うアヨンと、少し切なげな表情でなまえとミンギュを見てるスヨンは本当に正反対な2人だと思う。
DN「スヨンヌナはずっとミンギュヒョンとなまえヌナのこと見てるね。」
SY『…うん。なんか、切ないなって思って。』
そう言ってジョンハンに視線を移すスヨン。
…切ない?
JH「…何で俺を見るんだよ。」
SY『別にー。』
何なんだろう。
スヨンはミンギュが、好きとか?
それともジョンハニ?
SG「なまえヌナが5つ子とかだったら良かったのにね。」
DN「わかる!そしたら皆んな幸せになれるのに。」
誰もはっきりと口にはしない。
ただ感じ取ってるだけ。
JH「なまえは1人だからいいんだよ。」
そう言ってミンギュの腕の中で眠るなまえを見るジョンハンの表情があまりにも切なげで、苦しそうで。
この時に初めて気付いた。
何で俺は今まで気付かなかったんだ…。
ジョンハンもなまえが好きなんだ…。
ジョンハン自身はそれに気付いてるのか、気付かないふりをしてるのかは分からないけど…。
JS「あー疲れた!」
イリムを送り届けて宿舎に戻ってきたシュア。
DK「お疲れ様。はい。」
JS「ありがとう!」
ドギョムからグラスを受け取ると、一気に飲み干すシュア。
AY『今日は大人しく寝た?』
JS「いや、俺となまえに挟まれて寝るってきかなかった。」
AY『あはは!酔っててもブレないやつだな!』
イリムはきっとシュアのことが好きだと思う。
シュアの言う事だけは聞くもんな。
DN「何でイリムヌナってあんなになまえヌナのこと好きなの?好きの具合が男並じゃん?」
DK「確かにちょっと異常だよね。」
まあ異常だよな。
アヨンもなまえ親衛隊だけど、イリムはまじで異常だと思う。
性別違ってたらなまえのこと本気で襲うんじゃないかと思うわ。
SY『イリムが練習生になったばっかりの時さ、あの子結構キツい性格で、物怖じせず何でもズバズバ言うから他の練習生に嫌われてたの。』
AY『今より暴れん坊だったしなぁ。』
目に浮かぶわ、イリムがズバズバもの言う姿。
SY『なまえはなまえで、実力はあるんだけど韓国語が不自由で言いたい事伝えられないから、あんまり良く思われてなかったのね。』
JH「なまえは今も苦手な韓国語いっぱいあるもんな。」
SY『ふふ!そうだね。ある日、先生が決めたランダムグループで月末評価をするってなって、なまえとイリムは同じグループだったんだけど、同じグループの子達が全然やる気なくて。イリムは当時から踊りには本気で、後から入ってきたくせに威張るなー!みたいな。』
ようはやっかみか。
それは俺は男子のグループでも少なからずあった。
SG「それでそれで!」
SY『それでね、なまえがブチギレたの!』
SC「え?なまえが?」
AY『そうそう!しかも日本語で!』
JS「日本語なら何言ってるか分かんないじゃん。」
SY『だけど、イリムは自分のために泣きながら怒ってくれたのが嬉しかったみたいで。そこからなまえにべったり!』
なるほどな…。
そりゃイリムがあんだけなまえラブなのも納得だわ。
SY『なまえはふわふわしてそうに見えて、芯がしっかりしてるからね。だからこそ、無理し過ぎて心配になるんだけど。』
DN「もっと甘えたらいいのに。」
AY『なまえは甘え方が分かんないんだよ。』
甘え方が分からない?
どう言う意味だろ…。
AY『だから何も言わずにだだ側にいる同期のジフニか、いつもなまえの周りでキャンキャン走り回ってるミンギュにしか甘えないんだよ。って言うか、甘えられないが近いのかな。』
SY『2人だけは何があっても絶対にそばに居てくれるって安心感があるのかもね…。』
練習生として入ってきたなまえと、1番最初に仲良くなったのは意外にもジフニで、次がミンギュだった。
JH「俺だってずっとそばに居てあげるのに…。」
意識的なのか、無意識なのか、ミンギュの腕の中で気持ち良さそうに眠るなまえを見つめながら呟いたジョンハンの声が何人に聞こえていたのかは分からない。
ただ、あまりにも悲しそうで、涙が溢れそうになった。
SC「ミンギュや、風邪引くからなまえ寝かせておいで。」
MG「…あ、うん。」
なまえを大事そうに抱き締めたまま、リビングを出て行くミンギュ。
JH「エギも寝たし、俺もそろそろ寝るわ!じゃあね!」
ふらふらっと立ち上がり、いつものようにふわふわの笑顔を向けリビングを出て行ったジョンハニの背中は、やっぱりいつもより寂しそうだった。
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