【act.20 SG】

なまえヌナが甘え下手なのは、皆知っていて、そんなヌナが決まって甘えるのはウジヒョンかミンギュヒョンで。

いつだったか、ヌナと2人で話した時に聞いたことがあった。

SG「ヌナは何でウジヒョンかミンギュヒョンにしか甘えないの?僕にも甘えてよ!」
「え?私皆んなに甘えてるよ?スングァナにも甘えてるじゃん?」

惚けて言ったのか、それとも本音なのか分からなくて、僕が「そんな事ないよ。ヌナが甘えるのは決まってあの2人だ!」ってちょっとムキになって言ったら、ヌナはちょっと困ったように笑って「ごめんね、無意識だ。甘え方よく分からなくて。でも今度からはスングァナにもいっぱい甘えるね。」って言ってくれた。

それからヌナは本当に甘えてくれると言うか、ちょっと疲れたとか、前よりも言ってくれるようになったけど、本当に心から甘えるのはウジヒョンかミンギュヒョンだけなのは変わらなかった。

SY『2人だけは何があっても絶対にそばに居てくれるって安心感があるのかもね…。』

スヨンヌナの言葉に心が痛くなる。

JH「俺だってずっとそばに居てあげるのに…。」

それよりも痛いのはジョンハニヒョンの心だろう。
僕は気付いてた。
ジョンハニヒョンもヌナのことが好きだってこと。

エギって子供扱いして、妹みたいな存在って言ってるけど本当は違う。
だから今だって、凄く切ない表情でミンギュヒョンとなまえヌナを見てるだ。

あぁ、何でなまえヌナは1人しか居ないんだろう。

SC「ミンギュや、風邪引くからなまえ寝かせておいで。」
MG「…あ、うん。」

なまえヌナを大事そうに抱き締めたまま、リビングを出て行くミンギュヒョン。
ミンギュヒョンもジョンハニヒョンも拗らせすぎ…。

JH「エギも寝たし、俺もそろそろ寝るわ!じゃあね!」

いつも通りふわふわっとリビングから出て行ったジョンハニヒョン。

JS「スングァナ?何で泣いてるの?」
SG「だって…切な過ぎて…。」

どれだけの人がなまえヌナを好きなんだろう。
僕だって勿論好きだ。

でもそれは恋愛感情より本当のお姉さんみたいなものだと思う。

DN「僕は…怖い。」
SC「何が?」
DN「ばらばらになっちゃわないかが…。」

ディノが言いたい事はよく分かる。
僕も同じ気持ちだ。

もしなまえヌナが誰か1人を選んだら、僕らはバラバラになってしまうんじゃないかと思って怖くなる時がある。

DK「…ディノの気持ち分かるわ。」
AY『あたしも怖いよ。なまえがあんたらの好意に気付いた時、自分を責めて、消えちゃうんじゃないかって…。』

アヨンヌナの気持ちもわかる。
なまえヌナは正義感が強いから、自分のせいで僕たちがバラバラになるかもしれない、自分のせいで辛い思いをしてるかもしれないって知ってたら、急に居なくなってしまうんじゃないかって…。

SC「本音を言えば、何も変わらないのが1番なんだろうなきっと…。なまえは1人しか居ないし、なまえへの気持ちを無くせとは言えないし。だったら、このまま、何も無いのがいいよな…。」
SY『うん…。でもきっとそうともいかないんだよね。だから皆葛藤してるんじゃないかな…。どこぞの夢小説みたいに、皆んなで分け隔てなく愛し愛されますなんて、そんな事普通に無理だもん…。』
AY『モテすぎるのも大変だな…。』

皆んなが幸せになる方法はないのかな…。
しんみりとした時間が流れる。

皆んな其々きっと幸せになれる方法を考えてると思う。

DN「ちょっと話変わるんだけど、本当になまえヌナにキスシーンさせるつもり?」

マンネの急な発言に、スヨンヌナとアヨンヌナの表情が険しくなる。
それとは反対に、明るい表情になったスンチョリヒョン。

AY『スンチョル、なんでそんなに嬉しそうなんだよ!』
SC「いや、ごめん!言い忘れてたけどなまえのキスシーン阻止したぞ。」

……!?

SG「え!?」
AY『まじ!?』
DK「本当に!?」

僕、ドギョムヒョン、アヨンヌナの声がそれぞれ重なる。

JS「ちょっと静かにしようね!皆んな寝てるから!ってクプス、みんなに言ってなかったの?」
SC「今日言おうと思ってたんだけど、忘れてた!」

そう言って呑気に笑ってるクプスヒョン。
いや、笑い事じゃ無いって!

SY『それ本当なの!?』
SC「本当だよ。俺とシュアとハニで事務所に頼んできた。」
AY『マジかよ!お前らやるじゃん!!!』

そう言って嬉しそうにクプスヒョンの背中を叩くアヨンヌナと、ホッとしたように胸を撫で下ろすスヨンヌナ。

DN「僕らも知らなかった!いつそんな話ししてたの?」
SC「いやさ、ジョンハンが初めてがドラマなんてなまえが可哀想だって。」

可哀想なのもあるし、ジョンハニヒョン自身嫌だったのもあるんだろうなきっと。
正直僕だってなまえヌナが僕ら以外の誰かとキスするところなんて見たく無い。

SG「じゃあ明日みんなに言おう!イリムヌナも安心するでしょ!」
JS「でも実際にキスはしなくなったけど、してる振りはあるからね?」

…じゃあ振りだって言わなきゃ、本当にしてると思うやつか…。

DN「振りでもちょっとヤダ。」
SG「シスコン。」
DN「スングァナヒョンもでしょ!」
DK「やだけど、本当にしないだけましだよ!」

確かにそうだ。嫌だけど。

AY『なまえにもカトクで教えとこう!あの子本当悩んでたから!』

嬉しそうになまえヌナにカトクを送るアヨンヌナ。
まあ、阻止できたならよかった!

DK「そろそろ寝る?」
JS「そうだね。寝よっか。」

残ってるメンバーで片付けをして、それぞれの部屋へと戻って行く。

そう言えばミンギュヒョンは?
僕らが片付けてる間に帰ってきた?
それなら片付け手伝いに来そうだけど…。

SC「じゃあな、おやすみ。」
AY『おやすみ。』
SY『おやすみ。』

自室に戻ってベッドに寝転がる。
ジョンハニヒョンはもう眠ってるのか…。

どうか皆が幸せになれますように…。
僕らがバラバラになりませんように…。
なまえヌナがいなくなりませんように…。

僕の大切な人たちが、ずっと笑っていられますように…。




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