【act.21 MG】
………パシッ!
MG「…痛っ!」
MH「シー!静かに!」
気持ち良く寝てたのに、パシッと頭を叩かれて目が覚めたらエイシが険しい表情で俺を見下ろしてる。
MG「あ、おはよ…って何でそんな怖い顔してんの?」
MH「…何でなまえがそこに居るの?」
ん?あ、あっ!そうだった!
MG「いや、昨日なまえが俺の腕の中で寝ちゃってさ。」
MH「それでお持ち帰りしたと。」
MG「え?は!?ち、違うって!」
「…んっ。」
俺の声になまえは可愛らしい声を漏らしたあと、少し離れた俺の胸にまたピタリとくっつく。
死ぬほど可愛い…。
MH「顔…。鼻の下伸びすぎ。」
MG「ご、ごめん。可愛くて。てか、俺がお持ち帰りしたんじゃなくて、なまえが離れてくれないし、俺と居るって言うから…。」
そう、昨日俺はちゃんとなまえを宿舎のなまえの部屋に送り届けた。
勿論、嫌だなーって思ったけど、なまえに嫌われたくないし、我慢してなまえを連れて行った。
起こさないようにそっとなまえをベッドに寝かせる。
そっと体を離し、可愛いななんて思いながらなまえの顔にかかる髪の毛をどかした。
酔っ払って朱色に染まった頰と唇。
酔ってるせいで少し荒い呼吸は、いつもよりも色っぽくて見てるだけで理性が壊れそうになる。
もう行かないと…。
朱色の唇をそっと撫でると、なまえの目がゆっくりと開いた。
MG「あ、ごめんっ!」
慌ててなまえの顔から手を離そうとしたのに、なまえはその手を掴んだ。
MG「なまえ?」
「ミンギュ…。」
MG「ん?どうしたの?具合悪い?お水持ってこようか?」
そう言って立ちあがろうとした俺の手を更に掴み、小さく首を振るなまえは、俺に捕まるようにしながら上半身を起こすと、真っ直ぐに潤んだ瞳で俺を見つめる。
MG「…ちょっ、なまえ?本当にどうし…」
「……の。」
MG「ん?え?」
「…今日はミンギュと一緒に寝るの!」
…え?
MG「ええ!?」
な、何を言ってるんだこの子は!?
酔いすぎだ!
MG「ちょっ、なまえ酔い過ぎだよ。ね、今日はもう寝…」
「ミンギュはいやなの?」
MG「え?」
なまえの目がどんどん潤んでいく。
「ミンギュはなまえと一緒に寝たくないの?なまえのこときらいなの…?」
MG「いやいや、何言ってるの!?大好きに決まってるじゃん!俺だってなまえと一緒に寝たいけど…」
「じゃあ一緒に寝るもん!」
寝るもん!って…。
可愛過ぎる!!!こんなの耐えられないって!!!
MG「でも、ほら、明日イリムとかに俺怒られ…」
「…約束したもん。離れないって…。」
…あぁ、もう無理だ。
MG「なまえ?」
「…ん?」
MG「ごめん。」
「…え?」
耐えられなくて、俺はなまえの朱色の唇に自分の唇を重ねた。
動かないなまえに、恐る恐る唇を離すとなまえはすっかり泣き止んでて、さっきよりも真っ赤になっていた。
MG「ふはっ!もう本当可愛い。」
「…ふぇ!?」
MG「一緒に寝よっか。でもここじゃまじ明日の朝イリムに殺されるから、俺の部屋行こ。」
まだ動揺してるなまえを抱き抱えて、そっと自分の部屋に戻る。
なまえはその間、一言も話さない。
自分の部屋に着いて、なまえをベッドに寝かせ俺も横になる。
MG「…嫌いになった?」
さっきから何も話さないから不安になって、恐る恐る聞いてみた。
「…なってない。」
MG「本当?」
「恥ずかしいだけだもん!」
そう言ってまた俺の胸に顔を埋めるなまえが可愛くて、理性を抑えるのに必死だった。
MG「も、もう寝な。」
「うん…。ミンギュも寝る?」
顔を上げて俺を見上げるなまえの前髪を耳にかけながらコクリと頷く。
MG「うん、一緒に寝るよ。」
「へへ!」
なまえは眠たかったのか、俺の返事を聞くや否やすぐに眠った。
俺の明日何人に怒られるんだろな…。
でも、いいやどうでも。
MG「おやすみ、俺の愛しい人。」
おでこにキスを落とし、小さななまえを抱きしめながら俺もいつの間にか眠っていた。
そして、今に至る…。
MH「はぁ…。なまえも危機感無さすぎ!って何もしてないよね?」
MG「も、もちろん!」
疑うような視線を向けるエイシに慌てて返事を返す。
「…んっ……あ、ミンギュ…。」
腕の中からなまえの声が聞こえて、エイシからなまえに視線を戻す。
MG「おはよ。ごめんね、うるさかった?」
「ううん……………ミンギュ?」
MG「ん?」
「ミンギュ!?え!?ここは!?って…痛っ!」
なまえは勢い良く起き上がったものの、二日酔いなのか頭を抑えてまた俺の胸に倒れ込んでくる。
MH「なまえ、飲み過ぎ。」
「はおちゃーん!うぅ…ごめんなさい。」
MH「全く…。薬持ってくるか待ってて。」
エイシはそう言うと部屋を出て行った。
MG「なまえ、大丈夫?」
「大丈夫じゃない…。って言うか、ミンギュごめん!!!」
…ん!?え!?何が!?
「私酔っ払ってミンギュに絡んだんだよね!?それでここで寝ちゃったんだよね!?」
MG「う、うん、ま、まぁそんな感じ…。」
この感じだと昨日の記憶は無さそうだな…。
「ほんっとごめんね!私ミンギュのこと襲ったりしてないよね!?」
MG「え!?なまえが俺を!?」
MH「逆じゃなくて?」
「え?」
MH「はい、水と薬。」
薬と水を持ってきたエイシが部屋に戻ってきて、なまえに手渡す。
「ありがとう!」
MH「なまえは昨日の記憶ないの?」
「うん…。なんか断片的には覚えてるんだけど…。ミンギュ、本当にごめんね?」
覚えてないと聞いて、まあ予想はしてたけど、昨日のやり取りを覚えていないのはやっぱり悲しい。
MG「俺は大丈夫だよ。甘えん坊のヌナ可愛かったし!」
「やー!やっぱり迷惑かけてるじゃん!」
MG「全然迷惑じゃないよ!もっと普段から甘えてくれてもいいんだよ?」
なまえは照れたように笑いながら、枕元に置いたスマホを手に取る。
時刻はまだ朝の6時前。
エイシは早起きだな。
「みんな今日仕事?」
MG「午後からね。」
MH「ごめん。僕がトイレに起きたらミンギュのベッドになまえが寝てたから、ミンギュがお持ち帰りしたんだと思って起こしちゃった!」
MG「だからそのお持ち帰りってやめて!」
間違いではないけど…。
「私の方こそ朝からびっくりさせちゃってごめんね。ってアヨンオンニからカトク入ってる…。」
…え、もしやなまえがいない事がバレたんじゃ…。
MH「自業自得。」
ドキドキしてる俺を見透かしたように、冷たく言い放つエイシ。ってか今日のエイシなんか冷たくない?
「…え!?嘘!?」
MG「何!?どうしたの!?」
スマホから顔を上げたなまえの表情は、二日酔いなんて感じてないくらい晴れやで、俺とエイシは顔を見合わせる。
MH「何かいいことあった?」
「キスシーン無くなったんだって!」
MG「え!?本当!?」
MH「ミンギュ煩い!みんな起きる!」
MG「ごめん。本当に?」
なまえはコクリと頷くと、アヨンヌナから来たメッセージを読み上げる。
「“クオズが交渉してキスシーン阻止してくれたぞ!”だって!」
嬉しそうななまえに、俺も嬉しくなる。
MH「初めてがドラマじゃなくて良かったね!」
「うん!安心したら眠くなってきたー!」
MH「ははっ!寝るなら部屋戻らないと!送ってくよ!」
MG「俺が行くよ!」
MH「ミンギュが行ってイリムに見つかったらどうすんの?」
…確かに。
MG「お願いします。ヌナ、またね!」
「うん!寝床取っちゃってごめんね!」
ひらひらと手を振ってエイシと部屋を出て行くなまえ。
今度はなまえが覚えてる時にちゃんとキスしたいな…。
なまえの香りが残るシーツを抱き締めてそう思った。
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