【act.29 なまえ】

今年のコラボはセブチとじゃなく、BTSとらしい。

セブンティーンは新人の子達と踊るみたい。
どうせ舞踏会コンセプトで分かれるだけなら、いつも通りセブンティーンとの方が気楽でいいのに…。

またいっぱい叩かれるな…。

BTSは忙しいようで、今日が初めてのペアでの練習。

『ペア発表するわね。別々に練習してるのを見たのと、身長差で決めたから、実際踊ってみて変更する可能性もあるからね。』
TH『俺はなまえとだよね?』
「…ちょっ、テヒョンさん。」

肩を抱かれて驚いてる私に、イリムが威嚇してる。

TH『オッパって呼んでって言ってるでしょ?』
『イチャつくのはそこまでにして、ペア発表するよ。』

順番にペアが発表される。

スヨンオンニはジンさん。
アヨンオンニはRMさん。
ジェウンがSUGAさん。
イリムがテヒョンさんとジェーホープさん。
私がジョングクさんと、ジミンさん。

イリムがテヒョンさんとペアになるって言われた瞬間の顔はちょっと酷かった。

JM『宜しくね、俺もテヒョンと同じだからオッパって呼んでね。』
「よろしくお願いします。」
JG「なまえさん、俺はミンギュと同じ年だから気軽に呼んでください。よろしくお願いします。」
「こちらこそ宜しくお願いします。」

皆んながそれぞれ挨拶をしてる。
ジミンさんもジョングクさんもダンス上手だから頑張らないと。

『じゃあペアになって練習するぞ。』

流れ的にまず私とジョングクさんが踊る、そしてイリムとジェーホープさんが踊る。
ジョングクさんとジミンさんが私を取り合うように、テヒョンさんとジェーホープさんがイリムを取り合うように踊るらしい。

何と無く一度通して合わせてみたけど、社交ダンスっぽい所は、恥ずかしさもありうまくいかない。

『なまえはもっとくっついて!もっと情熱的じゃないと!イリムを見習いなさい!』
IM『ダメ!なまえオンニは男と近付くの禁止!』
『それなら踊れないだろ。なまえは照れ屋だから男から行かないと。こうだよ。』
「うわ!」
『お前らもこれくらい近付けよ!』

…まじか。
こんなに近いなんて…、きっとアーミーに殺されるな。

その後何回も合わせたけど、やっぱり距離があると言われた。

『ペア変えるか?なまえとテヒョンはドラマでキスシーンしてるし、ペアにするか?』
TH『そうしよう!』
「え、ちょっ…ち、近いです。」

急にテヒョンさんに腕を引っ張られ腰を掴まれたから、顔が近い。

絶対殺されるわ…。

『じゃあテヒョンとジミン交換で。今日の合同練習はここまでだ。次の合同練習は5日後だからな。』
『女子は本番はドレスとヒールだから、それで踊れるように明日から練習するよ。』
AY『え、明日からドレス?』
『練習用に用意してあるから、それを着て練習ね。』

どんなドレスなんだろう。
ロングだとは言ってたけど、私とジョングクさんのペアダンスは結構足上がるんだけど…。

TH『またね、なまえ!』

軽くハグをして帰って行くテヒョンさん。

IM『テテなまえオンニに近づき過ぎなんだけど!』

BTSが出て行った後、イリムが溜まってた怒りをぶち撒ける。

SY『セブチもうるさそうだね。』
AY『ジョンハン、ミンギュ、ホシはギャーギャー騒ぐだろうな。』
IM『ここは騒いでもらおう!まだ練習してるなら覗きに行こ!』

邪魔になるよとか言いながらも、スヨンオンニもノリノリでセブンティーンの練習室に向かう。

JW『スングァニオッパが女の子と社交ダンスみたいな振りしてたらちょっと笑っちゃうかも。』
「ふふ、スングァニだって男の子だよ?」
IM『…げっ。』

先に練習室を覗いてたイリムが変な声を上げる。
私とジェウンは背が低くて見えない。

AY『こっそり入る?いきなり入る?』

アヨンオンニが聞くや否や、返事もせずスヨンオンニがドアを開けた。

JW『スヨンオンニ!?』

スヨンオンニの表情は少し怒ってるような、拗ねてるような、何とも言えない表情をしてる。
どうしたんだろう…。

IM『入ろ入ろ。』

やっと中に入ったオンニ達に続いて中に入る。

私達の振りも相手と近いけど、予想してた通りセブンティーンも相手との距離は近い。

…あんまりいい気分じゃない。
皆んな背も高くて可愛いし若い…。

『よしいい感じだ!でももう少し近付いても良さそうだな。』
『オッパが上手だから私も上手になった気がします!』
MG「そんなことないよ!リリアちゃんが上手なんだよ。」

人見知りと言う言葉を知らないミンギュやドギョミはもうすっかり仲良くなってるし、オッパなんて呼ばれてる。

『ウジオッパ、さっき支えてくれてありがとうございました!』
WZ「大丈夫だよ。そっちは大丈夫だった?」
『はい!』

…あれ?ジフニって人見知りじゃなかったっけ?
皆んなもうすっかり仲良くなってる。

『お客さんもいる事だし、今日やったところもう一回最後にやるぞ。』
MG「ヌナ!」

私を見つけると嬉しそうに手を振るミンギュに手を振り返す。

音楽が掛かってダンスが始まる。
私達よりもちゃんと近付いて踊れてる気がする。
あのジフニでさえ距離が近い。

舞踏会がテーマなだけあって、私達の振りと同じ箇所もある。
私も照れてちゃダメだよね…。

『ウォヌはもっと女の子引き寄せないと。』

先生の声がしてウォヌを見ると、ウォヌだけは少し女の子と距離があって何だか安心してる自分がいる。

『じゃあ今日は終わりだ。次の合同練習は3日後だからな。』
『ミンギュオッパ!良かったら連絡先教えてください!』

1人の子がミンギュに連絡先を聞いたのをきっかけに、他の子達も連絡先を聞いてる。
最近の子達は積極的だな…。

「…帰ろ。」
SY『そうね。』

連絡先を交換するのか知りたく無くて逃げるように練習室を後にした。

SY『ヤキモチなのかな。』
「…分かんない。」

これがヤキモチなのか自分でも分からない。
でも、嫌な気持ちだった。

その日の夜、カトクが来たけど返す気になれなかった。




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