【act.34 WZ】

本番まで3日を切った。
自分たちのステージの練習に加え、コラボ用の練習も重なり疲労は増している。

さらに疲労に輪をかけている原因が2つある。
1つはコラボ相手のガールズグループの子達の態度だ。

鼻にかかった声で俺らに媚びを売り、会う度に連絡先を聞いてきたり、ご飯に行こうと誘ってきたり、歌謡祭とは関係なくコラボして欲しいとか、上手くいかないところをもっと指導して欲しいとか。

まあ何だかんだ理由を付けて、俺らと接点を持ちたがる。
最初は当たり障りなく濁して断ってたけど、あまりのしつこさに最近は俺も含め、ストレートに断るメンバーも増えている。

それでも毎度諦めずに聞いてくるこの子達のガッツはある意味尊敬に値するレベルだと思う。
まあだからと言ってこのコラボ以外で絡む気はさらさら無いけれど。

もう1つはクプスヒョン、ジョンハニヒョン、スニョニ、ミンギュの元気があからさまにないこと。
理由はここ3週間ぐらい、スヨンヌナとなまえが練習室に顔を出してくれないこと。
2人とも連絡すらしてくれないことが原因だ。

そんなメンバーなんてお構いなしに誘ってくる新人たちに、ジョンハニヒョンなんて最初こそ頑張ってニコニコしてたのに、今はイライラし過ぎて表情管理すら出来ていない。

ミンギュやスニョン、クプスヒョンだって最初は普通に話してたのに、今はもう上の空だ。
正直俺の連絡すらなまえは返信してない。
体調が悪いのかと心配したけど、アヨンヌナ達に聞いたら体は元気だと教えてくれた。

午前の合同練習が終わった。

『私たちの曲も作ってくださいよー!お願いしまーす!』と上目遣いで言ってくる彼女達のお願いを丁重にお断りして、この後の自分たちのステージ用の練習に向けて休憩しようと、練習室のソファーに腰を下ろした瞬間だった。

ガチャと練習室のドアが勢い良く開く。

MG「なまえヌナ!?ってなんだ…マネヒョンか。」

誰よりも早く反射的に振り返ったミンギュはガッカリと肩を落とし、俺の隣のソファーにどかっと座る。

練習室に入って来たのはなまえ達のマネージャーだった。

『練習終わったばっかりですまないんだけど、5人こっちの練習に付き合ってくれないか?』
『どうかしたのか?』

俺らのマネヒョンが聞くと、なまえ達のマネヒョンが困ったように頭をかきながら言った。

『今日でBTSとの合同練習が最後だったんだけど、どうしてもうまくいかない子がいて…。他のメンバーももう少し詰めたいって言ってるから、5人だけでいいからこっちの練習相手になってくれないかなと思っ…』
MG「行く!」
HS「いく!」

まだ話してる途中だと言うのに、ミンギュとスニョンが勢い良く立ち上がった。

なまえ達の練習は見てないけどまあ何となく上手くいってないのはなまえだろうなと安易に予想は出来る。
極度の人見知り。そんな言葉がぴったりななまえだから、きっと苦労しているんだろう。

しかも相手は天下のBTS。忙しさも段違いで合同練習だって俺達より断然少ない。

『こっちもまあまだ色々問題はあるけど…、そうだな…、サンクチュアリーの方手伝ってやるか。5人だからそうだな…誰がいいと思いますか?』

マネヒョンが俺たちの先生に聞いてる。
俺俺!と先生に詰め寄るスニョンとミンギュ。

『そうだなぁ…ってお前ら。』

スニョンとミンギュは先生に向かって土下座をして頼んでる。
どんだけ必死なんだよ。

JS「もうみんなで行けばよくない?」
『いや、ジョシュ、それは…お前らだって練習しなきゃだろ。』
JS「そうだけど、僕たちは明日も合同練習出来るでしょ?だから僕たち全員で行っても問題ないと思うけど。」

確かに俺らにはまだ明日がある。
でもサンクチュアリー5人に対して13人全員で行ったところで実際練習相手になるのは5人だけで、邪魔になるだけだろう。

そう思ってはいるけど、実際この新人達と同じ空間にいるくらいなら、断然なまえ達の方にいた方がいい。

SC「俺からも頼みます。それにそろそろコイツら、サンクチュアリーに会わないと完全に充電切れる。」

そう言って先生の前で必死に土下座して頼んでるスニョンとミンギュを見る。
自分だってスヨンヌナに会いたいくせに。

『分かった分かった。じゃあ午後はお前ら全員サンクチュアリーの方行くぞ。』

やったーと抱き合って喜ぶメンバー達に、新人達が苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。

HS「やったなジフナ!」
WZ「いや、俺はどっ…」

どっちでもいい。そう言いかけて言葉を止めた。

WZ「そうだな。」
HS「あー久しぶりになまえに会える!」

嬉しそうに身支度を始めるスニョン達。

『あ、あのっ!私たちは午後どうすれば…』

リーダーだと言っていた子が俺たちのマネージャーに問いかける。
他の子達はあからさまに不満げな表情を浮かべている。

『今日は早いですが、また終わりにして、残りは明日やりましょう。それで大丈夫ですか?』
『そうですね…、はい、分かりました。』

相手のマネージャーさんが承諾してくれたけど、新人達はちょっと!マネージャー!と食ってかかっていて、マネージャーも仕方ないだろ、明日もあるから今日は帰って自分たちのステージの練習だ。と少しきつめに言う。

『そうだ!私たちもサンクチュアリーさんの練習室に行かない?』

…は?
1人の提案に騒がしかった楽屋が一瞬にして静まり返った。

俺らは別に新人がいたところで、なまえ達への接し方は変わらないだろう。
ただ、正直もうこの子達と同じ空間にいることが苦痛で仕方がない。

もうさっさと本番を終えてしまいたいくらいだ。

『そんな大勢で行ったら迷惑になるでしょう?』
『でも先輩達がどうやって踊るか近くで見れたら、私たちの成長にもなりますよ?』

まあそうだけど…。そう言って頭を抱えてしまった相手のマネージャーさん。

JH「申し訳ないですけど、サンクチュアリーの練習室そこまで広くないので。」

冷たく、冷静に言い放ったジョンハニヒョン。
まあ確かに俺らの練習室よりは狭い。でも全員が入っても余裕なくらいには広い。

『そ、そうですよね!ほらあんた達!帰るわよ!すみませんでした。また明日よろしくお願いします。』

頭を下げた後、マネージャーさんが無理矢理彼女達の背中を押し、強引に練習室から出て行かせた。

しばらく廊下からわーわー騒いでる声が聞こえたけど、数分後にはやっと静かになった。

『ジョンハン、さらっと嘘ついたな。』

ダンスの先生の言葉に、ジョンハニヒョンはへへっと悪戯に笑った。

DN「ヌナ達のところに早く行きましょ!」

何だかんだ皆んなサンクチュアリーに会いたかったのか、皆んなここ最近で1番いい笑顔を浮かべながらサンクチュアリーの練習室に移動した。




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