【09 ジャスミン茶 ーなまえー】
突然開始された敬語禁止タイム。
WN「食べないの?」
「食べま…るよ。」
WZ「あははっ、何語だよ。」
みんなは呑気に笑ってるけど、いざ敬語禁止って言われると急には難しいわけで…。
「1年近く敬語だったので急に禁止と言われても…。」
WN「もう少しでなまえがマネージャーになって1年になるのか。早いな。」
1年は本当にあっという間だった。
仕事自体もプロミより数倍忙しかったな…。
MH「今年もやるのかな?」
WZ「何を?」
MH「事務所の忘年会。」
毎年恒例事務所の忘年会。参加できる人はなるべく参加することになってて、練習生以外はほぼ強制的に参加させられる。
WZ「めんどくさい。しかも飲ませようとしてくるから嫌なんだよ。」
VN「ウジヒョンは特にお偉いさんに捕まるもんね。」
そりゃ天才作曲家だもん、話してみたいって思うよね。
MH「ヒョンから聞いてる?」
「はい、今年もやるって言ってまし…よ。」
私が話すたびに隣でクスクス笑ってるウォヌさん。
ウォヌさんが敬語禁止とか言うかこうなってるのに!
VN「ウォヌヒョン笑い過ぎ。」
WN「だって、なまえタメ口下手すぎて。」
「笑い過ぎで…よ!」
WN「やめて。」
いや、やめてってあんたが言ったんでしょうが!
まあ、でもこんなに笑ってもらえるなら良かったけど…。
「コーヒーかお茶入れ………る?」
MH「美味しいご飯作ってくれたお礼に、僕がお茶淹れてあげるよ。なまえヌナは座ってて。」
立ち上がろうとした私の肩を抑え、お茶セットを取り出すミョンホさん。
そう言えば最近お茶にハマってるって言ってたな。
VN「ヌナも忘年会出るんだよね?」
「…え?あー、どうかな…。顔は出すかもしれないけど、みんな送らないといけないし、仕事も溜まってるから…。」
忘年会とかそう言う類のものが元から苦手っていうのは勿論ある。
でも、それだけじゃない。
WZ「俺らの忘年会の時はそれぞれタクシーで帰ってるからなまえも飲んで大丈夫だよ。」
「え?いや、でも…」
MH「てかヌナってお酒飲めるの?」
ミョンホさんの問い掛けに「一応。」と答える。
飲める事は飲める。ただ強くは無い。
それに、もうお酒は飲まないと決めている。
だから、ライブの打ち上げがあっても私は一滴も飲んでいない。
VN「ヌナがお酒飲んでるところ見たことないかも。」
MH「確かに。ウジヒョン並にレアだね。はい、今日はジャスミン茶にしたよ。」
少し透けてる綺麗な器に、ジャスミン茶のいい匂いがする。
「器、綺麗ですね。」
VN「本当だね。透けてる。」
WZ「あ、美味い。」
皆んなもう飲んでるのか。
私は必死に冷ましてから、やっと飲み始める。
「…うぁ!美味しい…。」
MH「本当?」
「はい!すごく美味しいです!」
私の言葉にミョンホさんは、今度はジャスミンの華のお茶をご馳走するねっと微笑む。
「楽しみにしてます!」
MH「任せて!」
その後もミョンホさんはいろんなお茶を淹れてくれた。
お茶を飲みながら他愛も無い話をする皆さんをボーッと見つめる。
こんなにもゆったりした時間はいつぶりだろう…。
刺激的と言えば聞こえはいいが、実際この一年私の心が休まる時はなかったか気がする。
…こう言うのが幸せなのかな。
ふわふわした気分のまま、重くなる瞼を必死で開ける。
WN「なまえ、眠い?」
「…大丈夫です。」
WN「嘘つけ。めっちゃ眠いくせに。」
「そんな事な……ん?うぉぬさん?」
離れて行きそうな意識を必死に繋いでいると、急に私の体がふわっと浮いた。
「…うぉぬさん、下ろしてください。眠くないです…。」
WN「はいはい。」
うぉぬさんはくすっと笑うと私をソファーに下ろした。
体に掛けられた毛布が気持ち良くて、今すぐにも寝てしまいそう…。
帰らないといけないのに…。
睡魔と戦いながら頑張って上半身を起こす。
「帰ります…。」
WN「こんな状態で帰ったら危ないからちょっと寝て。起こしてあげるから。」
そう言ってうぉぬさんに膝枕をされる。
恥ずかしいしこそばゆいけど、何だか暖かくて心地が良い。
「…でも!片付けもしないとい…」
WZ「それは俺らがやっとくからなまえは寝て。おやすみ。」
「すみませ…。」
うぉぬさんが優しく頭を撫でるから、私はそこで意識を手放した。
WN「おやすみ、なまえ。」
うぉぬさんの声を聞かずに…。
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