【06 所詮代えのきくマネージャー ーなまえー】

ウォヌさんにヨンアさんと仲良くしてくださいと念を押してから別れ事務室に戻る。

さすがにウォヌさんをクビにすることはないと思うけど、念には念だ。
私は別にクビでも構わないけど…。

“こうしてないと、なまえが消えそうな気がしたから。”

ウォヌさんの言葉が蘇る。
何でそう思ったんだろうか。

私はそんなにも分かりやすいのだろうか。
いや、ウォヌさんが鋭いだけだろう。

『お、なまえもう戻って来たのか?』
「え?ダメですか?」
『いやいや!仕事熱心だなって思って。』

そう言うサンウオッパだってもうパソコン開いてるじゃないか。

私もパソコンを開いて少しだけ溜まってる事務仕事を始める。

『そう言えば今年も忘年会あるから空けとけよ!』
「あ、はい。」

今年ももう忘年会の季節か…。
一年なんてあっという間だったな…。

本当に色々あった一年だった。
やり直したいな…。

『なまえがセブチのマネになってもう1年か!早いな!』

いつから居たのか、そう言って背後からスヒョクオッパが私の頭を撫でる。

『プロミより大変だろ?よく頑張ってるよ!忘年会はぱーっと飲めよ!』
「オッパ達の方が先に酔っ払う癖に。」

そう言えばオッパ達は顔を見合わせて豪快に笑った。

『よし、じゃあ衣装合わせ行くか。』

衣装さんと共に大量の衣装を持って練習室に向かう。
まだヨンアさんが居るかもと思ったけど、既にヨンアさんの姿は無かった。

『衣装合わせするぞー!』

スヒョクオッパの声に慌てて腹筋を始めるホシさんと、浮腫とりの運動を始めるスングァンさん。
いや、今から始めても意味ないのでは?

SC「ヒョン!俺ら今日ヨンアヌナの飯行くからいつもの店予約して欲しい!」
『分かった、14人でいいか?』
WN「俺行かない。」

ウォヌさんの言葉に「え?そうなの?」と驚くディノさん。

VN「僕も行かないよ。」
WZ「俺も。」
『飯はどうする?お前ら3人はペダルするのか?』

サンウオッパの言葉にウォヌさんが口を開く。

WN「なまえに作ってもらう。」
『なまえはいいのか?約束とかないのか?』

確かに今日は俗に言う華金で、普通のOLなら予定があるだろう。
でも生憎私には予定なんて何もない。

ミンギュも何の反応もしないだろう。

「何もないので大丈夫です。良ければウジさんとバーノンさんの分も作りますよ?」
WZ「いいの?じゃあお願いする。」
「はい。味は保証しませんが。」
VN「ヌナのご飯美味しいじゃん。」

ほら、やっぱり何の反応もない。
所詮私は彼にとってそんな存在なんだ。

MH「僕もヌナのご飯食べたいから行かない。」
SG「僕もヌナのご飯食べたいけど!あー!どうしよう!」

私のご飯とヨンアさんとの食事で、本気で迷ってるスングァンさんと、そんなスングァンさんと同じように悩み出したドギョムさんとホシさん。
あ、ブソクスンだ。

そんなに悩んでくれるなんて、ちょっと嬉しいな。
ミンギュはどうせ私のご飯なんていつでも食べれるとか思ってるんだろうな。

「ご飯なんていつでも作るので、今日はヨンアさんとお食事に行ってください。」
HS「本当?約束だぞ?ちゃんと作ってよ!」
「はい。」

ブソクスンはヨンアさんとの食事に行くことになった。

『よし、じゃあ衣装合わせするぞ。』

1人ずつに衣装を渡しそれぞれ着替えてもらう。
サンウオッパはカメラを撮って、スタイリストさん、スヒョクオッパと私は、動きやすさやバランスのチェックをする。

みんなそれぞれにこだわりがあって、衣装合わせは面白い。

「ジョンハンさん細いので、もう少しここタイトでもいいかもしれないですね。」
『それもそうね。ハニ的にはどう?』
JH「なまえの意見採用で。」
「ありがとうございます。踊りづらかったら言ってください。」

仮止めをして軽く踊ってもらう。
どうやら問題なさそうだ。

MG「ヌナー!黒と紫どっちがいいと思う?」

大きな声でミンギュの声がする。
ヌナと呼んでるけど、ここに今ヌナは私とスタイリストヌナの3人のヌナが居る。

いつもなら自分のことだとすぐに返事をするけど、今日は返事をする気になれない。

「ジュンさんはここ、もう少し開けてもいい気がするんですけど、どうですかね?その方が首が綺麗に見える気がします。」
『そうね…、ここくらいかな?ジュンどう?』
JN「本当だ!さすがなまえ!いい感…」
MG「ぬなぁぁぁ!」
「袖もここくらいまでめく…」

急に視界が暗くなった。
どうやらミンギュに背後から抱き締められたと同時に、ミンギュの衣装で視界を塞がれたらしい。

「何ですか?」
MG「ヌナって呼んでるのに何で無視するのさ!」
「ここにヌナ3人居るので誰か分からなかっただけです。」

いつもなら嬉しいはずの些細な会話も、今は苦痛でしかない。

MG「いつもヌナ!って呼んだら返事してくれるじゃん!」
「…今ジュンさんの衣装チェックしてるので……、ミンスオンニにどっちがいいか選んでもらってください。」

ミンギュの腕を振り払い、ジュンさんの袖に触れる。

はっきりしないとダメ。
このままじゃダメだ。

今ミンギュが私の後ろでどんな表情をしてるかなんて知らない。

でも、これでいい。
ちゃんと突き放さないと。

所詮、私は代えのきくただのマネージャーに過ぎないのだから。

SG「ヒョン、なまえヌナになんかしたの?」
MG「……してないよ。」

背後がからスングァンさんとコソコソ話してる声が聞こえる。

JN「…ミンギュと喧嘩でもしたの?」
「え?あ、いやしてないですよ。大丈夫です。」

ジュンさんにまで聞かれてしまったじゃないか。
セブチのマネを辞めるまで、ミンギュとは一定以上の距離を保とう。

その後、ミンギュが話し掛けてくる事もなく、今日の全てのスケジュールが終わった。

『じゃあ俺とサンウはこいつら飯屋に連れて行くから、なまえはそっち頼むな!』
「うん。じゃあ帰宅チームはこっちの車に乗ってください。」

それぞれ車に乗り込む。
その間もミンギュとは目を合わせることはなかった。

「ここに居る皆さんは本当に私のご飯でいいんですね?」

車内にいる4人に念のため確認を取る。

WN「ははっ!俺らはなまえのご飯が食いたいの。」
「了解です。じゃあちょっとマートまでお付き合いください。ハンバーグのリクエストがあったんですが、他に食べたいものありますか?」
VN「僕あれ食べたい!ポテトのサラダ!」
MH「ベーコンと半熟卵のってるやつ?あれ美味しいよね!僕も食べたい!」
WZ「ハンバーグの中にチーズ入れて欲しい。」

後ろであれも美味しいしこれも美味しいしなんて盛り上がってる皆んなは、なんだか仲の良い兄妹みたいで微笑ましい。

「今日は4人だけですし、ちょっと豪華にしましょうか?」
WZ「いいの?でもなまえ大変じゃない?」
「大丈夫ですよ。ついでにお部屋掃除させて下さいね?」

たった3日でよくもまああんなに散らかるよねってくらい散らかし放題の宿舎を思い出して、苦笑いを浮かべた。




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