【07 “I”って落ち着く ーなまえー】

「買い物して来ますので皆さんはここで待っててく…って聞いてますか?」

私の話を聞いてないのか、皆一斉に車から降りる。
…え?君たちアイドルって分かってますか?

女、って言ってもcarat達にも私の顔はバレてるし、プロミからセブチのマネになったことも知ってるから問題ないとは言え、普通にマートで買い物してるなんて記事にでもなったら、私が怒られるじゃないか。

あっけに取られてる私に構う事なく、ズカズカと歩いて行くイケメン4人組。

WN「なまえ?何してんの?行くよ。」
「…え、あっ、ちょっ、待って下さい!」

ちゃっかりカートまで用意して押してくれるウォヌさん。
私1人だとかなり大きいカートも、背の大きなウォヌさんが押すとそこまで大きく見えないんだな…。

MH「あ、これ美味しそう!」
VN「本当だ。これも美味しそう!」
WZ「楽しいなマート。」

滅多に来ないであろうマートにやたらテンションが上がってしまった3人は、子供のようにはしゃぎながら先を行く。

WN「あんまり余計な物買うなよ!」

ウォヌさんの言葉に「大丈夫!」なんて言いながら既に手には何かを持っているバーノンさん達に、思わず笑みが溢れた。

“まったく…いくつだよ。”なんて呟くウォヌさんはお父さんみたい。
ウォヌさんはミンギュと違って、きっと一途に奥さんや彼女を愛しそうだな。

ウォヌさんの彼女さんになる人は幸せ者だね。

WN「…穴空く。」
「…え?」
WN「見過ぎ。俺に穴開けるつもり?」

私、そんなに見てた?

「す、すみません。ウォヌさんに穴を開けるつもりは…。」
WN「なまえは俺がどんなに見ても穴開かないよな。」

真顔でそんな事言ってくるから、思わず笑ってしまう。

WN「笑うなよ。それだけ俺は毎日なまえのこと見てんだから。」

ポンっと頭に手が乗せられる。
大きなウォヌさんの手は、ミンギュよりも暖かい気がする。

「宇宙人の研究ですか?」
WN「ははっ!まあそんなとこ。それより早く買い物終わらせないと、あいつら爆買いする。」

…え?ウォヌさんの視線の先を追えば、もう一つカートを用意して何やらいっぱいカートに乗せている。

「大丈夫ですよウォヌさん。私には魔法のカードがあるので。」

ジャジャーンと効果音付きで会社のカードを見せれば、ウォヌさんは「ばーか。」と言って笑った。

「何か、落ち着きます。」
WN「ん?俺?」
「そうです。俺です。」

ミンギュと居たらいつもドキドキするし、少し無理してる自分がいる気がする。
それに、こうやって会話するより体を重ねては寝てる時間の方が多い。

それに比べてウォヌさんとは、なんかとても落ち着く。
無理しなくてもいいと言うか、何と言うか。

WN「俺“I”だから。INFJ。」
「…あ、同じです。」
WN「ん、何となくそんな気はしてた。」

のんびりと買い物をしながら、必要な物と宿舎に足りない物を買ったら、あっという間に五万を越えた。

大量の荷物を車に乗せる。

WZ「マートがあんなに楽しいと思わなかった。」
「楽しんでもらえて良かったです。」
MH「ヌナ、また連れてって!」
VN「僕も!」

マートで喜んでもらえるなら、いくらでも。

「いいですよ。でも次は1人500円までですからね。」
VN「はーいマミー。」

バーノンさんにマミーって言われちゃった。
皆んなが荷物を車に入れてくれたので、カートを戻しに行ってから車に戻る。

「…ウォヌさん?」
WN「ん?」

いやいやいや。ん?って首傾げられても…。

「何してるんですか?」
WN「座ってるけど。」

いや、そうですけど。それは見たら分かりますけど…。
我が物顔で運転席に座ってるウォヌさん。

WN「こっから宿舎までそんなかかんないし、俺が運転するからなまえはこっち乗って。」

そう言って助手席を叩くウォヌさん。
まあ確かにここから宿舎まではそう遠くないけど…。

「ウォヌさん練習で疲れてるじゃないですか?だから私が運転し…」
WN「なまえも疲れてるでしょ。宿舎戻ってからもご飯作ってもらうし、少しぐらい休んで。」
「いやお気持ちは大変嬉し…」
WN「はい、早く乗る。5、4、3…」

ゆっくりとカウントが始まって、慌てて言われた通り助手席に乗った。

WN「シートベルトしてね。」
「あ、はい。」

なんか、上手い事言いくるめられたような…。

「カウントされると焦りますね。」
WN「それはなまえが素直だからだよ。」

ふわっと微笑んで、エンジンをかける。
この車の助手席に乗るのは初めてで、なんだか変な感じがする。

久し振りに人の運転する車に乗っている。
空は夕暮れで、綺麗なオレンジ色をしている。

そう言えばここ一年、仕事以外で外に出てないな…。

プロミのマネージャーをしてた時は、仕事が休みの日でも皆んなとお出かけしたり、それなりに彼氏も居たからデートもしたりした。

でも、SEVENTEENの担当になってからは一度も無い。
プロミのマネージャーに戻してくれるのかな…。
それともクビかな…。

WN「…なまえ。」

そんな事をぼーっと考えていたら急に名前を呼ばれ我に返った。

横を向くと、気怠そうに運転してるウォヌさんの姿が目に入って、思わずドキッとしてしまう。

「…どうしたんですか?」
WN「何考えてんのかなって思って。」

ウォヌさんは本当に周りをよく見てるし、気遣いが出来る人だと思う。

私なんてただのマネージャーなのに。
本当いい旦那さんになりそう。

「ウォヌさんはきっといい旦那さんになりますよ。」

まさかプロミのマネージャーに戻りたいと考えてたなんてそんな事言えなくて、ふと思った事をそのまま伝えた。

WN「生憎奥さんが居ないんだけど。」
「その内素敵な人が見つかりますよ。私が保証します。」
WN「もし見つからなかったら、なまえが責任取ってくれる?」

ウォヌさんに素敵な人が見つからなかったら?
そんな事あり得るわけないと思うけど…。

「そうですね。もしウォヌさんに素敵な人が見つからなかったら切腹します。」
WN「え?」
「ん?」

あ、切腹なんて言葉分からない。
日本の侍用語だよね。

WN「切腹はしなくていいから、ちゃんと責任とってね。」

お、さすがウォヌさん。
本を沢山読んでるから切腹の意味も知っているんだ。

WN「聞いてる?」
「あ、はい。責任はちゃんと取らせて頂きます。」

そう言うとウォヌさんはまた柔らかく微笑むと、約束と小指を出した。

「…失礼します。」
WN「失礼されます。」

恐れ多いと感じながらもウォヌさんの小指に自分の小指を絡めた。




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