【08 猫みたい ーなまえー】

宿舎に着いてから買って来たものを片付け、早速ご飯支度を開始する。

「出来たら呼ぶのでゆっくりしてて下さい。その前に洗濯物あったら回しといてもらえますか?」
WZ「回すだけでいい?」
「はい、お願いします。」
WZ「了解。」

ウジさんが洗濯機を回してくれた。
あんな息子欲しいな、天才だし、ご飯もよく食べるし。

ウジさんの書く曲、実はとても好きだったりする。
本人は勿論、メンバーの誰にも言った事はないけど、1人で運転する時や家にいる時はよく曲を聴いてる。

今日のメニューはチーズインハンバーグ、ポテトサラダ、オニオンスープとシーザーサラダ。

メンバー全員分を作るのは大変だけど、4人分ならそうでもない。

MH「ヌナ、なんか手伝うことある?」

ご飯支度をせっせとしてると、ミョンホさんが声を掛けてくれた。

「大丈夫ですよ。皆さんはゆっくり休んでてください。あ、ウジさん!ありがとうございます!」

ちょうどリビングに戻って来たウジさんにお礼を言うと、「おう!」っと可愛らしく微笑む。
ああ、本当に皆んないい子だ。

こんな事、もうこの先一生ないんだよな…。
ブソクスンの3人にご飯作るって言ったけど、後数ヶ月の間にそんな日が来るのかな…。

VN「어른아이?」
「え?」

冷蔵庫を開けながら聞いてくるバーノンさん。

VN「ヌナ今の鼻歌って어른아이だよね?」

しまった。無意識だった。

「へへ、バレましたね。恥ずかしいので皆さんには内緒にしててくださいね。」
VN「いいけど何で内緒にするの?俺も嬉しいし、ウジヒョンも他のメンバーも喜ぶと思うけど?」

そりゃ皆んないい人達だから喜んでくれるとは思うけど、やっぱりどこか恥ずかしい。

「いいんです。このことはバーノンさんと私の秘密です。」
WN「どんな秘密?」

部屋着に着替えのっそりとダイニングテーブルの椅子に腰掛けるウォヌさん。

VN「ヌナがさっき어른아…」
「バーノンさん!!!」
VN「はは!ごめんヒョン、ヌナに怒られるから秘密。」

バーノンさんは楽しそうに笑いながらリビングに戻って行った。

WN「なまえは隠し事ばっかりだな。」

…え?
まさか、ミンギュとのことを言ってるの…?

「それってどう言う…」
WN「なまえが宇宙人ってことも秘密でしょ?」
「あ、そ、そうですね。」

なんだその事か…。
そうだよね、バレるわけ無い。

駐車場のガードマンさんですら、ミンギュが乗ってることは知らないはずだ。

WN「…何で4つしかないの?」

オニオンスープ用の皿を並べてパイ生地を切ってる私の手が止まる。

「ウォヌさん、ウジさん、ミョンホさん、バーノンさん…、4人じゃないですか。」
WN「なまえさんは?」

え、私?

「なまえさんはご飯作ってお部屋片付けたら帰りますよ?」
WN「どうせ帰っても1人でしょ?それなら一緒に食えばいいじゃん。まあ、作るのはなまえだけど。」

そりゃ帰っても1人だけど。
そんなのは今に始まった事じゃないし。

「でも…。」

大して断る理由もない。

ただ、ここに長居して万が一ミンギュが帰って来たら?
すごく楽しそうに帰ってくるミンギュなんて見たくない…。

WN「俺と…、俺らと飯食うのやだ?」
「まさか!」

ミンギュの香りが残るあの部屋に帰って、1人でご飯を食べるより、そりゃここで4人と一緒に食べた方が楽しいに決まってるけど…。

WN「じゃあ決まり。一緒に食べよ。」
「分かりました。じゃああのお皿取ってください。届かないんです。」
WN「あははっ!了解。」

背伸びする事もなくいとも簡単にお皿を取ってくれたウォヌさんは、やっぱりいい旦那さんになる。
ミンギュはその後絶対「ご褒美は?」って抱き付いてく…。
何でミンギュの事ばっかり考えてんだろ。

アホらしい。

私がご飯支度をしてる間、ウォヌさんはダイニングの椅子に座ってスマホゲームをしてる。

ハンバーグはフライパンじゃなくオーブンで焼くことにしよう。
オーブンにハンバーグとオニオンスープをセットする。

MH「ヌナ洗濯物止まったみたい。」
「了解です。」

出来上がったばかりの洗濯物と、洗濯して1人掛けの椅子に積み上がったままの洗濯物を畳み始めると、何も言わずに4人がやって来て手伝ってくれる。

…今やるなら普段からやってくれたらいいのに。
なんて思ったのは内緒にしよう。

「お手伝いありがとうございました。そろそろ出来ると思うので待っててくださいね。」

さすがに今居ない人の部屋に入るのは気が引けて、邪魔にならないように部屋の隅にメンバーごとに分けて畳んだ洗濯物を並べて置いた。

きっと部屋に持って行く前に、ここから引っ張り出して着るんだろうな。

キッチンに戻るとちょうどオーブンが鳴った。
扉を開けるといい匂いが部屋中に漂う。
そんな匂いに釣られるように皆んなはのそのそとやって来るとダイニングテーブルに座った。

MH「いい匂い!」
VN「美味しそう!」

目をキラキラさせながら並べられた料理を見るミョンホさんとバーノンさんに思わず笑みが溢れる。

「はい!これで全部です。召し上がれ。」
WZ「美味そう、頂きます!」

美味い!と口を揃えて美味しそうに食べてくれる皆んなを見てると、本当に幸せな気分になる。
子供がいたらこんな感じなのかな?なんて。

WN「なまえも食おう。」
「はい。頂きます。」

熱々のオニオンスープを必死に冷ましてると、やけに視線を感じて顔を上げた。

「…ん?」
WN「相変わらずめっちゃ猫舌なんだなって思って。」
MH「ヌナ猫舌なの?」
VN「知らなかった。」
「猫舌なんですよ。」

えへへと笑って少し冷めたであろうスープをすする。
うん、我ながら上出来だ。

WZ「ウォヌは本当なまえのことよく見てるよな。」
WN「そう?まあ、見てて楽しいじゃん。猫みたいで。」

…猫みたい?私が?
どちらかと言うとウォヌさんの方が猫みたいだけど…。

「それはどう言う意味でしょうか?」
WN「見てて飽きないって意味。」

見てて飽きない?私なんて見ても何も面白くなんてないのに。

「やっぱりウォヌさんは変わってますね。」
VN「ヌナも変わってるけどね?」
「…え?」

驚く私に、バーノンさんも“え?”と驚き返す。
いやいや、質問返しみたいになってるよ。

「私変わってます?」
MH「うん。」
WZ「そうだな。」
「そうですか?」

隣にいるウォヌさんを見上げる。

WN「うん。かなり変わってる。取り敢えずいつまで敬語なんだろうなってのはメンバー同士でよく話してる。」

…え?

WZ「プロミのマネしてる時は敬語じゃなかっただろ?」
「まあ…そうですね。」

確かにプロミのマネージャーをしてる時、私は敬語じゃなかった。

MH「何で僕らにはずっと敬語なの?」

…それは、アイツと関係を持ってしまったから。
仕事とプライベートをきっちり分けないといけなくなったから。

「てあ皆さん男性アイドルなので、ファンの皆さんのためにです。」
VN「そんな事気にしなくていいのに。」
WZ「逆に距離あっておかしいだろ。」
「そうですか?」

コクリと頷く皆さんに内心まあ距離感はあるよなって思った。
でも、一定の距離感があるからこそ、私はミンギュとのことを隠せていると思う。

WN「今から帰るまで敬語禁止な。」
「え?いや、ちょっ、それは無…」
WN「はい、スタート。」

…え、ど、どうしよう……。




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