【10 なまえ】
朝からバタバタする現場。
今日はアイドル運動会の収録で、私たちメイクチームも現場に向かう。
メンバーより先に着いてメイク用品を並べて行く。
『なまえちゃんちゃんと寝てる?隈凄いぞ!』
ハンジュさんが私の顔を覗き込む。
「すみません…大丈夫です。」
『あんまり無理しないでね!明日はなまえちゃんの歓迎会なんだから!』
ポンっと背中を叩いて、衣装の確認に向かったハンジュさん。
今、歓迎会って言った?
やだな…。そう言うの苦手なのに…。
急に熱出したってことで断ろうか?
いや、でも歓迎会って言ってたのに私が居ないのも…。はぁ…まじ最悪…。
「「「おはようございまーす!」」」
ボーッとしてたら皆さんがゾロゾロと楽屋に入って来た。
『おはよー!今日も相変わらずすごい寝癖ね!』
みんなの寝癖でボサボサの頭を撫でていくお姉ちゃん。頭を撫でられて、皆んな嬉しそう。
そりゃあんだけ綺麗な人に朝から頭撫でられたら嬉しいよね…。
『なまえ!今日は皆んな汗かくからいつもより、キープ力あげて!』
「分かりました。」
メイク道具を並べていると、背後に人の気配を感じて鏡越しにゆっくりと顔上げる。
WN「おはよ。」
「おはようございます。」
まだ座っていいと言ってないのに、勝手に椅子に座り前髪をピンで止めるウォヌさん。
自分で用意してくれるのはありがたいけど、まだ呼んでませんよ?
まあ、でもいいや。
「スキンケアしますね。」
WN「んー。」
メガネを外して目を閉じるウォヌさん。
目の下には昨日まで無かった隈が見える。
「ちゃんと寝てください。」
WN「何で知ってんの?ストーカー?」
はい?と顔を見れば悪戯に笑ってるウォヌさんの目が合って、慌てて逸らす。
「そうじゃなくて、隈出来てます。」
DK「ヒョン昨日遅くまでゲームしてたよ!」
やっぱり。ドギョムさん、暴露ありがとうございます。
WN「だってどうしてもクリアしたかったんだよ。」
「今は若いから肌ツルツルでいいですけど、年取ったら大変ですよ。寝れる時はちゃんと寝てください。」
そう言って美容液を選び振り向いた瞬間、手首を引っ張られて体がよろけてしまい、ウォヌさんの顔がグッと近くなる。
…近い。距離感バカなのかなこの人。
アイドルがこんなことしちゃダメでしょうが。
「すみません。」
離れようとしら、今度は腰に腕が回っててさらに近くなる。恥ずかしいけど、ここで照れたらウォヌさんの思うツボな気がして、意識を違うところにむけることにした。
WN「お前も隈ひどいじゃん。寝てんの?」
「…寝てますよ。早くメイクしたいので離してください。」
WN「照れてよ。」
「今意識違うとこに飛ばしてるので照れません。」
なにそれと笑うから首すじに息がかかってくすぐったい。
SG「ちょっ、ウォヌヒョン!なまえに近すぎ!離れて!」
私より焦った様子でスングァンさんがウォヌさんと私を引き剥がしてくれた。
WN「なんで邪魔するんだよ。」
SG「は!?このヒョン何言ってんの!」
焦ってるスングァンさんが面白くて、少しだけ笑ったらまたウォヌさんが下から悪戯に顔を覗き込んできた。
「つけまつ毛つけられたいですか?ぱっちりおめめにされたいですか?」
WN「え、どっちもやだ。」
MG「二重にしたらいいよ。」
「了解です。ぱっちりおめめにします。」
なぜウォヌさんがここまで私に構ってくれるのかは分からないし、あまり分かりたくも無い。
期待すれば裏切られ、最後にはいつも傷付くんだ。
ウォヌさんのメイクを終え、次はミンギュさん。
ミンギュさんお願いしますと言うと、大きな体をゆらゆらさせながら椅子に座る。
MG「ヒョン二重に出来なかったね。」
「はい、敵は強靭でした。」
MG「ははは!」
豪快に笑うミンギュさんに、してやったり顔のウォヌさん。何だその勝ち誇った顔。いつかぱっちりおめめにしてやる。
ミンギュさんのメイクを終え、スングァンさん、ドギョムさん、バーノンさんといつものメンバーのメイクも終える。
「オンニ終わりました。」
『なまえごめん!髪の毛もセットしてもらっていい?取り敢えず寝癖直してブローするだけでいいから。』
「…分かりました。」
男の人のメイクもやった事なかったけど、ヘアセットなんてやったことない。
まあ、ショートカットの女な子だと思ってやればいいか。
それにしても皆んな寝癖がすごい。
どうやって寝たらこんな寝癖になるんだろう。
霧吹きで寝癖目掛けて水を吹きかける。
まさかヘアセットまですると思ってなかったから、私の好きなアロマオイル入りの水しかない。
VN「うわぁ、なんかいい匂い。」
「私の好きなアロマです。でも、次からはただの水にしますね。」
VN「俺もこの匂い好きだからこれでいいよ。」
バーノンさんは紳士だ。ファンの間ではジョシュアさんが紳士だと言われてるようだけど。
「どうやって寝たらこんな寝癖のつき方するんですか?」
VN「普通に寝てるんだけど、癖毛だからこうなっちゃうんだよ。」
私は美容師ではないから髪の毛にそこまで詳しいわけじゃないけど、確かにバーノンさんの髪は癖毛で猫っ毛、ふわふわしてる。
VN「俺この髪質嫌なんだよね。」
自分の髪の毛を触りながら苦笑いを浮かべるバーノンさん。
「私は好きですよ、ふわふわで。」
VN「なまえが好きって言ってからるなら俺も好きになろ。」
「そうしてください。」
そう言えば、またかっこよく微笑んだ。
アイドルってやっぱりかっこいいんだと思った。
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