【02 なまえ】

『今日は日本のファンクラブの会報の写真撮影なんだけど、ライブじゃ無い時のベースメイクは…』

お姉ちゃんの言葉を全部メモに取る。
一人一人似合うメイクも肌の特徴も違うから、書かないと覚えてられない。

『今日は取り敢えずスキンケアとベースメイクお願いするね!』
「分かった。」

私はお姉ちゃんみたいに、さっとその場で取り出したり出来ないから、下準備をしておかないといけない。

担当する人のスキンケアとベースをテーブルに並べる。

『お!なまえちゃん!頑張ってねー!』
「はい、ありがとうございます。」

お姉ちゃんと同期のハンジュさんがキラキラとした笑顔で挨拶してくれた。
それだけでも頑張れそう…。

「おはようございます!」

メイク室にゾロゾロとメンバーが入って来る。
お姉ちゃんを見つけると何人かは嬉しそうに駆け寄ってて、本当にみんなに好かれているんだと思った。

『今日はまずボカチから撮影するみたいだから、スングァナとソクミナはなまえの方で、残りはこっち!』

昨日私に嫌悪感を露わにしてきた人は、お姉ちゃんが担当してくれるみたいで、少し胸を撫で下ろす。
良かった…。

DK「僕からでいい?」
SG「いいよ!」

鼻筋がすらっとした人が私の設置した椅子に座る。
あー、緊張する。

「ドギョムです!本名はイソクミンです!よろしくね〜!そんなに緊張しないで、大丈夫だよー!」

そう言ってにっこりと笑顔を浮かべてくれるドギョムさんの笑顔に嘘はなく、緊張がすっと解けていくのを感じた。

「ありがとうございます、あの、よろしくお願いします。」
DK「イケメンにしてくださーい!」

いや、元からイケメンです。
そう思ったけど、もちろんそんな事は言わず、小さく返事をしてスキンケアからはじめていく。

SG「僕も先にスキンケアだけしていいですか?」
「あ、すみません、どうぞ。」

ドギョムさんの隣の椅子に腰掛け、スキンケアを始めるスングァンさん。
自分でやってくれるのはありがたいけど、やっぱり私が遅いからかな…。

スキンケアを終え、ベースメイクに取り掛かる。
そんな私の手つきを黙って見ているドギョムさんとスングァンさん。

緊張するからそんなに見ないでほしい。

後ろではガヤガヤとメンバーの皆さんが衣装合わせやヘアスタイルをやってる。
お姉ちゃんもメンバーと楽しそうに話してる。

それに比べてここはお通夜みたいに暗い…。
何か話した方がいいのだろうか、でも私がアイドルと話すことなんて何も無い。

DK「なまえちゃん?」
「んあ、あ、はい。」

鏡を見るとドギョムさんとばっちり目が合って、慌てて逸らす。

DK「日本語で女の子のこと、何とか“ちゃん”って言うよね?」
SG「うん!言う言う!合ってるよ!」

2人が話してるのをどこか他人事のように聞きながら、最後のパウダーを乗せる。

「ベース出来ました。後はお姉…スビンオンニにやってもらってください。」
DK「え!?最後までやってくれないの?」

驚いたように声を上げるドギョムさんに、コクリと頷きお姉ちゃんにドギョムさんが終わったことを伝える。

『ありがと!ソクミナ、ちょっと待っててね!』
DK「あ、うん!」

お姉ちゃんは私より1人多く担当してて、それにフルメイクもやってるのに、もう2人目が終わりかけてて、手際の良さが全然私とは違った。

やっぱり私はまだまだだな…。

DK「なまえちゃん!ありがとう!」
「あ、いえ…。」

満面の笑みでお礼を言ってくれたドギョムさんは太陽のようで、さすがアイドルだなって思った。

さ、次はスングァンさんだ…。




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