【06 JOSHUA】

ヌナの妹だと紹介された血の繋がりのないなまえちゃん。

スビンヌナの助っ人としてやって来た今までの人たちとは、全然違っていた。

いつもオドオドしてて、自信なさげで、まず俺達の目を絶対に見ないし、自ら話しかけてくることもない、服も普通。

スングァンとドギョムが一生懸命話しかけてるけど、最低限の相槌しか返してない。
そんななまえを笑わせようと、2人は必死になってる。

JS「いつまで特定メンバーだけやらせるの?」
『ん?あー、なまえのこと?』

コクリと頷けば、ヌナはそうだなぁと眉間に皺を寄せながらもメイクをする手は止めない。

『あんた達が意地悪しなくなるまで。』
JS「俺はしてないよ〜!ハニだけでしょ?」

後ろからハニの「意地悪はしてない!」って声が聞こえる。
まあ意地悪ってよりも、無視してるよね、ハニに至っては。

『私はさ、あの子に笑って欲しいんだよね昔みたいに。』
JH「なんかあったの?」

デリカシー!
ハニの言葉が聞こえなかったのか、それとも聞こえないふりをしたのか、それは分からないけど、ヌナはそれ以上その話をすることはなかった。

だから、俺らも聞くことはなかった。





SG「なまえおはよ!ヌナもおはよ!」
DK「シスター達おはよう!」
VN「なまえ、good morning!」

『はいはい!おはよー!』

あの3人はだいぶなまえと仲良くなってるようで、フルメイクもしてるみたいだった。
それ以外のメンバーはまだ打ち解けてない、俺も含めて。

だって俺のメイクしてくれないから、仲良くなる機会ないじゃん。

でもなまえのメイクはなかなか好評で、監督さんが褒めてた。

VN「good morning。」
「ぐっどもーにん。」
SG「なんか違う」
「え、」
DK「グッドモーニンッグ!」
SG「なんか違う、ね?」
「うん、違いますね。」
VN「good morningだよ、ヒョン。」

楽しそうに?してる4人をじっと無言で見つめてる子が2人。

ミンギュとディノが4人のやり取りを見てて、その隣りにドサっとジュンも腰を下ろす。

なまえにベースメイクしてもらってる3人だ。
無言で今日のメイクは誰からと騒いでる4人を見つめる3人。

WZ「見過ぎだろ。」

ウジが呆れたように口を開く。

DN「僕らも仲良くなりたいなって思って。」
WZ「なればいいだろ。」

ウジの真っ当な意見に俯くミンギュとディノ。
まあ、仲良くなれないからこうなってるんだと思うんだけどね。

あの人見知りしないミンギュが仲良くなれてないんだから。

JN「なまえって不思議な子なんだよね。」
JS「ジュンが思うって事はよっぽどだね。」

確かに、ボノニがなまえは笑いのツボが独特だって言ってたっけ。

JS「仲良くしたいなら話しかけるしかないんじゃない?」

俺の言葉に背後から鼻で笑う声が聞こえる。
振り返らなくても分かる、ジョンハンでしょ。

ほらね。後ろで仁王立ちしてるジョンハンに苦笑いを浮かべる。

JH「仲良くなったら痛い目みんぞ。俺はヌナの妹だからって信じてないし。所詮血のつながりもないんだから。」

まあ、それはそうなんだけどさ…。

JH「チッ、馴れ馴れしく俺の弟達に近付くなよ…。」

…怖いってジョンハン。
そんなこと言われたらディノとかも仲良くできないじゃん。

本当になまえちゃんがいい子かどうか、俺が見抜いてくるか…。

『次ジス!来て〜!』
JS「俺今日なまえちゃんにやってもらう〜!」
JH「は?お、おま、正気か?」
『優しくしてあげてよ?』
JS「んー。」

ゆっくりと立ち上がり、ハニの冷たい視線と、ディノ、ミンギュの不安そうな視線を受けながら、ドギョムのメイクをしてるなまえの所に行く。

SG「シュアヒョン!どうしたの?」
JS「んー?俺も今日なまえにメイクしてもらおかと思って。」

え?と驚いて目を見開く3人に対して、なまえは黙々とドギョムのメイクを続ける。

JS「なまえちゃんは驚いてくれないの?」
「メイクが私の仕事なので…。」

そうか、まあ、そうだよね。
そもそも俺となまえ、ちゃんと話した事ないしね。

なまえがメイクしてる所を黙って見つめる。
スングァン達はこれはどう?とかあれはどうとか、色々話してて、女子校かと思うくらい。

SG「黒髪の方が男っぽいよね。」
「スングァンさんは茶髪の方が似合うのでは?」
VN「そう思う。俺は?」
「バーノンさんは全部似合う。」
SG「…イケメンだもんね、ボノナは。僕と違って。」

いじけるスングァンに慌ててなまえが首を振る。
てか、まだ敬語なんだな…。

「そうじゃなくて、スングァンさんは男らしさよりも可愛いさ?んー、あの、なんかそういう感じの方が強いので…。」
SG「え!?可愛い?僕可愛い!?」

喜ぶスングァンにドギョムとボノニが単純と笑うと、なまえも少し微笑んでた。

この子も笑うんだな。

「じゃあえっと…ジョシュアさん、お願いします。」
JS「はーい。」

なまえに呼ばれて椅子に座る。

JS「フルメイクお願いしてもいい?」

必殺キラースマイルでなまえの顔を覗き込む。
それでもなまえと視線は合わない。

「分かりました。何か不備があれば仰ってください。」

同じ敬語だけど、スングァン達に向ける敬語よりもずっと他人行儀でちょっと寂しく思う。

無言のまま、丁寧にメイクを進める。

今日は俺がなまえにメイクをしてもらうことになったから、ミンギュ達はヌナがメイクをするみたい。

MG「ヤー!ヌナ!本当ひどい!」
『はいはい!イケメンだってば!』

賑やかなスビンヌナ達と打って変わってこっちは暗い。

JS「なまえちゃんは、話すことが嫌いなの?」
「え、いや、うーん、嫌いではないと思います。たぶん…。」

自分の事なのに、随分と他人事のような言い方をするなと思った。

JS「じゃあ、もっと話せばいいのに。ヌナなんて最初からあんな感じだったよ!」

緊張を解すというか、何と言うか、この張り詰めた空気を少しでも柔らかくしたくて、放った言葉だった。

でも、なまえの表情は俺が予想してた表情とは違っていた。

「…私なんかが、お姉ちゃ…オンニと同じようにしたらダメなので…。」

視線を合わせようとしないまま、呟くなまえから痛いほどの悲しみが伝わって来る。

JS「…でも楽しくないでしょ。壁作ってたら。」
JH「別にそいつが勝手に壁作ってんならいいんじゃないの?ヌナと同じようになるなんてこいつには絶対無理だろ、似ても似つかない。」
JS「ちょっ、ハニ!そこまで言わなくても…」

いつから聞いてたのか、突然背後からハニの低い声がした。

「分かってます…そんなこと。あなたに言われなくても…。」

なまえ…。
今、なまえはどんな感情を持っているんだろう。

何を考えて、何を思っているんだろう。
なまえの表情からは何もわからなかった。

ジョンハンのせいで、その後俺らに会話は無かった。

「終わりました。お疲れです。」
JS「ありがと…え…」

頭を撫でようとした手をパシンッと払われた。
まるで私に触れるなと言うように。

ボノニは触れてるのに、俺はダメか…。

「あ、すみません…。」
JS「いや、ごめんね。ありがとう。」

ジョンハンのせいで嫌われたよ。全く…。

JS「お前のこと恨む。」
JH「は?何でだよ!」

なまえが俺に初めてしたくれたフルメイクは、いつもヌナがしてくれるメイクとはまた少し違うような気がして、セルカを何枚も撮った。

撮影中、いつものようにスングァン達がなまえにメイク直しをしてもらってた。
けど、最近聞こえて来た笑い声はなくて思わずボーっと見つめる。

SC「おい、シュア!ボーっとすんな。」
JS「あ、ごめん。」
JH「何してんだよ。」
JS「ハニうるさい。」
SC「お前ら、何があったのかよ。」

ああ、せっかく開きかけてたドアを、もしかしら俺が、いや正確にはジョンハンが閉めてしまったかもしれない…。

弟達よ、ごめん…。




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