【07 シャンパン ーなまえー】

VIPルームの奥の部屋には、ベッドが2つ置いてあった。
黒いレースのカーテンからはず離れた場所にあるベッドが見える。

もう一つのベッドにはすでに先約がいるようで、裸の女性が居たから慌てて目を逸らした。

なんだか、凄く嫌な予感がする…。
ジョンハンさんに抱えられた体がベッドへと下ろされた。

逃げないと…。
反射的にそう思ったのに、両腕をジョンハンさんに抑え付けられてたせいで、ベッドに倒れ込んでしまう。

私に跨ったまま、ジョンハンさんに見下ろされる。
やっぱり綺麗な顔だな、なんて思わず見惚れてしまった。

「…なまえ、だっけ?」
「……はい…。」

……え…。

返事をした瞬間、ジョンハンさんの顔が近付いてきて、逃げる隙もなく唇を奪われる。

啄むようなキスに少し苦しくなって唇を開けば、その隙間から舌が滑り込んでくる。

「……んっ…」

こんなキス、初めてする。
乱暴なのにどこか優しいキスは、酔いの回った私の思考を停止させそうだ。

息苦しくて唇を離して欲しくて、首を振ったらようやく唇をが離れた。

「…はぁ…はぁ……」
「…お前…、いいじゃん…。」

いい?何が?意味が分からない。
酸素が足りなくて頭がクラクラする。

ゆっくりと息を整えてると、抑え付けられてた腕も解放された。

「…飲む?」

私に跨ったまま、シャンパングラスを持って首を傾げるジョンハンさんは、テレビで見るジョンハンさんよりずっと男らしく見える。

「…や、いえ…大丈夫です…。」
「ふーん…。じゃあ飲ませてあげるよ。」

…え?この人は私の話を聞いていたのだろうか。
今いらないとはっきり断ったはずなのに。

ジョンハンさんは私から降りて、私を起こす。

「…あの、ジョンハンさん、私お酒あんまり強くないので。」
「見れば分かる。おいで。」

強張る私に「大丈夫だよ。」と優しく微笑み手を引っ張る。
気がつくと向かい合わせに座らされていた。

「…あ、あの…」

戸惑う私に構う事なく、ジョンハンさんはシャンパンを口に含むと、私の首の後ろに手を回す。
さっきミンギュさんにやられたように…

ゆっくりと顔が近付いてくる。
体を逸らそうとも、腰に回された腕の力で逃げ出すこともできない。

「…ちょっ、ジョンハンさー……んっ…んはぁ…。」

ジョンハンさんの口に含まれていたシャンパンが私の口に注がれた。
何これ…だめだよ…。

「かわいっ。」

そう言って悪戯に笑うと、またシャンパンを口に含み、私へと注ぐ。

「…んはぁっ…や、ジョンハンさー…もう、飲めな…んっ…」

何回も何回もジョンハンさんから口移しでシャンパンを注がれる。

もう…ふわふわする…。
座ってるのも大変だ。

「なまえ?」
「ん…はぁい?なんでしょうかぁ…。」
「ふふ、可愛いなぁ。もうそろそろ食べていい?」

耳元で話すから、くすぐったくて身を縮める。

「ふふ、」
「どうしたの?」
「くすぐったいですぅ…。」

ジョンハンさんが優しく笑う。
この顔は見た事ある。

ファンに向ける時の優しい笑顔だ。

「耳、弱いの?」
「…ひぁっ!」

急に耳を噛むから変な声が出る。
恥ずかしくて顔を隠せば、また笑い声が聞こえる。

「何で顔隠すの?」
「だって…恥ずかしいです…。」

顔を隠したいのに、また手の自由が奪われた。

「これからもっと恥ずかしい事するのに?」
「…ふぇ…?」
「…その顔反則。」

そう言って、さっきより少し乱暴なキスが降ってくる。
ああ、もう、頭が回らないよ…。




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