【act.02 WOOZI】

カチ…カチ…カチ…

時計の秒針の音と、メンバーの啜り泣く声が響く病院の廊下。

なまえは運ばれてからもう3時間手術室にいる。
その間誰1人として声を発していない。

俺だって、目の前で起きた出来事がいまだに信じられない。
まるで映画のワンシーンを見てるようだった。



カムバックを控えてショーケースの為にメイクを済ませ、衣装に着替えてショーケースの会場に向かった。

いつもみたいに車内はワイワイうるさくて、賑やかで、何も変わりは無くて。

その中心にはいつものようになまえが居て、珍しくミンギュとスングァンの間に座って、真っ白な衣装だから汚さないようにと慎重にアメリカーノを飲むなまえとミンギュがいつものように言い争ってて…

『着いたぞ!』

マネヒョンの声にゾロゾロと車を降りて行くメンバーたち。

クプスヒョン、シュアヒョン、ホシ、ドギョム、順番に降りて行く、いつも通り。

ミンギュが降りて、なまえが降りる。
その後ろからスングァンが降りて、俺も後に続いて車を降りた。

パシャパシャとフラッシュとカメラ音が響く中、いつもと同じようにファンに向かって手を振ってた。

2つ前を歩くミンギュとなまえがまだ何か言い合ってて、相変わらずだなってふっと笑って視線をまたファンに向けたんだ。

ドンッ!

衝撃音がして、音の方に視線を向ける。
視線の先になまえとファンが抱き合うような形になっている姿が見えた。

何してんだよ。
そう思った瞬間、カシャンと金属音がして、ファンがなまえから離れる。

それと同時に悲鳴が聞こえて、なまえの顔を見ればその顔はどんどん血の気を失っていって、倒れそうになるなまえをミンギュが間一髪で支えた。

フラッシュに目を細めながら、また先にはさっきまで真っ白だったなまえとミンギュの衣装がどんどん赤に染まっていく姿。

なまえの足元に落ちてる銀色に光るそれと、それについた赤でやっと状況が把握できた。

なまえが刺されたんだと…。

MG「…なまえ!!!」
SG「ヌナ…なまえヌナ!!!ああ、どうしよう…!なまえヌナ!しっかりして!!!」

スングァンが泣きながらなまえの傷口を抑えてる。
けれど赤は止まらなくて、スングァンの衣装も赤く染まっていく。

『…のせいだ!なまえが私の…!』

…は?
なまえを指した女が警備員に連れて行かれる寸前、俺の耳に聞こえた女の言葉に吐き気がした。

フラッシュとシャッター音が強くなりメンバーとスタッフがなまえ達を隠すように上着で壁を作る。

なまえを抱き締めたまま硬直するミンギュの左頬を叩いた。
目を覚ませ、しっかりしろ。

WZ「ミンギュ!!!しっかりしろ!!!お前がそんなんでどうすんだ!」

そう言ってやるしかなかった。




JS「2人とも手洗ってきたら?」
MG「大丈夫…俺は…」
SG「僕も…」

こう言う時一番落ち着いてるのはシュアヒョンだと思う。
俺は、もうなんて声をかけてやったらいいのか分からない…。






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