【act.03 S.COUPS】

俺のせいだ…。俺の…。

手術を終え、病室に運び込まれたなまえを見つめる。
まだ麻酔が切れてなくて眠ったままのなまえは、つい数時間前に見たなまえとは別人なんじゃないかと思うくらい真っ白く青ざめていた。

マネヒョン達はずっと廊下で電話をしてる。

ディノとジョンハンがそれぞれなまえの手を握って、他のメンバーは各々祈るような表情で眠るなまえを見つめてる。

俺がもっと周りを警戒してたら良かったのに…。
何で安心してたんだよ…。

泣いているメンバーに声を掛けなきゃいけないのに、何て声を掛けたらいいのかも分からない。
俺のせいだから、俺まで泣く訳にはいかない。

痛いほど握りしめた拳の上から、誰かの手が覆い被さって視線を移す。

SC「…シュア。」
JS「みんな喉乾いたよね。何か買って来るよ。クプスも行こう。」
SC「あ、うん…。」

病室を出るシュアに続いて、俺も病室を出る。
自販機にお金を入れ、適当にボタンを押すシュアを見つめる。

JS「クプスさ、自分のせいだって思ってるでしょ。」
SC「…え。」

見透かしたように、でも優しい目で俺を見るシュアにずっと堪えていた涙が自然と溢れ出すのがわかる。

JS「クプスだけじゃない、みんな自分のせいだって思ってる。もちろん、俺も…。」

プシュと缶コーヒーが開く音が静かな病院の廊下に響き渡る。

SC「俺、なまえのご両親にも、なまえにも絶対守るって守ってやるって約束したんだ。それなのに…」

言葉に詰まった俺の背中をシュアが優しくさする。

JS「それは俺らみんなもした約束だ。クプスだけじゃない。俺だって自分を責めたい。だけど、俺らまでそうしたら他のメンバーも自分を責めるんじゃない?」

俺らは年上で、年下メンバーに道を示してやらないといけない。
そんな俺らが自分を責めてたら、きっとあいつらも自分を責める。

シュアの言ってることはもっともだと思った。

JS「俺らにはまだ未来があるんだから、これからの事を考えよう。」

こう言う時、いつも1番冷静なのはシュアで、俺らは何度もシュアに助けられてる。

SC「シュア。」
JS「ん?」
SC「ありがとう。」

うんっと優しい笑みを浮かべて微笑むシュアにどれだけ心を救われたか、きっと分からないないんだろうな…。

JS「よし、戻るか!」
SC「そうだな。」

適当に買った飲み物を手分けして持ち、なまえの病室に戻る。

JS「ただい…」
JH「シュア!クプス!」

シュアが病室のドアを開けた瞬間、ジョンハンが険しい表情で振り返り、俺らを呼んだ。

何なんだ?
ゆっくりとジョンハンに近付くと、何でジョンハンが俺らを呼んだのか分かった。

SC「…き、なまえ!」

嬉しくてなまえの手を握りしめる。本当は抱き締めたいけど、傷口が痛むだろうから。

ギュッとなまえの手を握る。
ああ、良かった、なまえが目を覚まして。

JS「…ス…、クプス……。」

名前を呼ばれシュアを見上げる。
さっきまで希望に満ちてたシュアの表情は、まるで奈落の底に突き落とされたかのような表情に変わっていた。

SC「何だよその顔!せっかくなまえが目覚めたのになんでそんな…」

シュアだけじゃない。
よく見ればメンバー全員の表情から絶望が見える。

何でだよ、何でそんな顔するんだよ。
せっかくなまえの目が覚めたのに。

SC「なまえからも何か言ってや…れ……なまえ?」


「…すみません……、どちら様ですか…?」


何でなんだよ。
何で…何で…。





次の日、精密検査の結果、なまえは事故による精神的なショックのせいで一部の記憶を失ったとマネヒョンから報告された。




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