【12.偶然の再会って事にして〜WZ〜】
俺たちの中にヨジャを入れたいって話が出たのが確か4月頃。
ジョンハニヒョンとシュアヒョンが入ってきたすぐ後だったはず。
春も終わり最近は雨ばっかり。梅雨の時期だから仕方ないけど。
その間に何人だ、10人近くのヨジャ練習生が合流したけど、まあ俺らについて来れる奴はおろか、あわよくば仲良くなろうと近づいて来る奴もいて、結局今の所男だけ。
このまま代表が諦めるのを待つしかない。
『よし、今日はちょっと早いけど終わろうか。』
やったーと喜ぶメンバー達。
土曜日に早く練習が終わるのは嬉しい。
最近曲作りが煮詰まってるから、息抜きでもしに行かないとな。でも雨だしな。
MG「ヒョン帰ろ。」
同じバス停のミンギュが俺を呼んでる。
あれから俺はなまえに一度も会ってないけど、ミンギュは同じ学校だし同じマンションだから、ほぼ一緒にいるってぼやいてた。
本当は嬉しいくせに。
WZ「お前このまま帰る?」
ピコン
MG「どっちでもいいよ!ご飯でも行く?」
ピコン
ピコン
ピコン
WZ「そうだな、飯でも…」
ピコン、ピコン、ピコン、ピコン、ピコン…
WZ「うるせー!!!」
MG「ごめん!なまえだよ!ほら!」
カトクにはなまえからのメッセージ。
しかも1文字ずつ。
“雨だね 暇だね アメダス”
相変わらずバカだな。
WZ「嫁が暇してるから帰ってやれ。」
MG「いや、それヒョンまで言う?」
WZ「なにが?」
ミンギュは少し顔を赤らめたて髪をわしゃわしゃっと掻きむしる。
その間もピコンと鳴るカトク。
MG「あー、もううっさい!何だよ!」
「(あ、ヨボセヨ〜!)」
MG「ヨボセヨ〜じゃないわ!で?なに?何か用?」
「(いや、ごめん、何でもない。踊ってると思って、暇だからカトクしてただけ。)」
なまえの声がスマホから漏れて来る。
ミンギュははぁとため息を吐くと、俺に視線を移す。
MG「天使様と遊ぶ?」
「(遊ぶ!え?ダンスは?)」
MG「もう終わったよ。じゃあ家行くから用意しとけ。」
「(いえーい!ありがと、巨人ぞ…)」
喋ってる途中で切りやがったㅋㅋㅋ
MG「って事なんで行こ。」
WZ「俺も?何で俺も?」
MG「アイツが喜ぶから。」
なんかよくわかんねぇけど、まあいいか。
WZ「じゃあさ、ちょっと行きたいところあるんだけどいい?」
MG「うん。どこ?」
なまえを迎えに行って、家の近くのカラオケへ。
MG「天使様がなまえとカラオケ来たかったんだって!」
「お久しぶりです!天使様!」
WZ「相変わらずだな。」
「天使様もお変わりなく!」
そう言えばこいつ俺より年上なんだったっけ?
うん、まあいいや。今更ヌナとか呼べない。
「じゃあ私はマラカスしてるから、どうぞ。」
MG「は?お前にマラカスとかうるさいだけじゃん。」
「大丈夫!リズミカルに振るから!」
MG「まじバカ。うるさいから動くな。」
逆にリズミカルじゃなくどうやってマラカス振るんだよ。
「じゃあ棒立ちで振る?」
MG「こえーわ!」
やっぱりなんかいいよな、この雰囲気。
練習室でみんなとワイワイしてる感じに近い。
MG「何歌おうかなぁ〜!」
「は?まずは天使様からでしょ!お犬様はあと!」
MG「何でだよ!てかお犬様ってやめろ。ってことでヒョン、よろしく。」
いや、俺はなまえの歌が聴きたくてカラオケ誘ったんだけど…。
まあいいか、取り敢えず歌お。
適当に曲を入れて歌う。
…いや、マラカスは!?
散々マラカスを振るって意気込んでたのに、始まれば静かで、チラッとなまえを見るとキラキラした目で俺を見てて、慌てて目を逸らした。
何であんな目してんだよ!
MG「やっぱヒョン歌うま…」
「上手くない!?え!?めっちゃ上手い!天使様は声も天使様なの?すご過ぎる!」
WZ「そりゃどうも。ミンギュも上手いぞ。」
「は!?マジか!」
凄い興奮してるなまえは見てると面白い。
でもこんだけ上手だと言われると素直に嬉しいよな。
MG「韓国で好きな歌手居ないの?」
「いる!」
MG「誰?」
「SHINee!!!」
なんか意外だな。アイドルとか興味なさそうなのに。
SHINee先輩ねと言いながらミンギュが曲を選ぶ。
絶対選ぶ曲はあれだろな…。
ほら…やっぱり、replay。
MG「ヒョンも手伝って。」
WZ「え、やだ。」
MG「お願い!」
WZ「分かったって。」
ミンギュと歌うreplay。
なまえはやっぱりマラカスを一度も振らずに黙って俺らを見つめてた。
「……ヌナノムエッポって言っていいぞ。」
MG「は?」
「ははは!ごめんて!でもめっちゃ上手かった!キムミはラップとかも合いそうだね!」
MG「あっそ、ありがと。」
おー照れてる照れてる。
MG「次お前。」
「えー、韓国語の曲SHINeeくらいしか知らないよ?」
MG「日本語の曲でいいよ。あ!あれ歌って。初めて会った日に歌ってたやつ。」
「初めて会った時?アンパンマンか?」
MG「ヒョン、こいつ一発殴っていい?」
なまえの頬を潰しながら、聞いて来るミンギュ。
WZ「お好きに〜」
「ひぇ!天使なのに助けてくれないの!?」
パシンッとデコピンをするミンギュ。
でも威力は前よりも全然弱くなってる。
「そのうち絶対デコ変形する!ここだけへこむよ!」
MG「はいはい、いいから早く歌え!」
「もーそんなにヌナの歌が聴きたいのか全く。」
なまえが曲を入れる。
タイトルが映され、歌手名もうつる。
“What is Love?”
L'Arc〜en〜Ciel
あ、知ってる、このバンド。
確か日本の有名なロックバンドのはず。
MG「ラルクの曲だったんだ…。」
WZ「みたいだな。」
やっぱり上手いと素直に思う。
優しいけど、力強くもあり、悲しさもあり、日本語の意味はわからないけど、すっと入って来る声。
……こいつならありかも…。
そう思った時には、既にスマホのRECボタンを押していた。
なまえの選ぶ曲は全部日本語で、もちろん意味は知らない。
しかもアニメの主題歌とか歌ってくれないから、分からない。
でも、なまえが歌うと聴き入ってしまう。
こいつ、普段うるさくて騒いでるだけだと思ったのに、歌う曲はどれも少しだけ、悲しみを帯びているそんな曲に聞こえた。
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