【17.バニラシェアアイス〜HS〜】
MG「こっち辛いの入れるからな。お代わりするならラストチャンスだぞ。」
「うん〜大丈夫〜!」
うん…
MG「これ食う?」
「しいたけ、いや。」
MG「好き嫌いすんな、チビ。」
「うっせ、巨人兵。」
うんうん…
「それ辛い?」
MG「多分平気。」
「多分って何?」
MG「お前の辛さレベルが低すぎて分かんないの!」
うんうんうん…
MG「ふはっ!辛いのかよ!」
「…水くれ!」
MG「溢れてるから!」
「うわっ、ちょっ、ぶっ!」
MG「ごめんㅋㅋㅋ」
「笑うな!」
いやー、本当に何と言うか…。
JH「ホシヤ?どうしたの?」
食べる手を止めて、ミンギュとなまえのやり取りに見入っていた。
HS「いや、なんか本当仲良いなって思って。」
JH「本当だよね〜。ミンギュの方が年上みたいだけど。」
確かにㅋㅋㅋ
なまえの世話をせっせとやいてるミンギュの方が、圧倒的に年上に見える。
DK「ちょっと羨ましいよね!」
HS「分かる、幼馴染みたいで羨ましい。」
2人は幼馴染じゃないのに、本当昔から知り合いって感じ。
まだ半年と経ってないはずなのに、凄い。
MG「お前本当に年上かよ!もっとしっかりしろ!」
「ヌナって呼んでくれたらする。」
MG「一生呼ばない。」
「は!?お前なんかアボジだ!アジョシだ!」
MG「あっそ、じゃあアイス要らないんだな。」
ヤー食べる!ってミンギュの腕をポカポカ叩いてなまえ。
うん、やっぱりヌナではないな。
“あいつなら有りかもな。”
ふと1週間ほど前のジフニの言葉が頭を過ぎる。
懲りずにヨジャ練習生を送り込む会社の方針に、俺らのイライラが日に日に募っていく。
今までは仲良くやってメンバー同士でさえ、些細なことで喧嘩になるほどだった。
そんなメンバーを見兼ねて、練習後スンチョリヒョン、ジフニ、俺の3人でジフニの作業室に集まった。
HS「俺らこれからどうなるんだろう…。」
SC「何としてもヨジャを入れる気なのかな…。」
セブチTVのカメラが動いてる間は、俺らだけなのに、止まるとヨジャが合流してくる。
もういっそのことずっとカメラ回しといてくれとさえ思う。
HS「まじで最近しんどい。」
SC「俺この前チャニに言われたよ。もうやめようかなって。」
HS「え?」
SC「もちろん引き留めたけど。他にも同じこと思ってるやつがいるかもな…。」
悲しそうに微笑むスンチョリヒョン。
正直、みんなやめようかと考えたりしてるだろうな。
今の雰囲気も、ヨジャが入ってからの雰囲気も、最悪すぎる。
…カチャ。
ずっと黙ってるジフニが、パソコンを弄り始める。
何してんだろうって思ったら、日本語の曲が流れてきた。
HS「…うわ、うまっ……。」
すっと心に入ってきて、疲れきった俺らを癒してくれるような優しさのある声。
でも、力強さもあって、思わず引き込まれる。
音質は良くないけど。
WZ「…この声、どう思う?」
椅子をクルッと回転させて、俺とヒョンを交互に見るジフニ。
HS「俺は純粋に上手いなって思った。引き込まれる声だなって。」
WZ「…うん、ヒョンは?」
スンチョリヒョンは腕を組んだまま、ずっと俯いてる。
HS「ヒョン?」
SC「あぁ、ごめん。上手くてびっくりして。ちょっと中性的な声だけど、性別はどっち?」
大きな目をさらに大きく見開くヒョンに、ジフニは満足そうに頷き口をひらく。
WZ「最後まで聞けば分かる。」
どう言うことだろう。
ジフニの言葉に俺もヒョンも無言で終わるのを待つ。
それにしても上手いな…。
曲が終わる。
“…いや、無言かよ!キムミが歌ってって言うから歌ってやったんだぞ!”
…え?
HS「なまえ!?」
WZ「そう。なまえ。」
いや、まじ?マジでなまえなの?
喋ってる声と違いすぎるだろ…。
てか、これって…
HS「盗撮?」
WZ「は?いや、まあそうだな。あいつは録音されてたの知らないし。」
HS「知ったら騒ぎそうㅋㅋㅋ」
ヤー!って騒いでるなまえが安易に想像出来て、ジフニと顔を見合わせて笑う。
SC「…何で今、これ流したの?」
WZ「どうせヨジャを入れなきゃいけないくらいならさ、…あいつなら、有りかもなって思って。」
ジフニの言葉になまえが俺らの中に入ったらって想像をする。
きっとミンギュとは今と何も変わらず言い争ってて、でもお互いにお互いを理解し合って、俺らとももっと仲良くなって…。
HS「…ふふ!」
SC「どうした?」
HS「いや、単純に楽しそうだなって思って。ごめん…。」
確かになまえなら俺らの中に入って来ても楽しく出来ると思う。
楽しくやる自信もある。
でもそれは、俺とジフニはなまえと会ったことがあるからそう思うだけで、ヒョンは俺らの話でしか聞いたことがない。
SC「俺の素直な意見として…、なまえちゃんの人柄は申し分ないなって思う。ジフナやハニとすぐ仲良くなれるくらいだから。歌も、かなりいいと思う。俺らの中に入っても浮かないだろうね。」
ただ…と一瞬口を紡ぐ。
SC「踊れる?俺らの体力について来れる?そもそもアイドルになりたいの?俺はさ、どんなになまえちゃんが良い子だとしても、やる気がなかったら受け入れてあげられない。お前らくらいやる気があるなら、しごく。」
HS「体力は結構あるよね、見るたびにいつも蠢いてるし、ミンギュのこと全速力で追っかけてるのよく見るわ。」
WZ「学校でもそんなことしてんのかよㅋㅋㅋやる気は…正直分かんない。そもそもそんな話したことないし。」
だよね、てかなまえは自分を庶民だって思ってるからな。
俺らのことイケメンって言ってくれるし。
常に誰かに狙われてるし。
WZ「あいつのことだから、普通に誘っても意味分かんなそう。」
…確かに。
HS「じゃあさ、ここに連れてくる?それでなまえも俺らと同じことやりたいか聞いてみたらいいんじゃない?」
自分でもびっくりするくらい、当たり前のようにそんな事を言ってた。
SC「そうだな…。その前にみんなに歌聞いてもらってそれから決めよう。」
WZ「だな…。」
俺らだけになったタイミングを見計らってなまえの歌を聞いてもらおうってなったのに、今の所ヨジャがいるからそんなタイミングも無く、いまだに俺とジフニとスンチョリヒョンしか知らない。
あ、代表にはヒョンとジフニが言うって言ってたか。
ミンギュにもまだ言ってないけど、知ったらどんな反応するんだろうな…ちょっと楽しみ。
HS「…ふふ。」
DK「何笑ってんの?」
HS「いや、何でもない!って…あの2人は?」
目の前にいたはずのミンギュとなまえの姿がいなくなって、ソクミンに聞く。
DK「売店行ったよ、アイス買いに。」
JH「夫婦揃って。」
夫婦かー。しっくりくるあだ名だけど。
なまえも練習生になったとしたら、それはそれでまずいのかな…。
「わいにもくれや!」
MG「あ?イケメンミンギュ様私めにアイスをお恵みくださいは?」
「イケメン巨人兵さまぁ、可愛いヌナにアイスをよこしやがれください。」
MG「あげない。バニラ嫌なんでしょ。」
相変わらず騒がしい。
「ごめんて!食べたい!食べたい!食べ…んぐ!」
え…いや…わあ……。
HS「アイスまで…」
DK「シェア…。」
びっくりしてソクミンと顔を見合わせて、またミンギュとなまえに視線を戻す。
満足そうに飛び跳ねてるなまえと、疲れたって言いながらも笑ってるミンギュが俺らの前に座る。
MG「美味いか?」
「おいひい!」
MG「そりゃ良かったよ。まだ食う?」
「ん!んあ!…一口多いわ!」
MG「え?もういりませんって?」
「ごめんて!!!くれ!」
凄い、アイスまでシェアするなんて…。
「おいひー!でも今度はチョコね!」
MG「はいはい。ん?何?」
俺とソクミンの視線に気付いて首を傾げるミンギュに、いや別にと慌てて目を逸らす。
いや、まじで凄いよお前ら…。
JH「なまえ、俺にも一口ちょうだい!」
MG「ヒョン、どうぞ。」
JH「俺はなまえに言ったのになー。」
MG「何ですかヒョン。」
うん、この2人の中に入って行けるジョンハニヒョンもなかなか凄いよ。
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