【18.虎のついた物〜MG〜】

昼休憩が終わり午後の競技のために外に出た瞬間、太陽がジリっと肌を焼く。あっつ…。

「は!?」
HS「ヤハー!暑いね!」

スニョンヒョンは笑ってるけど、なまえは眉間に皺を寄せてる。

「だめ、暑すぎ、焦げる。髪の毛が邪魔じゃ!」
MJ『髪縛ったら?』

髪の毛が邪魔だと頭ぶん回してるなまえに、友達からの提案。てかそんなに動いたら余計暑いよな。

JH「余計暑そう。」
MG「バカすぎる。」

アイツを見てるだけでこっちが暑くなるわ。
友達からゴムを借り、一生懸命縛る。
…下手すぎませんか?

JH「不器用だね。」
MG「はあ…ったく。」

暑いと騒ぎながらジャージの裾をくるくるまくってるなまえ。

YN『オンニ髪ぐちゃぐちゃ!』

ほら、笑われてんじゃん。

MG「チビ、こっちこい。」
「いやー暑過ぎるねー!」

無視かよ!

MG「髪の毛綺麗にまとめてやろうと思ったけど、来ないならいいや。」
「いや!待って!今裾くるくるしてるから!」

やっぱり自分で出来ないんだな。
ズボンの裾をめくってから、大急ぎで俺の元にやってきてちょこんと前に座る。

MG「普通に来い。余計暑いわ。」

へへなんて笑ってるなまえ。
元気有り余りすぎだろ。

「キムミは何でも出来るんだね?」
MG「妹の髪しばってたからな。」
「なるほど、チャラいのかと思ったよ。チャラミ。」
MG「あ?」

髪の毛をグイッと後ろに引っ張れば、ギャーと馬鹿でかい声を上げて、俺を見上げる形になる。

「首が、グインとなりましたよ!」
MG「お前がチャラミとか訳わかんないこと言うからだろ!」
「そのうちなるんだよ、君はチャラミに…。」

何言ってんだこいつ。
まあいいや。髪をポニーテールに直してやってから、なまえのカバンを勝手に漁る。

「お金なんてありませんよ!」
MG「違うわバカ。日焼け止めどこ?」
「ん?ちっさいポケット!なに?やっぱりボディービルダー目指すのやめたの?」

なんでだよ。
俺はいつからボディービルダー目指してんだよ。

MG「はいはい、そうですよ。あった、ほら、首と足塗ったけ。あとで泣くぞ?」
「そうか諦めたのか、でも大丈夫!キミはマッチョだ!」
MG「そりゃどうも。」

はぁ…。

DK「え、ミンギュってボディービルダー目指してたの?」

…いや、そんなの真顔で聞いてこないで!

MG「そんなことあるわけないじゃん!あいつが勝手に言ったるだけだよ。」
「キムミ〜!ありがとー!」

ポニーテールを揺らしながら振り向いて、満面の笑みを向けるなまえ。

MG「…ん。」
JH「キムミさん、今なまえにドキッとしたでしょ?」

黙って俺を見てたハニヒョンがニヤニヤしながら聞いてくる。

MG「は!?俺がアイツにドキッとするなんてないから!てか、ヒョンまでキムミってやめて!」
JH「そう?今の可愛かったじゃん!」
MG「………アイツにしては、マシだったけど。」

マシってだけで、可愛いとは言ってない。うん。

『オンニ!そろそろ出番だって!行こ!』

なまえのクラスの子が呼びに来る。

「よし!行って参る!」
MJ『転ばないようにねー!』
YR『頑張ってー!』
YN『オンニファイティン!』

友達にエールを送られ嬉しそうに微笑むなまえ。
あー、青春。

HS「なまえ!頑張ってねー!」
JH「なんかあったら俺を選んでね!」

…は?

DK「僕でもいいよ!」
HS「いや、俺でしょ?」

いや、あんたら何言ってんの?

「はっはっは!F4なんて選んだらライフルで心臓撃ち抜かれるから、選ばんぞ!じゃあ行ってくる!」

何キャラだよ!
てか次はライフルかよ…。

MG「アイツ狙われすぎじゃね?」
DK「それだけ僕らのことハンサムだと思ってくれてるんじゃない?」

まあ、それはそうだと思う。
ずっと俺のことイケメンって呼んでたし。

その割には、俺に対しての態度雑だけどね。

HS「おっ!なまえ早いじゃん!」
JH「本当だ!なまえ〜頑張れ〜!」

本当に走るの早いんだな。
圧倒的な速さで封筒をゲットするなまえ。

DK「凄い差あるし、圧倒的に一位じゃない?」
MG「韓国語読めなかったら笑う。」

さすがにそれはないでしょ?って笑ってるソクミンにあいつならあり得ると返し、スポーツドリンクを探す。

たぶんアイツ戻って来たら喉渇いたとか騒ぎそうだからな。
その前に俺も喉渇いた。

MJ『…オンニどうしたの!?』
JH「ミンギュ!なまえが…」

ついほんの数秒前までは、あいつはバカみたいに笑顔で全速疾走してて、ワクワクしながら封筒を開けてた。

なのに今のなまえは、紙を見つめたまま固まっている。
その間にも後ろから他の生徒が来てる。

DK「なまえには分からないお題だったのかな?」

……まさか。
嫌な予感がした。

HS「うわ!ミンギュ!?」
MG「おい!クソチビ!」

今はレース中で俺からレーンに侵入することはできない。
だから全力で呼んだ。

「誰がチビだよ!」

いつものように言い返してくるけど、その目はどこか悲しそうで、うるせー!と言いながら小さく、本当に小さく誰にも気付かれないように手招きをする。

アイツが気付くかは分からないけど。

DK「ちゃんと応援してあげなよ〜!」
MG「クソチビ!」
「もー!な……っ!」

俺の手招きに気付きなまえは一瞬目を見開いたけど、小さく頷いたら素直に俺の方にやって来た。

MG「見せろ。」

お題を見て、疑惑が確信に変わった。
なまえは少し気まずそうにしてる。

MG「ホシヒョンのTシャツ貸して。」
HS「え?脱げと?」
MG「違うよ!練習着用!」
HS「あ、これ?」

ひょいっとホシヒョンがTシャツを投げてくれて、それをなまえに渡す。

MG「ほら、行け。」
「キムミ…私……。」
MG「いいから、早く行け、まだ一位取れるぞ。」
「…痛っ!何でデコピンすんだよ!」

おでこを抑えながら、ホシヒョンのTシャツを握りしめて走っていくなまえ。
アイツと真剣な話をする時なんて来るのかなって思う。

きっとここに戻ってきた時は、またいつものアイツに戻ってるんだよな…。

DK「ミンギュ?」
MG「ん?」
DK「いや、何でもない。」

どうしたんだろう。まあいいか。
なまえは無事に一位を取って、満足げに帰って来た。

MJ『オンニお疲れ!』
YR『一位おめでとう!本当早かったね!』
「うへへ!ありがとう!」
YN『陸上部入るべきだよ!』

やめて!絶対に!
満面の笑みで喜んでるなまえが、ふと俺の視線に気付いたかと思ったら、今度はホシヒョンに視線を移し、走ってくる。

「スニョン氏!」
HS「んあ、はい!」
「Tシャツありがとうございました!」

丁寧に正座してお礼を言うなまえにつられるように、ホシヒョンも正座してどういたしましてと頭を下げる。

バカ2人…。

HS「お題なんだったの?」
「え!?あ、えっと…」
MG「虎の絵がついた物だよな?」
「え、あ、うん!そう!」
DK「そんなの中々なくない?」

ないよね!といつも通り明るく返すなまえ。

JH「ミンギュは何でなまえのお題わかったの?」
MG「ソクミンがお題難しいのかな?って言うから、コイツまだ意味分かんない単語あると思って、運営にバレないようにコイツ呼んでお題見たんだよ。」

半分は嘘で半分は本当。
みんな、嘘ついてごめん…。

HS「じゃあなまえの一位はチャラミさんのサポートのおかげだね!」
「うん!感謝申し上げる!」
MG「はいはい、そりゃ良かったです。飲むか?」
「飲む!」

俺の隣に座って、スポーツドリンクを飲むなまえ。
体育祭は佳境に入ってて、盛り上がりも増してる。

「……キムミ…。」
MG「ん?」
「さっきは…ありがとう…。嘘つかせちゃってごめん…。」

みんなに伝えたお題は、俺が咄嗟についた嘘で、本当のお題は違った。

MG「俺が勝手にしただけだから、お前が謝ることじゃないよ。」
「なんだよそれ、かっこいいな…。くそ。」

いつもより弱々しく笑うなまえ。

MG「俺のイケメンさに今気付いか、おせぇぞ。」
「キムミがイケメンなのは、初めて会った時から知ってるわ。

ねぇ、キムミ…、私さ…わたし…」

膝を抱え顔を埋める。
膝を抱える腕が震えていることに気付いて、小さな頭に優しく手を置く。

MG「いつでも良いよ。いつでも。俺は待ってるから。」

うわーと周りに歓声が起こる。
どっかの誰かが活躍したのだろう。

「かっこよすぎだから…。でも…ありがとう。」
MG「ん。」

別に無理に話さなくていい。
俺たちにはまだたっぷり時間があるんだから。

心の準備が出来てからでいい。




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