【21.傷だらけガール〜WZ〜】
ミンギュになまえを俺らのグループに入れようと思うって話をしに、何も考えずに作業室からミンギュのマンションに来た。
生憎まだメンバーに言う時間は無くて、取り敢えずなまえの保護者的なミンギュには先に話しておくかってことになった。
時計を見ればまだ1時過ぎで、あいつ学校だわなんて思い出す。
ひと足先に夏休みに入ったから、ミンギュも夏休み入ったかと思ってたわ。
帰るのも面倒だし、ミンギュが帰ってくるまで時間潰すか…。
カフェでも行って歌詞でも考えよ。
なんて思って一歩踏み出した時だった。
マンションの正面玄関の自動ドアが開く音がして、顔をあげる。
…え?は?
WZ「…なまえ?」
車にでも轢かれたのか?ってくらいボロボロのなまえが壁に寄りかかりながら歩いてくる。
まだ俺には気付いてない。
WZ「なまえ?」
ゆっくりと顔を上げるなまえと目が合う、その瞬間体が崩れ落ちそうになって、慌てて駆け寄り間一髪の所で支えられた。
あっぶねぇ…って…
WZ「…なまえ?おい!なまえ!」
俺の腕の中で意識を失ったなまえ。
おい、これどうすんだよ!
てか、なんでこいつこんなにボロボロなんだよ!
まじで車に轢かれたのか!?
…いや、違うなこれ。
頬にある傷はどう考えても誰かに殴られたもの。
この状況にミンギュがいないって事は、たぶんあいつは何も知らない。
こういう時、俺が頼れるのは1人だけだ。
幸いにもここから距離も近い。
ポケットからスマホを取り出し、カトクを開く。
「(もしもし?どうした?今日練習休みだぞ。)」
WZ「知ってる。ヒョン、ミンギュの家まで来て今すぐ。」
「(ミンギュの家?何で?)」
WZ「いいから、早く来て。」
俺の少し焦った声に小さく返事をして、電話を切る。
ミンギュにも連絡入れとくか…。
トーク画面を開く。
いや、今授業中だよな?もう少し後にしとこう。
スマホをポケットにしまい、腕の中のなまえに視線を落とす。
こいつ…いじめられてんのか?
いや、それならミンギュやジョンハニヒョン辺りがすぐ気付きそうだし…。
少し苦しそうに息をしてるなまえ。
ブラウスのボタンの隙間からなまえのお腹が見えて、ハッとした。
真っ赤なったお腹。
骨折とかしてないよな?
確認のために、なまえのお腹を少し触る。
骨はしっかりしてて、幸い骨折はしてないようだ。
WZ「良かった…。」
ほっと胸を撫で下ろすと、マンションの正面玄関の自動ドアが開く音と共に「ジフナ!」って声がエントランスに響いて顔を上げる。
血相を変えたスンチョリヒョンが立っていた。
WZ「ヒョンごめん。こいつ怪我してるから、俺ん家よりヒョンの家の方が近いし、車もあるから。」
ヒョンは俺の腕の中に居るなまえに視線を落とす。
SC「もしかして…この子がなまえちゃん?」
WZ「うん。」
SC「どうしたの…車に轢かれたみたいじゃん。」
WZ「ミンギュ達のことが好きな子達にでもやられたんじゃ無いかと思う。とりあえずヒョンの家連れてっていい?俺なまえの家知らないし、ミンギュはまだ学校だから。」
少し戸惑いながらも頷いてくれるヒョンにお礼を言い、なまえを抱き上げる。
WZ「クソ軽いな。」
SC「ジフナが大きく見えるくらいくらい、なまえちゃんって小さいんだね。」
WZ「…ヒョン、失礼だな。」
運転しながら笑ってるスンチョリヒョン。
でも、本当にヒョンが居て助かった。
SC「取り敢えずソファーに寝かせて。」
WZ「こいつ汚いよ?」
SC「言い方ㅋㅋㅋちょっと待ってて。」
いや、だって砂埃まみれだし…。
ヒョンは洗面所からバスタオルを持って来てソファーに敷いた。
SC「これならいいでしょ?」
WZ「ありがとう。」
なまえをソファーに寝かせる。
こう見るとマジでボロボロじゃん…。
SC「消毒、アイスノン、他に必要なものある?てか病院連れてかなくていいの?」
WZ「分かんない…。連れてっていいのか…。」
俺にはなまえに対して確信はないけど、懸念があった。
きっとまだ誰も気付いていないだろうけど…。
SC「取り敢えず手当てしてあげな。」
WZ「…う、うんって俺が?」
SC「俺まだ面識ないし。」
…確かに。
仕方なく、見える範囲の傷の手当てをする。
SC「これ絶対アザになるじゃん。」
太ももに出来た赤い跡を見つめながら大きな目を細めるヒョン。
WZ「ミンギュには言ってないんだろうな…。」
SC「ミンギュには連絡したの?」
WZ「まだ授業中だし、今連絡したら騒ぎそうだから、もう少し後でする。なまえをこんな目に遭わせた奴が近くにいるかもしれないから刺激したくないし。」
頬の痣にアイスノンを当てる。
WZ「ねぇ、ヒョン。」
SC「うん?」
WZ「…やっぱりなまえを俺らのグループに加入させるのはやめた方がいいのかも…。」
なまえがこうなった原因は不明だ。
でもなまえは人に嫌われるようなそんな奴じゃ無い。
誰にでも明るくて、面白くて、自分が人見知りだってことを忘れるくらい気さく。
そんななまえを嫌いになるとしたら、きっとミンギュ達に気がある奴らだと思う。
まだデビューすらしてない練習生の段階でこんな目に遭うなら、もし一緒にデビューなんてしたら、もっと酷い目に遭うんじゃないか?
俺はなまえが傷つく姿を見たく無い…。
ミンギュも同じはずだ。
SC「こんなの見せられたら、まあそう思うよな…。」
きっと今ヒョンも俺と同じことを思ってるはずだ。
SC「目の前にある事実だけを見たら、確かにそう思うけど、俺は他の奴がメンバーになるくらいならなまえちゃんがいいなとは思った。」
どう言うことだ?
だってヒョンはさっきなまえと会ったばかりで、まだこいつと話したこともないのに…。
WZ「何で?」
SC「ジフナが見込んだ子だから。」
俺が見込んだ…か…。
SC「ま、取り敢えずミンギュに相談だな。キムチ夫婦なんだっけ?」
WZ「らしい。」
ソクミンが付けたってミンギュが怒ってたっけ。
もう少ししたらミンギュに連絡しよ…。
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