【22.胸騒ぎはよく当たる〜MG〜】
体育祭が終わってから、急になまえが俺を、と言うか俺らを明らかに避けてることに気付いた。
DK「最近なまえヌナ見なくない?」
HS「言われてみれば!なんか静かだと思った!」
食堂にも来ないし、朝も寝坊したとか言って降りて来ない。
しかも、あいつは俺に何も言わずに休んでた。
隠してるつもりかもしれないけどバレバレだ。
だから、今日こそはと遅刻覚悟でアイツを待った。
いつもと変わらない表情でエントランスに来たなまえに心底胸を撫で下ろす。
JH「今日も一緒に来なかったの?」
MG「いや、今日は一緒に来た。」
そっかとどこかホッとしたような表情を浮かべたハニヒョン。
そう言えば一昨日、なまえは元気かと急に聞かれた。
何か知ってるんだろうな…。
でもなまえに口止めされてるか…。
JH「今日は練習ないし一緒に帰りなよ。」
MG「そのつもり。」
アイツに何があったか、そんな事結構簡単に想像は付く。
だってほら…。
『ミンギュくーん!あれー?今日もあの子一緒に居ないんだ!喧嘩でもしたの?』
同じクラスのソンヘジン。
JYPの練習生で、なまえが居ないと必ず絡んでくる。
長い足を見せびらかすように、わざわざテーブルの上に座るあざとい女。
『でもあの子ってかばばあ?が居ないだけで華やかだね!静かだし。』
こっちが無視してるのにも関わらず、1人で訳のわかんない話をペチャクチャと話すヘジン。
そろそろどっか行けって言おうかと思ったら、バンッ!とテーブルを叩く音が聞こえて目を見開く。
テーブルを叩いたのはジョンハニヒョンだった。
『オッパ?どうしたんですか?』
JH「別に。俺行くわ。」
HS「あ、待ってよ!ヒョン!」
俺らも慌ててジョンハニヒョンを追う。
確かにああ言う女に俺らは特に冷たい。
でも、ここまで不機嫌さを全面に出すジョンハニヒョンは珍しい。
ジョンハニヒョンは俺らの制止も聞かず、教室に戻って行った。
DK「どうしたんだろう…。練習室もピリピリしてるのに、学校でもピリピリしてるなんて嫌だ。」
HS「そうだな…。こんな時なまえが居ればなーって思うわ。」
DK「分かる!」
皆んなの中でもアイツの存在は俺が思ってるよりもっと大きいんだな…。
HS「来週からは食堂に強制連行させような!」
MG「絶対うるさいやつじゃんそれ。」
DK「大丈夫、何だかんだミンギュの言う事は聞くから!」
それはどうだかな…。
お昼休みを終え、授業に少し遅れて来たソンヘジンとそのお仲間を見た瞬間、胸がざわついた。
…何だ今の。
なんか、嫌な予感…。
授業が終わってすぐ7組まで走ると、少し慌てたようにユリさんも教室から出て来た。
その瞬間に嫌な予感は、現実へと変わる。
MG「アイツは!?」
YR『それが…お昼休みにトイレ行くって言ったっきり戻って来ないし、電話にも出なくて…。私のせいだわ…ごめんなさい…。』
ユリさんのせいではない。それだけは言える。
MG「アイツの荷物は?」
YR『あります。』
教室に入りなまえの荷物を持って廊下に出る。
MG「ヌナのせいじゃないですから。それじゃあ。」
ヌナに一礼をして、なまえの荷物と自分の荷物を持って学校から出る。
アイツはもう学校に居ない気がする。
家か?
バスを待ってる間、なまえに電話をかけ続ける。
5回目の電話でようやくコール音が止まった。
MG「もしもし!?」
「(もしもし。)」
…誰だ?
なまえにかけたはずなのに、男の声がして思わず歯を食いしばる。
「(もしもし!おい!ミンギュ!俺だ!ジフンだ!)」
少し離したスマホから、聞こえたのはジフニヒョンの名前。
MG「え!?ジフナヒョン!?え!?どう言う事?何でヒョンがなまえのスマホに出ー…」
WZ「(今スンチョリヒョンの家に居るから、学校終わったらすー…)」
ヒョンが話してる途中で電話を切って、スンチョリヒョンの家に向かう。
何でなまえとジフニヒョンがスンチョリヒョンの家にいるんだ?
てか、なまえはカバンも持たず何でスンチョリヒョンの家にいるんだ?
しかもなんでジフニヒョンがなまえのスマホに出るんだ?
もう訳がわからなかった。
バスなんて待ってられなくて、走るしかなかった。
俺ってこんなに体力あったんだなってちょっと意外だとだった。
スンチョリヒョンのアパートの前に着き、チャイムを連打する。
SC「うるさい!なまえちゃんが起きるだろ!兎に角入れ。リビングにいる。」
MG「お邪魔します!なまえ!……え…。」
リビングのソファーに横たわるなまえを見て、俺の手から鞄が落ちた。
何だよこれ…朝は…こんな傷無かったじゃん…。
すぐに手を握る。
MG「ヒョン…、何が起きたの…?」
WZ「俺も何でなまえがこんなことになってんのかは知らない。」
ジフニヒョンは俺に用事があって家に来た事。
そしたらなまえがボロボロで入って来て、慌ててスンチョリヒョンに連絡をしてここに連れて来たと教えてくれた。
傷の手当てはしたし、骨折もしてないと思うって少し安心したように呟くジフニヒョンに、ありがとうございました、と伝え顔にかかる髪の毛をどかす。
顔にまで傷付けられて…。
MG「起きたら煮て焼いて食ってやるから覚悟しろバカ。」
…ブラウスの隙間から見える殴られた跡。
痛かったよな…。
WZ「なまえをこんな目に遭わせた奴の目星ついてるか?」
MG「…一応。でも、こいつが助けを求めるまで俺は助けない。」
俺の言葉にスンチョリヒョンが少し怒ったように何でだよと聞いてくる。
そんなスンチョリヒョンとは対照的に冷静なジフニヒョン。
MG「俺が勝手に動いたら、こいつはもっと傷付くんだよ、きっと。こいつは自分よりも周りのこと考えるバカだから。
だから助けてって言うまでは、俺から対処はしない。
でも…、こいつが隠れて泣かなくていいように、寄り添うつもり。」
体育祭の時のように…。
SC「…俺達の中に居る時はうるさい大型犬なのに、なまえちゃんの前ではしっかりした男になるんだな。」
急にそんなこと言うから、一気に照れ臭くなった。
MG「で!?ジフナヒョンの話って何なの!?」
話題を逸らすために、なまえからジフニヒョンに視線を移す。
WZ「俺らのグループに、なまえを入れるのはどうかと思って、その相談をしに来た。」
MG「ふーんー…っては!?こいつを入れる!?」
え、なまえが俺らと一緒にデビューするってこと?
WZ「なまえの歌は申し分なく上手いじゃん。それに性格もいいし。俺ら数人とは既に顔見知りだし、訳わからないヨジャが入ってくるぐらいなら、なまえがいいんじゃないかと思って。」
…そりゃまあ、こいつなら俺らとは上手くやっていけるとは思う。
実際今日の昼にこいつが居ないと寂しいなんて、ホシヒョン達と話したばっかりだ。
MG「スンチョルヒョンは知ってるの?」
SC「俺とスニョンはだいぶ前にジフナからこの相談受けてたんだよ。」
…え?ホシヒョンも?
あの人秘密とか黙ってられるんだ…。ちょっと意外。
MG「ヒョンはこいつがグループに入る事どう思ってんの?」
SC「俺はなまえちゃんにやる気があるならいいと思う。歌も上手だし。」
まあ、確かに歌は上手いし、歌ってる時はまじで別人だけー…いや、待って。
MG「なんでこいつの歌知ってんの?」
WZ「俺がカラオケ行った時録音したの聞かせた。」
MG「…盗聴じゃん!」
ケラケラ笑ってるジフニヒョン。
いや、こいつが知ったら絶対うるさいよ。
WZ「で?お前はどう思う?」
MG「どうって…何で俺に聞くの?」
WZ「旦那だから。」
…は?いや、真顔で何言ってんのこの人。
WZ「旦那かどうかはともかく、お前の意見聞きたいんだよ。特に今は尚更…。」
ボロボロになって眠ってるなまえに、視線を移すジフニヒョン。
俺の意見か…。
→
ノベルに戻る I
Addict