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「あ、ルーク」
「あれ、えーっと確か…レイン、だっけ?」
「覚えててくれたんだな」
「にゃぅ」
特にすることもなくなったので、昨日かぶっていた帽子を気まぐれでかぶりつつ船内をぶらぶらしていると、ばったりルークと鉢合わせした。ルークは俺をみると気まずそうに口ごもる。
「えっと…昨日はその、悪かったな。勝手に勘違いして…ずっと、謝りたかったんだ」
「あぁ、それについてはガイが謝ってくれたからもういいよ。カノンノに傷付けてたら血祭りどころじゃすまなかったけどな☆」
「…そ、そうか」
にこりと笑って言うと、ルークの顔が引きつった。ぼそっと「過保護…」とかつぶやいたの聞こえたけど、言っとくがお前の親友も大概だからな。人のコト言えないからな。
そこに丁度、噂をすればなんとやら。ルークを探しに来たらしいガイが顔を覗かせる。
「おいおいルーク。一人で勝手にうろうろするんじゃ………って、レイン!」
「やっほーガイ。さっきぶりー」
軽く手をあげて言えば、ガイは苦笑しながらルークの隣に立った。
さっきいたずらしすぎたかな。まぁ楽しかったしいいか。
「丁度良かった。今からルークをつれて、改めて君のところに行こうと思ってたんだ」
「え?」
「さっきはその…挨拶だけで終わってしまったからな。改めて礼をさせてくれ。ルークを助けてくれてありがとう、レイン」
「なんだ、そんなこと」
「あ、俺からも言わせてくれよ。感謝してる、ありがとう」
頭を下げたガイに習い、ルークも微笑みながら言う。
そんな彼にガイが溜め息をついた。
「あのなルーク。お前、仮にも王族だろ?公の場じゃないにしても、その口調はないんじゃないのか?」
「あ、ああ……えーと、」
ガイに指摘されたルークは、困ったように頷いた。
俺は別にそんなこと気にしないんだけど、という視線でガイを見れば、彼は片目を瞑って「付き合ってやってくれ」と唇だけでささやいた。ああ、なーる。練習ね。おけおけ。
「あーと…昨日は迷惑をかけて…その、すみませんでした。ありがとう。祖国グランマニエの名に掛けて、貴公の活躍に感謝の意を示させてもらいたく存じます」
わぁ、すげぇ棒読み。
ガイはたどたどしくも必死なルークを微笑ましそうに見て、ポンポンと彼の肩を叩いた。
「じゃあ改めてレインに自己紹介だ。…と、従者の俺がするのはまずいな。ルーク、お前から頼む」
「あ、ああ…。俺は…!…いや、私は、ルーク・フォン・ファブレといいます。えっと、グランマニエの公爵家のものです。こっちは、俺…じゃない、私の従者、ガイ・セシル。えーと、よろしく…お見知りおきください……?」
え、最後疑問形?
何度も噛みながら、それでも必死に言葉を紡ぐルークが可愛らしい。
ガイも笑いながらくしゃくしゃとルークの頭を撫でた。
「おお〜、よく言えた。偉い偉い」
「ば、バカにすんなよな!」
顔を真っ赤にさせてガイに噛みつくルークに、思わず笑みがこぼれた。それを見たルークがさらに顔を赤くする。
「…でも、ダメだな。ああいう口調、全然言い馴れねぇや。レイン、悪いけど、普通に喋らせてもらっていいか?」
「ははっ、構わないよ。つーか話す度に噛まれたら笑いこらえられないし?」
「なっ!お、お前なぁ……」
ルークの頭を撫でながら言うと、ルークはばつが悪そうな顔をして頬を染めた。
オレはそんな彼に左手を差し出す。
「んじゃ、これからよろしく」
「…左手?」
「左利きだよな?あれ、違った?」
確かそうだったと思ったんだけど…。
「や、そうだよ。さんきゅ、これからよろしくな!」
オレの手をとり満面の笑みを浮かべたルーくんが物凄く可愛かったです。
これから一緒に楽しもう!
(そういや、なんでガイとは握手しないんだ?先に挨拶してたのか?)
(それもあるが…ルーク)
(ん?)
(レインは女の子だ)
(ヨロシク、ルーくん☆)
(……………ええぇえぇぇぇぇぇぇ!!!?)
(にゃおーん)
090730