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と、いうことで。
「ジーニアス!久しぶりだなぁ、元気だったか!?」
「うん!ロイドも相変わらず、元気そうだね」
「プレセアもここまで疲れたでしょ?だいじょぶだった?」
「…はい、平気です」
目の前で赤と金と銀と桃が戯れております。微笑ましいです。
ロイド達に連れられてやって来たホールにいたのは、銀髪の少年と桃色の髪の少女。そしてロイドと同じ鳶色の髪をした男の三人組だった。
一見子連れのパパンに見えたのは、秘密にしといた方がいいのかもしれない。
俺は彼らから少し離れた所にある壁に寄りかかってクロートを撫でながら、ぼんやりその光景を眺めていた。
「そっか…ナパージュにはもう戻れないんだ」
ロイドから故郷の事情を聞いたらしい少年が肩を落とす。少女はそんな少年をただ見ていた。
「でも、この船の人達はみんないい人ばっかりだぜ?な、コレット」
「うん!ジーニアスもプレセアも、すぐに仲良くなれるよ!」
「そうかな?」
「当たり前だろ!っと、そうだ…レイン!こっち来てくれよ!」
ロイドが俺に向かってぶんぶん手を振ってくる。俺は小さく微笑みクロートを肩に乗せると、彼らに歩み寄った。
「良かった、まぁた忘れられたんじゃないかとヒヤヒヤしてたんだ」
「うっ」
まぁ全然そんなことはないけどな?
くつくつ笑うと、からかわれたとわかったのかロイドが唇を尖らせた。
「ちぇっ、なんだよ。あ、ジーニアス。こいつがレイン。オレ達がこの船で一番最初に仲良くなった奴なんだ!」
「レインだ。で、こいつがクロート。ま、よろしくな?」
「猫連れてるんだね。ボクはジーニアス・セイジ。こう見えても魔法使いなんだよ。魔法の扱いなら任せて!」
「……肉球……ぷにぷに…………」
「ぷ、プレセア!肉球は後にして、まずは自己紹介しようよ!」
「!…私は…プレセア、です…」
対照的な二人だな本当に。
元気よく言うジーニアスと、機械的な返事を返すプレセア。俺は笑って二人の頭を撫でた。プレセアは大人しく撫でられていたが、ジーニアスからは「子供扱いしないでよ!」と怒られてしまった。
うーむ、そんなつもりはなかったんだけどな。
「ジーニアス、レインはよく皆の頭撫でてるよ?」
「えっ?」
「私もよく撫でてもらうんだ〜。レインの手ってね、ふわふわしてあったかくて、撫でられると幸せな気分になるんだ〜」
おお、高い評価を得てるなオレの手。コレットの嬉しい言葉に、俺は笑った。
「サンキューコレット。そんなんで幸せになれるんならいくらでも撫でてやんぜ?」
「うん、ありがと!」
ああっ、邪気のない笑顔が眩しいっ!!
なでなでとコレットのさらさらの髪を撫でながら、俺は心の中で涙した。くそう、俺何にもしてないのになんでこんなに罪悪感や惨めさに苛まれるんだろう…?
ちなみにジェイドとかリフィル先生とかは撫でたことありません。リフィルはともかくジェイドを撫でるのはなかなか勇気がいることです。はい。
撫でていて一番反応が大きいのはキールかな!ロイドやリッドは意外と大人しく撫でられてるし、カイウスは照れて憮然としてたりするけどやっぱり大人しいし。
「…………」
「…?クロート…?」
ふと、クロートが先程から何も言っていないことに気が付いた。肩を見ると、クロートはジーニアス達には見向きもせずただじっと一ヶ所を見つめている。
俺は無意識に、その視線の先を追って…そして、目を瞬いた。
「あ、そうだ。クラトスのこと忘れてたな。おーいクラトス!お前もこっちに来いよ!」
ロイドに呼ばれたその男性は、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。クロートはじっと彼を見つめていた。
声をかけても、何も反応しない。意識を全て持っていかれたかのように、ただその男だけを見据えていた。
「…クラトス・アウリオンだ。傭兵をしている」
クラトスが、髪と同じ鳶色の瞳で俺を見下ろしてくる。俺はその瞳を真っ直ぐに見上げ、そして笑顔を浮かべた。
「レインだ。こっちはクロート。はじめまして、クラトス。これからよろしくな」
「……………あぁ」
「……………」
俺の差し出した手を軽く握り返して、クラトスは踵を返してどこかへ行ってしまった。おそらくリフィルを探しにいったんだろう。その間、クロートが彼から視線を外すことはなかった。
「…どうしたんだ?クラトスの奴………」
なんかいつもと雰囲気が違うよな、と言うロイドにナパージュ組が小さく頷いた。
俺は遠ざかっていくクラトスの背中をただ、無言で見送っていた。
新たに増える、謎
(様子がおかしかったのは、クラトスだけじゃなくて)
(クロートも、なんだか雰囲気が違ったんだ)
091210