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道中、すっかりリッド達とも打ち解け、船内を散策する俺。
途中キールが何もない所でずっこけた時はおお!って感動したけどな。もちろん華麗にお助けしましたとも。
その時のキールの顔真っ赤だったけどね!リッドと二人して笑ったらさらに顔赤くしてキレたけど。からかうのもほどほどに。
シュン、と音がして、目の前の扉が開いた。
そこはやけに広いホールだった。なんかホテルみたいだな。や、この船がでかいだけか。
「ここがホールだ。ちなみに俺等は普段そこの梯子を上ったところにある操縦室によくいるんだ」
「何かあったらいつでも来い」
「わぁった。じゃあキールの邪魔しに行くよ」
「やっぱり来るな」
「冗談だってー。でも、ちょくちょく顔は出すよ」
「ああ、待ってるぜ!」
リッドの笑顔に、俺もニッと笑い返す。
隣りでキールが疲れたように肩を落としたのは見ないフリだ。
クロートがふぁ…と欠伸をした。ちくしょ、お前は歩いてないだろうが。ずっと俺の肩に乗ってたんだから。
「あーっレイン!やっと見つけた!」
「ほ?」
その時、大きな声で名前を呼ばれ、いきなり目の前ににょきっとピンク頭が生えた。
その衝撃で思わずよろけ、後ろにいたキールに支えられる。
肩にいたクロートもずり落ちたが、そこは流石猫。なんなく地面に着地した。
「っと…さ、サンキュなキール」
「べ、別にこのくらい………ッ!?」
肩越しに振り返って礼を言うと、キールの顔が目の前にあった。
途端にキールの顔が真っ赤に染まる。女の子に対する免疫無さ過ぎだろ。
初々しいなぁ、と内心苦笑しながら、俺は目の前に現れた夏を思わせる水色の服を着た彼女に視線を戻した。
「どーしたぁ、カノンノ?」
「急にいなくなっちゃったから…心配したんだよ?この船初めての人は迷いやすいから、迷子になってたらどうしようって」
「ごめーん。ちょっと目移りしてた」
「もう…」
カノンノの頭を撫でながら言うとカノンノはほっと安堵の溜め息をついて俺から離れた。
俺もキールにもう一度礼を言って離れ、ふぅと溜め息をつく。
再び肩に飛び乗ってきたクロートを一瞥し、俺はホールの中を見た。
「っ!!?」
「レイン?」
「あ、いや、なんでもない、よ?」
やば、今の俺めっちゃ挙動不審だよな。
でもしょうがないんだっていやコレはマジでしょうがない。
ホールの一角がなんか異様に光り輝いてるんだ。アッなるほどあれがまさしくレディアント?(違う)
「あっ、カノンノ!もしかしてその子!?」
紅色の髪に花の蕾を連想させる服を着た少女が興奮したように俺を指差す。きゃあああルビアだ!神官見習いのルビアちゃんだ!!うぇーいテンペストー!!
つか何ですか。
まさかアドリビトム古参組、全員勢揃いですか!?何このスペシャルサプライズ!
「うん!この子がさっき探してたっていうレインよ!」
わあっ!という歓声と共に、その輝きが一斉にこっちに移動してきた。
くっ!眩しくて直視できないぜこの輝き!!
クロートがなんか心底呆れた視線を向けてきたがスルーだスルー。
貴様にこの苦しみ(とかいて悦びと読む)がわかるかぁっ!
「にゃー」
「あ、そうですか」
わかりたくもないって返されました。テメーこんちくしょー。
「目が覚めて良かった!あたしルビア・ナトウィック!神官見習いなの!」
「俺はカイウス・クオールズ!よろしくな!」
「私はファラ!ファラ・エルステッドだよ!仲良くしようね!」
「ぼ、ぼくはルカ・ミルダと申します。えっと…これからよろしく、ね…」
「あーはいはい邪魔よルカ!アタシはイリア・アニーミよ!これからよろしくぅ!」
「ちょちょ、お前ら一気に来すぎだろ…。そんなにいっぺんに来られたら混乱するって…」
「ルビア、カイウス、ファラ、ルカ、イリアか!おっけー完璧!」
「…って覚えれたのか!?」
一気に押し掛けてきた皆を宥めようとリッドが前に出るが、俺は爽やかな笑顔で皆の名前を言い当てた。リッドがぎょっとしていたがにこやかに笑っておく。
フッ、テイルズファンをなめんなよっ!まぁ前知識があるぶんそれと照らし合わせればいいだけ出しな!
「改めて、俺はレイン。ちなみにこっちの黒猫はクロートって名前だ。こちらこそよろしく頼むよ」
キラン☆とどこぞの女嫌いよろしく歯を輝かせて爽やかな笑みをこれでもかというほど浮かべれば、女の子達が黄色い声をあげた。美人だって?いやいや、君たちの可愛らしさには負けるよ。
…いやきみら本当かわいいな??各シリーズのメインキャラ補正がやばい。直視できない。ここが楽園かな?そうだそうに違いない。
取り敢えず世界を楽しもう!
(そういえば、猫の名前思い出したの?)
(うんにゃ、さっきリッド達の前で命名した)
(にゃー)
090315