無自覚矯正
ガタン、と男の私室で壁に押し付けられた。
何故こうなったのか判らないまま、押し付けた男をニコラは見る。
「あ、あの…ジランド…さん?」
「少しは自覚しろよな?」
男は少し背伸びし、ニコラは首をかしげて見上げるような姿勢で見つめていた。
するりと顎を持ち上げられて、そのまま距離を縮められて…キスされた。
「え?その…どういう、ン…ンンッ?!」
どうしよう。
嬉しさで溢れているけど、その反面唐突なキスにどうしたらいいのか判らない。
困惑していると、うっすら開いた唇の隙間にぬるりと舌が入り込んだ。
「ン…ふっ、…んぁ…っ。」
ドキドキで心臓が破裂しそうな気持ちを抑えながら、そっとジランドさんの胸に手を当てる。
でもやっぱり互いの唇が接吻と言う形で繋がっているから恥ずかしい事この上なくて。
より密着しているのもあってか、ドキドキがいつもよりスゴイ。
きゅっと目を瞑れば後頭部をぐいっと抑えられ、より深く舌が入り込んでくる。
咥内を舌がのた打ち回り、歯列をなぞる動きはまるで生き物のようだ。
「ふッ…ン…じらん、ど…、さ、ンンッ!」
舌同士が絡むキスに暫く漬け込まれていると、意識が蕩ける。
スッと倒れそうになると、背中に手を差し込まれて唇が離れた。
ゆっくり目を開けると、ジランドさんの瞳が視界に入る。
「ふ…、…はっ、じらんど、さん……。」
「相変わらず骨抜きされた顔してんな…?ニコラ。」
「だって、ジランドさんが…。」
ジランドさんの所為、と言ってはすっかり弱りきった表情で睨む。
だけどジランドさんは愉快に笑ってはぺろりと舌なめずりする。
その光景が艶めいているというか、何だか色っぽくて顔を赤らめた。
「俺の所為にするのか?ニコラ。」
「ッ…!だ、だって…自覚が必要とか言って…!」
顔を真っ赤にしたまま言うも、更に歪んだ独特の笑みで見下ろされる。
このあと、身体的のお仕置き(というなの矯正)が入ったのは言うまでもなかった。
無自覚、と言うわけではないが。
自分自身の自覚を無理矢理矯正されたのは初めてだよ。
(イヤ、ホントに!)
無自覚矯正
(ニコラ。てめぇはちっとは自覚しろ。)
(自覚って…!わ、私は…何も…!)
(俺は好きでもねぇ女に付き合ってやる程お人よしじゃねぇんだ。)
(!!)