Snow Blue
お礼の思い人を思い浮かべながら。
あみあみ、と細かく作業を一人部屋。
鈍色の空から、銀世界が降り注いで見下ろして。
「む‥、ここは‥ココに通して、と‥。」
「何やってんだガキ。」
「あわわっ?!なっ、‥ジランドさん‥。」
びくり、と震えては驚かさないで下さいよ、と安堵の息と一緒に漏らす。
そりゃそうだ。
今の今まで一人ぼっちで作業に集中しているところで、ハッキリと声が聞こえたのだから。
咄嗟に思わず、作業中のものを後ろに隠した。
「‥で、さっきから何をしてんだ。」
「なっ、何でもないですって。」
わたわたとしながらも子供のように必死になって隠す。
だが、相手はジランドさん。あっさりと押されては完敗する。
「嘘をつくならもう少しマシにやれ。」
「あわわわっ‥!」
バサリと取り上げたのは、毛糸の本と青と黒の毛糸。
本には栞のようなものが挟んでいて、黒よりも青が何玉も多かった。
何より彼女の手には、編み途中の何か。
まだ途中の段階ではあるが、所々に模様が編みこまれていた。
「‥?作っていたのか?」
「あー‥。は、はい。」
「それぐらい見られて困るもんでもねぇだろ。」
確かに。作っていたのは、所謂手作りのもので危険の香りすら微塵もない。
故に秘密にしなくてもいいことなのだが、ニコラにとっては大きな意味があった。
「まぁ、そうなんですけど‥。」
「?」
「じ‥実は‥日頃のお礼に、ってジランドさんに贈るものでして‥。」
出来る事なら、ジランドさんには、サプライズとして受け取って欲しかったという本音。
今まで居候・家政婦状態で過ごしていた訳で、お礼を重ねてマフラーを贈ろうと考えていたのだ。
それなのに、あっさり白状してしまったため、こっそりプレゼント作戦は見事に砕けた。
そんな中、手に持っていた途中のものを取られた。
「あっ!ちょっと‥!」
「ニコラ。」
「は、はい‥っ!」
思わず名前を呼ばれてぴしゃりと固まる。
ジランドさんに取られた編み途中のものをまじまじと見た後にはポンと返された。
一連の動きに呆気に取られ、意味が判らなくて首をかしげた。
「俺に似合うように作れよ?」
「あ‥。‥はいっ!」
二ィ、と笑みを浮かべて期待されている言葉を告げられると嬉しくて笑みを浮かべた。
そのままジランドさんがパタンと部屋を後にすると、ニコラは気合を入れて編みこんだ。
それから、数日。
豪華なラッピングなんて出来ないから、少し飾るくらいのマフラー。
青と黒を用いり、ジランドさんの模様は二箇所入れた。
ジランドさんの私室の前でノックして、許可が出れば緊張とドキドキが重なった状態でプレゼント。
それを手に取ってくれて、まじまじで見られるとより一層増した。
「ど‥、どうで、しょうか?」
「ニコラの割りにはまぁまぁの出来じゃねぇか。」
ジランドさんが手作りマフラーを試しに巻いてくれて、嬉しさで倒れそうになる。
くい、っと招かれて、嬉しさと重なる鼓動とでドキドキしながら近寄る。
お礼を言おうと距離を縮めようとしたら、ふわりと掛けられた。
「あ、有難うございま‥、おわっ!」
「一人用にしちゃ、少し長いな。これで丁度いいだろ?」
ジランドさんと私。至近距離でマフラーを一緒に巻かれて。
更に顎も持ち上げられて。そのまま重なるキスに、ニコラは赤面するしかなかった。
その光景を、窓から見える雪空だけが見守っていた。
Snow Blue
(あわわ‥っ。い、一緒…。)
(くくっ、ニコラもたまにはイイモン作るじゃねぇか。)
(よ、喜んで貰えて…嬉しいです。)