俺様主義の幼馴染
「……。」
「おい、どうしたんだ。急に黙り込んでよ。」
「あぁう、い、いや。別に…。」
「?」
何でか。何でだ?
たまたますれ違った再開で、それで終わるかと思いきや。
時間はあるかと言われるとこくりと頷いたらそのまま近くの喫茶店に連れていかれた。
しかも俺の奢りだと言われたものだから余計に申し訳なさがいっぱいだった。
コクトーにじっと無言のまま見つめられれば追いこまれ。
更にこの状況をどうしようという気持ちが重なり、メニューもまともに見れなくなった。
「じゃあ…先ずカフェ・ラテで…。」
「おいおい、遠慮すんなよ。」
「遠慮だってしたくなります…。」
はぁ、と軽くため息をつこうとすると、ビッと指を立てて彼女の眼下に晒す。
思わず驚いて身を引けば、少々真面目っぽくコクトーは言葉を発した。
「!え、えと…どうかしましたか?」
「敬語。白雅らしくねぇぜ?」
「…だって久しぶりで、」
「ンなの白雅らしくねぇ。気にすんなよ。」
相変わらずああいった様子は変わっていない様子らしい。
昔の話なのに、何だか懐かしくも感じたり変な気分だった。
「………少しは遠慮したのに…。」
「流石にあん時とは違うってか?」
「そりゃ、ね………。何年会ってないと思ってるの?」
「そうだな…ざっと10年近くは会ってねぇな。」
アバウトに、大雑把に。答えたが、恐らく正解に近いだろうと思う。
学校に上がる辺りから殆どぱったりと会った記憶が無いからだ。
「それにしても、俺だってすぐ解ったな?」
「あ…そりゃ。コクトーの髪と目って珍しいもの。」
そう言うと続けて『私もまさか思いだすとは思わなかったけど』と笑う。
聞きたい事とかいっぱいある。
『今は何してるの?』とか『今は忙しいの?』とか。
沢山あるのに、それが言葉に中々出ない。
ぼぉっと彼を見つめると、再びおかしなものが鼓動を打つ。
あの時とは何もかも変わった。
男性らしく低くなった声。指はすらりと長いも、骨ばった指。
長い時間がこうやって彼が大人に、男性を感じさせることは。益々時間が経過したのだと思い知る。
幼いころで朧気になった記憶がじわじわと心に響いていく。
「あ、あのさ。変わったね、お互いに。」
「……ぷっ、クク…っ。何変なこと言ってんだ?」
「!ちょっと、人が勇気振りしぼって言ったことを…!」
柄にもない、とか言いそうな笑い。
必死に堪えているも零れている笑い声が何だか急に恥ずかしくなって頬を赤らめる。
一端笑い声を抑えれば此方も気持ちが落ち着き、はぁと息を吐く。
「そりゃ10年近く会ってねぇんだ。ちったぁ変わるだろ?」
「うん。コクトーもすっかり変わってる。声とか背とか、色々男らしくなったというか。」
「お前もあの時と比べて…、あー…。」
「?」
何やら誤魔化すように白色の髪を掻くと、誤魔化すように笑いつつ言葉をあげる。
しかし、その言葉までは 嘘とは思えず、
「随分綺麗になったな。」
「……はい?」
ピシっと固まってしまった。
先程も聞いた言葉ではあるが、矢張りもっと昔を遡れば幼馴染。
幼馴染の関係から離れられなくなったままのために、気恥かしさが白雅の中を支配して思わず赤く赤面した。
赤面した彼女を笑いつつ、ポンポンとコクトーは白雅の頭を撫でた。
「ははっ、何照れてんだ。」
「…照れますよ。そりゃ、……幼馴染がカッコよくなってるんだし…。」
あ、若干敬語混ざった。
それでも本音をぽろっと言ってしまったのもあって、赤面した顔は戻らない。
途中からじわじわと恥ずかしくなって、とうとう彼の顔を見れなくなった。
何かちょっかい的なものを出してくれればまだ助かる。きっと言う。
そう思っていたのに、何も言わない。
無言だけが、空気を流している。
何も言わないためにために恐る恐る顔をあげた。
「…あ……あ……。あの、」
「なぁ、白雅。」
声からして真剣を帯びていた。勿論紫の瞳も。
先程のそれとは違って思わずドキリとしてしまうと、身体を固めさせた。
そして顔をあげたまま固まるものだから、隣にいた彼からそっと抱き寄せられた。
座った場所が、丁度死角になっていたために。
この状況は、この二人にしか知らされはしなかったが。
「!は、はい…?!」
「このまま付き合っちまうか?」
死角からの贈り物は、飛んでもないものだったらしい。
はにかんだ笑顔と共に、爆弾発言の幼馴染。
あと、意外に俺様主義の幼馴染だったようだ。
俺様主義の幼馴染
(な、何言ってるのよ…?!)
(あ?もしかして彼氏とか居たか?)
(い、いや。彼氏は居ないけどさ、)
(なら決まりだな。)
((…た、大変なことになってしまった…))