夢を見た。
それは私の今までの現実世界からサヨナラした夢。
見たことのないセカイに私がいて、今までの自分では使ったことのない力を使って。
その景色はただ、景色が焼ける音と死臭となんとも言えない感情で満ち溢れていた。
私が死のニオイが立ち上る戦場で、私がただ一人屍の上で立っていた。
だけど、なんでだろうか。
そのセカイでの“私”は、いつも居るようで居ない。
生きているはずなのに、死んでいるようにも見えたのだ。
だけど、私にはその理由を説明するすべも、確認する術もなかった。
この矛盾したようなセカイ。
そう、私は。その光景を唯呆然と見るだけだった。
ただひとりのシュレーディンガーの猫に過ぎなかったと。
そう気づくのは、もっと後の話で、もっと以前からの話だった。
十字架を胸に抱き 月下の元にて嘆きと犠牲を擲って
暁の明りを測るその日まで 十三の時を刻むことを願いながら
「あぁ、“また”死んだのか。もう、何度目だろう。」
少女がひとりごちる。いや、少女と呼ぶには年を重ねていた。
セカイに存在しているのは確かなのに、セカイの存在を認識できない。
それが。柊玲奈という女だった。
シュレーディンガーの猫 1/3
(さぁ、摂理から外れた嘆きの少女の物語を始めようか)