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ここ数日忙しかった。
そのためか、ちゃんとまともな睡眠が取れていなかった。

ふぁ、と眠り足りないのを強調するような大きな欠伸をひとつ。
顔を洗って鏡を見れば、目の下にはうっすらと隈がいた。



「あ…隈が出来てる……コンシーラーで隠さないと…。」



隠さないといけないのは、ちゃんと理由がある。
今日、という日を以前から待ち望んでいたからだ。

ちゃんと寝ないとなんてぶつぶつと言いつつも少し急かすように顔を洗う。
ぱしゃぱしゃと水で顔を洗えばタオルで顔を拭く。

こんな日常を噛みしめつつ、ふぁ、とまた欠伸が出た。



「來。」
「……秀一、さん?」



おはよ、と眠たげな声で返事を返す。
眠りが浅いのか、それとも睡眠を取れていなかったのか相変わらず目の下の隈はあった。

それにも関わらず、いつも私より遅く寝るくせに私より早く起きる。
不規則なのは知っていたが、いつ寝ているんだろって、思ってしまうくらいに。
(前々から思っていたけど、ホント超人だよなぁ…秀一さんって…。)



「あとでコーヒー淹れるから、ちょっと待ってて。」



この後仕事のためにメイクをしなきゃいけないし、
秀一さんにコーヒーと入れて…あとは、今日は予定もあるからえーと、えーっと……。



「來。」
「っ!?な…なに……っ?!」

「最近帰りも遅い。疲れているだろ。食事はまた今度にするか?」
「!!そ、それは…嫌…。」



今日、という日を私自身が待ち望んだ理由。
それはここ最近お互い上手く時間が合わなくて、今日やっとの思いで仕事終わりの食事の約束をとりつけられたからだ。

いつも同じ時間をとれていなかった。ここ最近ずっとだ。

規則正しい生活をする私。秀一さんは不規則で私より遅かったり早かったりするから、同じ時間を共有することなんてあまりない。
それでも、同じ時間を共有したかった。

帰る場所が一緒だけでも嬉しいけど、空間だけじゃなくて時間も共有したい。
これは、私の自己満足なのだけども。


そんなことを考えていると、ふっと素敵な笑みを浮かべては、そのままそっと近寄る。
意地の悪い笑みを浮かべているのは、何か企んでいる証だ。



「そうか。來がそういうなら、今夜な。」
「!!も、もう……意地悪……っ。」



こういうことを、わざわざ耳元で。
かするかのような声で告げるから、一気に熱が上がるのを感じる。

こっちは翻弄されるばかりなのに、どこか嬉しそうで、愉しそうだ。


一緒に同じ空間で過ごすようになってから、私は一枚も二枚も上手な彼に、翻弄されっぱなしです。





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(っ!!も、もう……赤井さんはいっつも意地悪ばっかりで!!)
(俺はただ、今夜の食事に付き合うといっただけだ。)
(!)
(ククッ、それとも…意地悪されることを望んでいたか?)
(!!!本当に意地悪!!)