この男を、毒々しいほどまでに美しい、と表現したのは誰だろうか。
『いや、いや。』と幾度も何度も訴えても、まるで聞く耳を持たない。
にたり、と下卑た笑みを浮かべてはゆっくりとした足取りで近づく。
『来ないで、離れて。』と何度も叫んでも、まるで暖簾に腕押しだった。
無言で何も言わず、何もせず、ただじりじりと距離を縮めていく。
何も言わずに沈黙だったが、その沈黙を破ったのは私の悲鳴だった。
唐突に腕を掴まれ、肩を抑え込まれ、叫んだ悲鳴ですら口元を大きな手でふさいだ。
あぁ、私はこの男に犯されるのか、と瞬時に判明した。
抵抗をしたいものの何もできないまま、腕も拘束され、古びた柱に括り付けられる。
乱暴に縛り付けたから布が腕にかすれて痛い。
声をまともに上げられないままのため、表情を歪ませることでしか訴えることはできなかった。
しゅるりとネクタイを緩ませて渇いた笑いを浮かべながら、舌なめずりをした。
その様子はケモノのようだが、そこに感情はない。
ただの、性処理だって、すぐに分かった。
「味見させろよ。」
男がそう言い残し、まとっていた服を乱暴に破り捨てた。
晒された肌は男の力のままに揉みしだかれ、がりっと強い痛みも与えられ、乱暴に腰を打ち付けられた。
ショックと現実逃避したい気持ちでぐちゃぐちゃになって、あの後どんなことが起こったかはよくわからない。
虚ろな記憶の中で覚えているのは、
処理をされているのにその一連が余りにも高い毒性を孕む笑みと
こべりついて離さない雄の臭いと散乱する白い痕跡だけだった。
その毒性に侵された私は、またこの場所へと舞い戻される。
あの毒々しいほど、美しく、深淵に吸い込まれる漆黒の目に魅入られてしまったのだから。