闇に咲く一輪の花

一言でいえば、毒々しいほどに美しい、といった言葉がよく似合う。
にこりと小さく笑うその姿はとても優雅で、紳士的だった。

さり気ない場所で出会ってしまった、というささやかで何気ない出会いだったのに。
初めて出会ったとき「なんて美しい人なんだ。」と思わず言葉を漏らした。

すると紳士なあなたは優しく微笑んで私に問いかけた。


「私のことをそう思うのかい?」


その一連の流れですら、問いかけですらどきりと胸が高鳴った。
思わず声に出してしまったことにかぁあっと赤らめては視線を落としつつこくこくと頷いた。

怒ったのかな、と思っているとあの穏やかに優しい笑みを見せてくれた。


「なに、私も君に見惚れていたものでね?」


一瞬何を言ったかわからなくなった。
それほどに、唐突な言葉で甘美な言葉だったから。
あなたの言葉をちゃんと咀嚼できずに慌ててしまうと、あの優しい指先が私の頬にそって触れる。

触れるだけでも熱が一気に高鳴る。
心臓の音がますますうるさくなる。
こんなにうるさくなるのかというくらいに鼓動がやまず、心臓が口から出てしまいそうだった。

優しい指先が頬から首筋に伝わり、肌を侵食していく。


「もっとその可愛らしい顔を見せてくれないか?」


真っ黒な瞳が私を射貫くようにじっと見つめる。
それでもあなたの笑みはとても優しく、美しく。

しかしながら、美しい笑顔の裏に隠れていた危険な猛毒さを孕む危険さに気づくのは、もう少し後だった。
耳元に低く甘く優しい言葉の意味を本当の意味で分かるのは、もう少し。後。



闇に咲く一輪の花
(その花は美しいが、触れてしまったら猛毒だと気付いた時にはもう手遅れだった)