二段構えの落とし穴

「セブルス、サンドイッチってさあ、なんであんなにおいしいんだろうね」
「それよりお前、さっきのテスト中爆睡してるのが見えたが」
「ツナ、卵、ハムチーズとかまあいろんな具があるじゃないですか」
「テスト中に寝れるほど余裕を持った勉強の仕方はしてなかったと思うのだが」
「それ全部入れたらさ、絶対おいしいと思うんだよね」
「おい聞いてるのか貴様」

もちろん聞こえていますとも。

呆れと心配が半分づつ入ったセブルスの説教を受け流しながら内心、絶望と固く握手を交わす。イモリだかヤモリだかいうテストなんてわたしとっては正直どうでもよかった。なぜならテストの結果がどうだったからだといって、結局就職先が無いからだ。7年間わたしは何をしてきたんだろうとか、ほんと今更すぎる。

「もう僕たちもあと少しで卒業だぞ、それなのに」
「......」
「......どうしたんだやけに落ち込んで」

7年間付き合ってきたこの友人は、周りから思われているほど冷たい人間じゃないことはわたしが一番よく知るところだった。まぁ、周りが思うとおり少し根暗であるのは事実だけれど。今もこうして、わたしの目を覗き込んでくる深い黒の瞳は心配そうに揺れている。でもなんとなくセブルスには言いたくなかった。だって、どう考えてもわたしが全部悪いのだ。

「リツ先輩、セブルス先輩」
「あ、レギュラス!そっちもテスト終わったの?」
「おいリツ話をそらすんじゃない」
「あ、そういえばリツ先輩、」
「なになにレギュラス、」

「リドル教授が呼んでましたよ。夕食後私室に来るように、だそうです」


レギュラスの言葉と同時に、夕食の時間を知らせる時計の鐘が鳴る。あれですか、これはもしかして、最後の晩餐というやつですか。

(12.02.14/15.09.30)


-meteo-