またそのパターン

DADAの教師であり、我がスリザリンの寮監でもあるリドル先生はなんというか、稀に見る本物のドSだった。冷ややかに見下ろす、綺麗すぎるほど赤い瞳を思い出して身震いする。それにしても、ホグワーツは性格に難があると言わざるを得ない人物にばかり人気が集中している気がする。先生はもちろん、それからシリウスとか、ポッターとか。

「レギュラスとかセブルスのほうが倍は性格いいと思うのにね」
「・・・何の話だ」
「スリザリンってプレイボーイ的なのいないよねって話」
「去年までそういう病気の人、いたじゃないですか」
「・・・ああ、そういえば」

夕食を終えてしまえば地獄が待っているため、セブルスに取り分けてもらった料理を食べる気もないのにつつきながら話す。セブルスとレギュラスはわたしの両隣が定位置なのは今も変わらずだけど、去年までは向かいにルシウス先輩がいたのを思い出した。

「元気かなーって思ったけど元気がないわけないよねあの人」
「殺しても死ななそうですよね」
「今日も元気に親の七光りだろう」
「確かにー」
「あ、」
「どうしたのレギュラス」

リドル教授だ。と呟いたのと同じタイミングでわたしの肩に手が置かれる。身を凍らせるオーラが、いやもしかしたら魔力なのかもしれないけれど、わたしの背中を直撃する。またこれか。レギュラスは先生を召喚する呪文でも使えるのだろうか。だとしたら本当に心臓に悪いからやめて欲しい。それにしても、先生はいつも大広間で食事をしないから、ここは安全地帯とばかり思っていたのに!セブルスはわたしにもうあきらめろ、と小声で囁いたあとは我関せずとミートパイを頬張っている。ひどい、けれどこれがスリザリン生の正しい姿でもある。我が寮の友情とは一体。

「もしかしてお迎えですかーあはは先生やさしーい」
「ここで粘ろうとするのは明白だったからな。私も忙しい、早くしろ」
「た、食べ終わってない、のでですね」
「私の部屋で食べればいいだろう?」

魔王にローブのフード部分をぐいっと掴まれた。これはまずい!最後の手段だと、教職員席の校長を振り返る。助けてアルバス・ダンブルドア!

「ふぉっふぉっふぉ、仲がいいのう!」

だめだこの爺さん。耄碌してきてるんじゃないだろうか。こうして美しい夜空が浮かぶ大広間を引きずられるようにして後にするのでした。

「・・・あの狸ジジイ・・・!」
「・・・それには同意します」




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