青い海の輝き

「…」

「―良いんですか?これで…」

「…うん」

リンの問いになまえは振り返ると、小さく頷く。

「最初から、もし自由になれたらこうするつもりだった…」

「…あの人の側にも、ですか…?」

「…彼は、“ツナシ・トキオ”として生きるべきなんだよ。そう望んで無くても―」

―私は“自分”以外の何者にもなる事は出来ないのだから…。

「…」

潮風がなまえの青い髪を揺らす。
風に乗って歌声が波の音に零れ落ちて、流れて消える。
今までこの歌を口ずさむ時はいつだって哀しい時で、押し潰されないように口ずさんでいたのに―。


「―綺麗な歌声だね」

歌が止み、パチパチパチ、と手を叩く音と共に聞こえた声に、なまえは振り返る。

「是非俺に、君の絵を描かせてくれないか?」

なまえから少し離れたベンチに腰掛けた青年は、指で額を造ると、その中になまえの姿を収める。
指で作った額越しになまえを眺めて、青年はふっ、と微笑んで目を細めると、額を解き、直に眼差しを向ける。


「君と見る未来の景色(え)を」

なまえは驚いた様に目を見開いてから、今にも泣き出しそうに、くしゃ、と顔を歪めて笑う。


「―…良いよ。トキオ」

【―END―】

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