プロローグ
「グラウクローネ、か…私にぴったりな名前かもね…―」
手の中の道化の仮面を眺め、目を細める。
「…」
―深い闇と遥かな時間の中に隠されたもう1つの王座―審判者。
彼の者の存在を知る者はいない…知られてはいけない…鮮やかな世界に存在する事を拒まれた、灰色の世界にのみ生きる事を許された者。
少女はふ…っと笑う。
それは嘲笑うような何処か悲しげな、そんな表情だった。
「怒るかな…」
脳裏に浮かぶのは幼馴染の2人の姿だった。
幼い頃から同じ時間を共有してきた彼等を裏切る事に痛みを感じないと言えば嘘になる。
それでも、もう決めた…。
全ては終わりの為に…そして新しい始まりの為に。
コツ、と靴音が無機質な通路に響く。
少女は足を止め、扉を開ける。
「綺羅星!」
逃れる事の出来ない運命は何時の時も彼の者に立ち止まる事を許さない。
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