04
「わぁ〜なんだか色々売ってるね〜エリザお姉さん」
「…うん」
アラジンが頭に荷物を乗せながら物珍しそうに辺りを見渡す。
色々な食べ物や果物がそこら中で売られており、それに目をキラキラさせるアラジン。一方のエリザも初めて見る光景に目をしぱしぱと瞬かせた。
「そりゃ市場だからな 売ってて当たり前だ」
「バザァル?」
「まさか、お前ら知らないのか?」
金髪ポニーテールの女性、ライラは不思議そうな顔で自分を見上げてくるエリザとアラジンに眉を寄せながらもご丁寧に説明をしてくれた。
ライラ曰く、この都市のように水が豊富なオアシスには水を求めて人が集まり町ができる。そこを隊商が旅をして自然と市場ができるそうだ。
と、丁寧に説明していたライラの話を聞いているのはアラジンのみで、エリザは初めて嗅ぐ匂いや初めて見る色々な果物の形に目を走らせていた。
「エリザお姉さん!エリザお姉さんにも紹介するね!」
何を紹介するのかは分からないがコクンと頷いたエリザはゴソゴソと自分の服の中をあさり出すアラジンを静かに見つめる。
そして――
「僕の大事な友達の…ウーゴくんです!」
ジャーン!!
アラジンが友達だと紹介してきたのはどういうわけか、笛だった。何かペットでも飼っているのかと思ったエリザは流石に混乱して口を開いた。
「アラジン、友達お笛さん?」
「ううん、ちがうんだエリザお姉さん。ほらウーゴくん、エリザお姉さんに挨拶して?」
アラジンがそう笛に語りかけるとニュニュニュニュッと笛の中からムキムキの巨大な青い腕が出てきた。
目をこれまでにないほど拡大させて驚くエリザ。それに構うことなくその腕がエリザの頭をポンポンと撫でた。
スススッとアラジンの持つ笛の中に戻っていくそれに、それを間近で見ていたライラの絶叫が響き渡った。
「ななっ、なんだ今の手っ…いやヘビか!?」
「ちがうよ ウーゴくんだよ!」
アラジンは一つそう訂正を入れるとエリザの方に向き直った。
「それにしてもどうしてエリザお姉さんは大丈夫だったんだろう?」
「?」
「いや、ウーゴくんはこう見えてもシャイなんだ。そのせいで女の人に触れると照れて気絶してしまうんだけど…エリザお姉さんに触れても大丈夫だったからちょっとびっくりしたのさ」
「私、大人じゃないからウーゴくん大丈夫だった、違う?」
「う〜ん そうなのかな?」
「きっとそう」
「うん!エリザお姉さんがそう言うならそうだねっ」
へへへ、と笑うアラジンにつられてエリザの口角もきゅっと上がった。
「ふふふ エリザお姉さんは笑うともっと可愛いんだね!」
「私可愛い違う。アラジンの方が可愛い」
「何を言うんだいエリザお姉さん!エリザお姉さんの方が可愛いに決まってるよ!ね、怖い顔のお姉さん」
「ん?まあ確かに…って誰が怖い顔だクソ餓鬼!!」
怖い顔のお姉さん発言のせいで胸ぐらを掴まれ宙ぶらりんのままぐわんぐわんと揺すられるアラジンを何とか救出したエリザは心配そうにゆらゆらと瞳を揺らしてアラジンを見つめていたが、大丈夫だと言ってへらりと笑ったアラジンを目にホッと息を吐くのだった。