街の中で

 O.

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「はい、お電話換わりました。カルネです」

「カルネはん、突然お電話さしてもろうて、すみません。今、忙しゅうありまへんか?」

「お久しぶりです、マーシュさん。いいえ、大丈夫ですよ。ふふ、またお茶のお誘いでもして下さるんですか?」

「あら、いいですねぇ。ぜひ、またご一緒させて頂きたいわぁ」

「あら、そのご様子だと違うようですね。残念です」

「ええ。それが、相談したいことがぎょうさんあるんです。うーん、何から言うてええんやら……」

「まあまあ。大丈夫ですよ。時間はあるので、ゆっくりどうぞ」

「それがですねぇ、うちの桜(サクラ)が、えらい不思議なお友達を連れて来よったんです」

「まあ、桜さんが? ……不思議なお友達?」

「ええ。そのお友達いうんが、エルフーンなんやけどなぁ。どうも話がよう分からんくて……」

「あらあら……」

「自分の事を、ゼルネアスの使者とか言うてはるんです」

「ええ? ゼルネアスの?」

「そう。ちゃあんと、ゼルネアス直筆の手紙まで持って来はったんですよ。その中に、大切な頼み事が書かれてる言うて……」

「……」

「……まあ、このまま聞いとってください。問題は、その手紙の中身や」

「……何と書かれていたのですか?」

「ラクガキ」

「え?」

「ただのラクガキやったんです。何が書かれてるかなんて、一つも分かりやしまへん」

「……」

「そっからはもう、そのエルフーンと桜との大喧嘩や。なあカルネはん、力を貸してくれはりませんか? なんだかもう、ウチだけの手にはおえんのですわぁ」

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