夢の前で
S.「それで、……はなしとは、なんなのだ」
「ありがとうございます。聞いて下さるのですね」
「ここまでくるのに、くろうしたのだろう? なんのもくてきもはたさないままきろにつかせるほど、わたしはひどうとくてきなぽけもんではない」
「お心遣い、感謝いたします……。では、お聞き致します。……貴方様は、生きる者を深い眠りへといざなうことが出来る力を持っていらっしゃるとお聞きしました。そして、その眠りについた者は、悪夢を見ると……。それは、真でしょうか」
「ああ、まちがいない。それが、わたしののうりょくだ」
「では、およそ×××××年前……。貴方様はカロス地方、妖精の森にて、あるポケモンを、長き眠りにつかせたことはありませんか?」
「……ようせいの、もり?」
「ええ。手を尽くしてはいるのですが、その者は一向に目を開けようとしません。静かに、静かに、眠ったままなのです。打つ手は無いかと調べた結果、貴方様のことを知りました。……ダークライ殿」
「……」
「貴方様の力によるものだと考えたのは、ただの憶測です。失礼な話で申し訳ないのですか、本当に、彼の眠りにつきましては、我々の手には負えなくなってしまったのです。ここへは藁にも縋る思いで、尋ねさせて頂きました。どうか、お許し下さいませ……」
「……いや……。しっている」
「……え?」
「わたしは、しっている。そのもののことを……。よく、よく……、しっている……」
「ご、ご存知なのですね! では、」
「ああ……。しかし…ああ……。わたしはまた、あやまちを……。ああ、なんということだ……」
「……もし?」
「もう……、ああ。ああ……」
「あの、もし……?」
「……ぜるねあすどの、よくぞわたしへ、つたえてくれた。ありがとう。ありがとう。……そして、おしえよう。わたしがしっていることの、すべてを。わたしがおかしてしまった、あやまちのすべてを……」
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