夏の夢の中で

 CLXXX.

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「初めまして、ミツキさん。私の名前はカルネ。どうぞよろしくお願いしますね」

「え…………。カルネさん、ですか?」

「え? ええ。そうです」

「……。そう、ですか」

「私のことはご存知ですか?」

「え……。あ、はい。ええと、カロス地方のポケモンリーグチャンピオンで、女優さん、……ですよね」

「そう、ご存知なのですね。でしたら、今の私の姿を見て疑問に思われるのは、仕方ありません。私は今、手持ちポケモンのサーナイトに人の姿をとってもらい、その身体を借りて、貴女とこうしてお話をしています。少々事情がありまして、こうすることでしか、貴女とお話が出来ないのです。どうか、お許し下さい」

「…………。分かりました」

「ありがとうございます。ミツキさん」

「……それで、カルネさんは私に、一体何のお話が?」

「そうですね。それでは早速、お話しましょうか。……単刀直入に申し上げます。ミツキさん、貴女は、この世界の人間ではありませんね」

「…………え?」

「突然こんなことを言ってしまってごめんなさい。でも大丈夫。私は貴女を今からどうにかしようなどとは、一切考えておりません。どうか安心して、私を信じて下さい。これは、確認です。……ミツキさん、貴女は、この世界の人間ではありませんね」

「…………ええ。そう、です……」

「……。貴女は一体、どうやってこの世界へ?」

「……分かりません。目が覚めたら、私はこの世界にいました」

「そう。……ありがとうございます。ごめんなさいね。驚いたでしょう」

「え、ええ……」

「私も確認などと申していますが、にわかには信じ難い話だと、今でも思っています。……最初にこんな質問をしてしまったのは、貴女が本当に私達の探している女性であるかを、確かめる必要があったからなのです。……ごめんなさい、試すようなことをしてしまって。実は私も、この話は人づてに……いえ、野生のポケモン達や他人のポケモンから間接的に伝えられた話なので、あまり詳しくは知らないのです」

「……」

「それでも、どうしても、これからするお話は貴女へ伝えなければならないと思い、こうしてお話するべく席を設けました。私達の話を、どうか聞いて下さいませんか」


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