夏の夢の中で

 CLXXXI.

「わ、分かりました……、ので、そんなにかしこまらないで下さい……」

「ありがとうございます。……いえ、こちらの情報だと、貴女方は酷く私達を避けているとのことでしたので。……正直、こんなにもスムーズに対話に応じて下さるとは思っていませんでした。本当にありがとうございます」

「それは……、いえ。しかし私は、さっきお伝えしたこと以外は、何も知りません……。何も、話せることが無いのです……」

「先程の、目が覚めたらこの世界に居た、という話ですか?」

「はい」

「……訳も分からずこの世界へやって来た貴女はすぐにピスカと……陽さんと出会った。そうではありませんか?」

「え?」

「陽という名前は、貴女が付けたのでしょう? 礼や、桜さんから聞きました。ピスカのことを、陽と名付けて呼び、連れ添っているトレーナーが居ると」

「……どうして? なぜ私の、私達のことを……」

「何故知っているのか、ですか?」

「ええ……」

「それは、貴女の居るこの世界が、ピスカの夢の世界だからです」

「……はい?」

「私は貴女を……、貴女とピスカを、この夢の世界から目覚めさせるために、ここへ来ました。……貴女方は一刻も早く、この夢から目覚めるべきです」


prev / next

[ back ]